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万博の梅林で、早咲きの梅が4~5分咲きになっています。写真は万博でこの時季に咲く5種類ほどの紅梅のなかで最も紅の濃い黒龍仁という品種です。
ウメの園芸品種は、野梅系、豊後系、杏系、紅梅系に大別され紅梅系は枝の髄まで赤いのが特徴です。
実をとる梅は普通白梅なのに対して紅梅系はもっぱら観賞用に植栽されます。
実用としての白梅が主流だった万葉の時代(3月1日記事)から、時代が下ると、園芸技術が向上し、生活の態様、質も向上してきて、詩歌などにでるウメも観賞用としての紅梅が多くなります。
「東風吹かば 匂いおこせよ 梅の花・・・」で有名な菅原道真は、意外にも京の館が「紅梅殿」と呼ばれるほどの紅梅好きだったようですし、大鏡に出る「鶯宿梅」の故事(06年3月21日記事)も、紅梅をめぐる有名な話です。
さらに清少納言は、「木の花は濃きの薄きも紅梅」といい、兼好法師は、白い梅もよいが「うす紅梅、ひとえなるがとく咲きたるも、重なりたる紅梅のにほひめでたきもみなをかし」といって、豪華な八重咲きの紅梅もよしとしています。
万葉から平安へ人々に愛でられた梅もやがて桜に主役を譲ってゆきます。京都御所紫宸殿前の左近の梅が左近の桜に取って代わられたのは平安の世も約150年を経た天暦元年(947)のことでした。