邦画ブラボー

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「情炎」

2006年05月24日 | ★愛!の映画
衣笠+山本富士子のコンビによる、
新派の十八番といわれる「明治一代女」の映画化。

1955年..の 伊藤大輔監督版の木暮実千代もよかったけれど、
濃い!衣笠版も素晴らしかった。

勝新太郎が正統派の二枚目を演じていて違和感が少しあるが、
ドスを持っていない勝新も新鮮だ。

美しい日本家屋のしつらえや料亭の華やぎ、芸者の揃いぶみ、
芝居小屋の喧騒など華やかな見所がたくさんあるところに持ってきて
衣笠監督は
雪を降らせたり花びらを散らしたりと、空間さえも華麗に彩る。

うっとりとため息をついているうちに、雪が舞い散る中
三角関係による悲劇が起こる。
惨劇場面ですら美しいのも困ったものである。

衣笠作品は事件が起きるときのスペクタクル性、
はらはらドキドキの臨場感もすごい。

柳橋芸者の意地と男を想う女心が
嫌というほど伝わってくる山本富士子の名演技はさすがである。
お梅に横恋慕する、箱屋の巳之吉に船越英二が扮していて、
根暗で粘着質で意地が悪く、ストーカー体質丸出しのゆがんだ性格で大傑作だ。
(ぼろくそですみません)
伊藤版の単純でいちずな巳さん(田崎潤)とは
大違いでたいへん面白かった。

最初から最後まで完璧な衣笠世界が構築されている。

私は芸者姿(日本髪)が一番似合うのは
山本富士子だと思う。
「白鷺」を見て仰天したが、この作品を見て確信した。

1959年
監督 : 衣笠貞之助  原作 : 川口松太郎
脚色 : 衣笠貞之助 / 相良準
撮影 : 渡辺公夫 音楽 : 古関裕而
美術 : 柴田篤二

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