邦画ブラボー

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「ひき裂かれた盛装」

2007年03月01日 | ★人生色々な映画
黒岩重吾の小説「夜間飛行」を
映画化。

われらが成田三樹夫の役柄は
仕事のためには手段を選ばすにのし上がってきた
株の買占め屋。

やり手のレストラン経営者かおり(藤村志保)は
脂ギッシュな会社社長納谷(小沢栄太郎)の愛人を装いながら
納谷によって破滅した父親の復讐のために、
佐倉(成田)に近づき利用しようとする。
小沢の娘倫子(安田道代)も偶然出会った佐倉に好意を持つようになるが・・・

金と欲にまみれた世知辛いストーリーが
大映テイストにピタリ合っている!
監督は田中徳三。
世知辛いといえば、小松方正!が
小沢栄太郎の部下役で狡賢そうにたちまわっていて、ナイス!

藤村志保は派手めの小紋に
ややハスに結んだ帯、斜めの帯締め、
高くそびえたった菩薩ヘアと、
いかにも昭和の玄人風着こなしがステキではあるが
ネグリジェ姿で
成田三樹夫を寝室にいざなったり、
オフに訪れるのがレズビアンバーだったり、
プロレスラーのような女用心棒を従えたりと
清楚なイメージから脱却した思い切った役柄である。

そしてっ!

裏街道を生きる男の孤独感を眉間のあたりに漂わせ
藤村志保をベッドに押し倒し、
たくましい上半身を見せつけながら
純な安田道代を抱きしめ、
危険なオスの匂いをこれでもかと発散する
成田三樹夫の魅力といったら・・・

こたえられません
ミキオヘアも◎

「ドスの効かせ具合」は50%くらいでしょうか。
ワルになりきれない男の哀愁と
ちょっぴり茶目っ気も感じさせるニクイ役です。

真っ暗な空をそれぞれの目標に向かって
「夜間飛行」しているような登場人物たちが錯綜する。
それが何故「ひき裂かれた盛装」というタイトルになったのかはナゾだけど。

安田道代って実に生き生きしていて、どんな役でも上手い。

1967年 監督 田中徳三
脚本 池田一朗 原作 黒岩重吾
撮影 森田富士郎 美術 内藤昭  音楽 鏑木創

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