邦画ブラボー

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新藤兼人「我が仕事人生」

2007年03月13日 | ★TV番組
お母さんにあやまりたい・・
94歳現役監督の目から大粒の涙が
ポロリと零れ落ちるのを見てちょっとショック!
インタビュアーのお姉さんも
思わずもらい泣きしてしまっていた。

人の良い父親が借金を肩代わりしたことから
新藤家は没落。
一家は離散し、末っ子の監督と父母は土蔵で暮らしていたそうだ。

幼い日お金が無くておもちゃを買えなかった
母を「蹴った」ことへの後悔が
あの!人間の業を
えぐるだけえぐった作品を書き、撮った
新藤兼人の心を占めていたなんて。

「お母さんに手をついてあやまりたい」
監督は少年のように泣いていた。

極貧の生活の中、黙って死んでいった母親への思いから
傑作低予算映画「裸の島」は作られた。

まずこの映画、台詞が無い。

小さな島で暮らす殿山泰司と乙羽信子夫婦が灼熱の太陽の下、
黙って水を汲み、汲み、汲み続ける。

淡々とした日常が描かれているのだが
じりじりと胸をしめつけられるような緊迫感がたまらず、
夫婦が幼い息子を亡くす場面にいたって
とうとう私はギブアップしたものだった 爆)

今回、乙羽演じた主人公の名前が
新藤監督の母の名前「トメ」であったことを初めて知った。

親が出来なかったことを子供が成し遂げる。
監督の場合
父親の影は恐ろしく薄い。

何も言わずに死んだ母の思いが息子に乗り移って
迸るように作品へと昇華したのかもしれないですなァ。

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