邦画ブラボー

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新選組始末記

2007年02月04日 | ★ぐっとくる時代劇
まず不安げな表情の藤村志保、斜め下のアップから
始まるところからして普通じゃない。
作品のスタンスがこのショットで示されている。

そして開けてみてびっくりの玉手箱!
新選組好きの方の血圧が、ぐわっとあがるような思い切った展開だ。

恋人(藤村志保)の反対を押し切り、
憧れの新選組に入った山崎蒸(市川雷蔵)の目を通して
驚きの内部事情がスピーディな演出で描かれる。
いわばダーク版新選組といったところか。

その暗部を一手に引き受けるのが
天地茂の土方歳三である!

近藤は堂々とした体躯、実直(そうな)風貌を生かした
表のイメージキャラクターとしての役割だ。
その裏で土方が手段を選ばず仲間を粛清、隊を引き締めていく。
とりわけたいへん残忍で卑怯極まりない手口の
芹沢鴨(田崎潤)襲撃はあっけに取られる。しかも
葬儀で美辞麗句を駆使し、棒読みの弔辞を読む近藤と、
隊員の前でさめざめと泣いてみせる土方に
全てを見ていた山崎(雷蔵)は唖然とする!

あまりのあざとさに筆者ここで爆笑。

冷徹な殺人マシーン沖田総司は
この作品では咳きひとつせずビンビンに元気だ。

長州の侍を拷問する天知茂は
新東宝の「憲兵シリーズ」を彷彿とさせる。

「いいか!オレは腹がたつと何でも出来る男だ!」
ゾォ~~~~~!!!

理想と違う隊の有り様にだんだんと不安になっていく山崎だったが
そんな気配が悟られ、自分の身も危うくなっていく。
クライマックスの池田屋事件は最高にドキドキさせる展開だ。
殺陣もリアルで目が離せない。

雷蔵の内面の演技はさすが。

そして恋人の無事を安堵しながらも、
軽蔑するような哀れむような淋しげな
「はあ~んそうだったのね」
と言っているような、
全てをひっくるめた藤村志保のラストの表情も素晴らしい。

1963年 三隅研次 監督作品
原作 子母沢寛
脚色 星川清司  
企画 辻久一
撮影 本多省三
音楽 斎藤一郎
美術 太田誠一

*映画の中のイイおんな*
藤村志保:「忍びの者」シリーズでもベストカップルだった
雷蔵・志保コンビ。一番しっくりくる組み合わせだと思う。
いちずな女性がよく似合っているなあ~~

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