いろはに踊る

 シルバー社交ダンス風景・娘のエッセイ・心に留めた言葉を中心にキーボード上で気の向くままに踊ってみたい。

世界最古の日本国憲法 7編

2005年11月07日 19時05分17秒 | ハマ風は踊る
 平成9年4月24日。127日目にして、ペルーの日本人大使公邸占拠事件は、特
殊部隊による見事な救出作戦で解決した。日本政府は「人命尊重」「速やかな
平和的解決」「対話路線」を唱えていたが、具体的解決策の提示はなかったよ
うである。
 対する、フジモリ大統領は、「国民が安全にすめるようにする義務がある」と
して、テロには屈しないという大原則のもと、断固とした決断力、陣頭指揮の行
動力を持って実行し解決した。

また、日本政府に連絡しなかったのは『国家』の安全を考慮してのことであると
発言している。この事件(戦争)処理を通して、両国の「国家観」の違いを浮き
彫りにした。

 フジモリ大統領は、解放された人達の先頭に立ち、バスに乗りながらぺルー
国旗を掲げ、活躍した特殊部隊は大統領の前で国歌をうたった。

 きしくも、日本の政治家が、その相違するところを示してくれた。それは、
「保・保」の動きを批判した加藤紘一自民党幹事長の発言であった。

 曰く「中曽根さんたちとは、世代が違い、使う言葉の好みが違う…中曽根さん
たちは、国家と言いたくなるし、わたしたちは国民といいたくなる。先に国民の
生活や幸せを考えていくのと、まず国家があることを前提に、個人の意見を抑え
るという、ニュアンスの差だ」と。

 しかし、色々な意味で、大勲位菊花授章を受章した中曽根康弘元首相は立派
な方である。平9.4.12付読売新聞「地球を読む」のなかで、中曽根元首相は
次のような考え方を述べている。

 曰く「行政改革以上に大事なことは教育改革である。今日諸般の改革をしな
ければならなくなった根本は、戦後教育の誤りである。その教育改革の一番の
基本は教育基本法の改正である。その中身を見ると、人類、平和、自由、民主
主義という言葉はあるが、国家、民族、文化、歴史、家庭という言葉はない」
と。

そして、「最近の若い政治家の著書をみると、共同体という概念が希薄である。
従って、歴史、伝統、文化に対する思いが少ない」と。かつ、首相当時、フラン
スのミッテラン大統領と約2時間、食事をはさんで濃密な東西の文化談義を行っ
たことが報道された。

 そこで思い出されるのが、平7年に村山首相、河野外相、橋本通産相(現首相)
とシラク仏大統領との昼食会で、親日家の大統領がお三方を相手に日本の古代
史から蒙古来襲、ジンギスハーンと義経の関係、芭蕉没後300年祭等日本文化
を話題にした。

 この時、大統領と対等にやり合ったのは、現橋本首相だけだったとか。村山さ
んも河野さんも黙して語らずだったそうだ(パリ支局山口昌子記者の取材)。

 ところで中曽根元首相は、これから日本が持つべき哲学として、
   第一に自然主義…自然を尊び自然と共存
   第二は歴史主義…民族と伝統と歴史を大事に
   第三は科学主義…合理主義の保持
   第四は宇宙主義…命の中身はDNA等を通じ、先祖代々さかのぼる無限の
      彼方から与えられた。無限に前進するところに各々の目標が生まれ、
      理想や希望が発生する。と説いている。

 今年は、日本国憲法制定から50年。地球上には今,191ヶ国が存在する。その
うち成文憲法を持たない9ヶ国を除く182ヶ国中、一言一句改正されていないの
は日本国憲法だけで実質的に世界最古の憲法となる、と言われている。

 因みに、世界で最も古い1787年のアメリカ合衆国憲法は18回、スイス119回、
ノルウエーは139回も改正している。日本と同様の敗戦国ドイツは43回、イタリ
アも6回改正している。

 ところで、「憲法改正の是非について」衆参両院議員752人中465人のアンケ
ート結果を見ると、
   自 民・新 進・民 主・共 産・社 民・太 陽・さきがけ・公 明
 是  76%  78%  26%  0%    6%  82%   60%   44%
 非  19%  16%  72%  100%   94%  0%   20%   56%

 アンケート回答内容から、21世紀に向けて、柔軟な視点でその在り方を見つめ
直そうとする姿勢が多くの議員の間で強まっている。特に、若い世代ほど改憲志
向が強いことが明らかになったと分析している。

 今回の事件解決までの経緯を見て、日本にもペルー大統領のように、正義の
ためには己を捨てる覚悟を持った政治家の出現を期待したい。平和ボケの終焉
を願う!

 ◎ 平成9年5月10日に記したものであるが、8年前の状況が、現実的になって
  きた。憲法改正について、各党の草案が提出されるようになりその状況を
  喜びたい。
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