
御油宿を出て西進すれば次の宿場・赤坂へは僅か16町と直ぐそこだ。
その為当初は、両宿で一宿分の役割を果たしていた時期もあった。
宿から数百メートル程進むと、やがて前方に見事な松並木が見えてくる。
松並木に沿って右側には、「御油松並木公園」が広がっている。

戦時中には燃料として各地の松は供出を求められたが、当地の松は国
の天然記念物指定(昭和19年指定)のお陰で伐採を免れたという。
御油宿の西の出口から赤坂宿の東の入口へと続く「御油・赤坂の松並木」
は、「日本の名松百選」にも選ばれている。
弥次さん喜多さんが狐に化かされる騒動でもお馴染みの場所だ。

東海道整備の一環で、家康の命により植えられた松の並木は、夏は木
陰を作り暑さから旅人を守り、冬は吹きすさぶ寒風を遮ったという。
何よりも街道である事が遠くから見ても一目瞭然で、地図や案内書がさ
ほど普及していない当時では、安心して歩く事が出来る効果は大きかっ
たようだ。

当地の松並木は、江戸時代中期頃には600m程の間に、黒松が650本
ほど植えられていたらしいが、今日では300本程と言われている。
一時は激減した事も有ったらしいが、地元の人々の手厚い管理や補植な
どがなされたようだ。
枯れて切り株を曝す木もあるが、中には樹齢300年を越える大樹も有り、
そんな中に植樹間もない若木も混じっているのが頼もしい。

赤坂宿までの距離は、およそ1.7㎞で東海道の宿場間としては一番短
い距離で、その半分近くが松並木道である。
杉並木のような亭々とした感はないが、これぞ東海道の街道と思わせ
る見事な景観が続いていて、こんな道にアスファルトは相応しくない。
やはり土埃を感じながら、地道であって欲しいとしみじみ思う。(続)



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