簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
そして遊び、生活のこと
見たまま、聞いたまま、
食べたまま、書いてます。

道中のろうそく  (東海道歩き旅・近江の国)

2024-01-08 | Weblog

 国道1号線の大野西交差点を横断し、接する県道549号線に入り、直ぐ
に右手の坂を上り旧道に入る。
道は甲賀市土山から既に甲賀市水口町の今郷に入っている。
嘗ての今在家村は明治21(1879)年に小里村と合併し、今郷(いまごう)
になった。


 
 旧道に入ると直ぐに、浄土宗の浄土寺があった。
その近くに「東海道今在家村 生掛ろうそぅ 蝋燭屋」の家号を掲げた
立派な民家があった。
繁昌していたのであろうか、随分と豪華な家構えである。



 街灯の乏しい当時、原則は日の出から日の入りまでで、漆黒の闇夜は
歩けたものでは無く、治安上からも夜歩きはしないのが鉄則であった。
 それでも万一に備え、街道を行き交う旅人にとっては、ろうそくと携
帯用提灯、火打ち石は道中の必需品であった。



 因みに現在のろうそくは、パラフィン(石油系)を主原料に大量生産
される、所謂「洋ろうそく」だが、昔の和ろうそくは純植物性の原料で
作られていた。



 蝋の部分は天然の「ハゼの実」を使い、明かりを灯す芯の部分は畳の
原料の「い草」や「和紙」「真綿」が使われていた。
混じりけのないものを、幾度も塗り重ねる事を「生掛け」と言い、是が
江戸時代の手作り製法である。



 旧街道は、県道より一段高い長閑な道を進む。
旧道が一段高いのは洪水を避け、野洲川の河岸段丘上に作られたからで
あろう。所々で大きく曲がり坂を下り、県道549号線に接したかと思うと
直ぐに離れ、坂を上りまたすぐに大きなカーブで下っていく。(続)





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