邦画ブラボー

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まとめ・ドラマ版「飢餓海峡」

2007年02月01日 | ★人生色々な映画
目をみはるような驚きの演出が何箇所もあった。
実は何気なく見たドラマ版だったのですが、
最初に見たシーンが衝撃的だった。

立派な服装の山崎努が山の中にひとり居る。
沼をじっと見ていたかと思いきや、
何かにとり憑かれたかのように服を着たまま
いきなり泥の中にズブズブ入っていく。
その姿を見て
あわてて第一話から録りなおし、じっくり見ることにしたのである。

「気取るんじゃねえ!」のレイプシーンはもとより
スリップ一枚の藤真利子の前で、
興奮で
声が震えまくる客、殿山泰司。

「あ、焦るなあもううう!!」

どこか可愛い。

タッチの差で殿山に先をこされて
売春宿の玄関で男泣きに泣く河原崎長一郎も
すごく可愛いらしかった。

若山富三郎の前でしらを切りとおす新橋耐子の迫力芝居は
忘れられない。

とりわけ
最終回の演出はすごかった。
10年ぶりの再会の際、
爆発的な歓喜の絶頂で
樽見は八重の首を絞めるのである!!
その後、放心したように下半身は下着姿のまま
右往左往する山崎の姿に
ぞ~~っとする臨場感があった。
最終回はその後もすごいシーンが続き、
・ ・ショック場面に彩られたのでアル

刑事に詰問された折、目を白黒させてどもる山崎の
いまだかつて見たことがない芝居も必見だ。

ドラマ版は全8回に渡って
樽見(犬飼)のバックグラウンドや内面へと食い込んで行った。
弓坂警部補と杉戸八重に加え、
樽見の妻の内部へも分け入っていった。

戦後の貧しい時代背景の中、
なんとかして這い上がろうとする人間の浅ましさ
愚かさ、哀しさを感じて余りある秀作でした。

老人になった若山富三郎の述懐にかぶさる、
現世の人間が織り成すごたごた一切合財は夢、幻かのような
そして全てが浄化されていくような、
ラストのシュールな演出もまた、強い印象を残した。

企画:今村昌平
監督:恩地日出夫、浦山桐郎
脚本:石堂淑朗、富田義朗
音楽:真鍋理一郎

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