
少し平野が開けると草津線との接続駅・柘植に到着する。
ここまで車内で愛嬌を振りまいていた猫が、飼い主のかごに入れられ降りて行った。

草津線はここ柘植と甲賀、貴生川を経て東海道本線の草津とを結ぶ36.7Kmの
路線である。途中の貴生川からは、狸の置物で知られる焼き物の里・信楽に向か
う信楽高原鉄道と、近江八幡や彦根方面に向かう近江鉄道が出ている。

柘植から15分ほどで、伊賀鉄道の接続駅である伊賀上野に到着する。
珍しく有人駅である。
駅構内も結構な広さであるが、何となくガランとした寂れた印象だ。
駅前には広いロータリーがあり建物が取り巻いているが、店らしきものが営業して
いる風はなく静まり返っていた。

伊賀上野では切りかけ式1番乗り場に、接続する伊賀鉄道の電車が待っている。
伊賀鉄道の列車は伊賀上野を出ると遠くに町並みを望みながら田畑の中をのどか
に進む。服部川の橋梁を渡ると市街地が近付き、やがて左手の小高い丘の上にお
城が見えて来る。伊賀市の中心市街地に建つ上野城である。

三重県の北西部上野盆地にある伊賀市は、丁度大阪と名古屋の中間地点に
位置する人口9.6万人ほどの町である。その市街地の中心は旧上野市で、その
最寄り駅である上野市までは伊賀鉄道で7分ほどの距離である。

古くから街道が通り交通の要衝の宿場町として、或は藤堂家の城下町として栄
えた歴史を持っている。又ここは俳聖と言われた松尾芭蕉の生誕地としても知



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