邦画ブラボー

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「幕末」

2007年02月09日 | ★ぐっとくる時代劇
萬屋錦之介主演の「幕末」群像劇。
1970年 中村プロ。

武家社会の膿がたまっていた幕末、
大きな歴史のうねりが押し寄せようとしていた。

土佐藩での小さなエピソードが幕開け。
昔は身分によって履物も違っていたというのが驚き!
土砂降りの日、酔っ払いの藩士(山形勲)にぶつかった町人(大辻司郎)が
武士以外ご法度の足駄を履いていたために無礼討ちされる。
親切で足駄を貸した、いかにも弱そうな下級武士(片山明彦)も
やはりバッサリと斬られてしまう。

酔っ払った猛獣のような山形勲が、
長い包丁(!)を振り回し、怯える
町人や侍をざっくり斬る残酷描写がリアルだ。

騒ぎを聞いて駆けつけた若い侍(古谷一行・わっかあい~)が
槍で山形を刺し殺すも、深手を負い
かくまわれた先でこれも武士の面子を保つために腹を切る。

武家社会の矛盾や差別、こせこせしたしがらみ、
仲間同士の無駄な流血に反発する坂本竜馬(萬屋(中村)錦之介)の視線が
クローズアップされる。

文句を言いにいったはずの
勝海舟(神山繁)の人物の大きさに打たれ
「しぇんしぇい!」と頭を下げたり
モチ!長い長い殺陣シーンもあり、
熱い時代に似合う錦之介の大きな芝居が見られる。

仲間のいじめ?に合い切腹させられる近藤長次郎に 中村賀津雄、
中岡慎太郎:仲代達矢、 西郷吉之助(隆盛): 小林桂樹、
武市半平太 :仲谷昇 後藤象二郎;三船敏郎 とかなりな豪華キャスト。

桂小五郎役の御木本伸介が竜馬と論戦の場面で
体や声を震わすかなり力の入った芝居をしていてびっくり。
相乗効果か、テーマ故か、出演者みな力が入っている!

維新コーディネーター・総合プロデューサー、辣腕ネゴシエーターと、
今なら呼んでいたかもしれない竜馬の仕事ぶりと
世の中の激しい動きが駆け足でまとめられている。

みちょれ~みちょれよ~
だまってみちょれよ~
おらのやるこったぁ~おらしかわからんがよ~
よさこいよ~さ~こい

歌も上手い。

竜馬暗殺シーンは錦之介と
仲代達矢が殺られるのですから推して知るべし。
たとえ死ぬる!と言えども、
豪快にたっぷり魅せてくれる!

蛇足ですが絶世の美女だと思っていた
吉永小百合(竜馬の妻お良役)は、
めっぽうお歯黒が似合わないことが気になった。

1970年 監督  伊藤大輔
脚本 . 伊藤大輔 原案 司馬遼太郎
撮影 .. 山田一夫 音楽 佐藤勝 美術  伊藤寿一

*映画の中のイイおんな*
江利チエミ:お座敷の芸者役でちょっとだけ出て、
こぶしがまわった「よさこい節」を歌っています。
美女というわけではないですが
愛嬌があって可愛い。ここでは「粋」。
当たり前ですが、歌が上手~い。
元高倉健の奥さんでもありました。

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