邦画ブラボー

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「悪人」

2011年11月07日 | ★愛!の映画

閉塞感いっぱいの寂れた地方都市で

孤独な男女が

出会ったのは「出会いサイト」。

出会いサイトっていう言葉自体が

うら悲しいです。

登場人物一人ひとりの内面を

抑えた演出で細密に表現していて

見ごたえがあった。

 

国道沿いの紳士服店に勤める

深津絵里が接客しているシーン。

客の足元にひざまづき採寸していると

裸足が見える。何か感じる深津・・

その後、それまで映りこんでいなかった客の妻が出てくるシーンも上手かった。

 

時々

どきっとするような台詞も含まれていた。

妻夫木くんに連れ込まれたホテルで深津絵里が言う

「女だってそういう気持ちになるときがあるとよ。」

赤裸々な女性目線の性欲表現でどきりとしましたね。

 

さらに深津が無邪気に

「いいね。海のそばに住んでいるとでしょう?」と言うと

暗い目の妻夫木君が言うには

「目の前に海があると、そこから何処へもいけないんだって思う。」

 

脱出不可能のアルカトラスの囚人のような言葉で

びっくりした~~~~!

ともかく主人公の祐一はそんな男なんですね。

 

娘を殺された柄本明の悲しみもよく伝わってきた。

怒りのこぶしは振り上げるけど、

打ち下ろすことは出来ない男であるところが悲しさに追い討ち。

妻夫木くんを育てたばあちゃん(樹木希林)の呆然とした

表情も悲しかったですね。

年取った弱いばあちゃんから金を騙し取るものもいたりして。

 

悲しい 暗い 悲しい 映画でした。

ずっと雨降っていたし。

雨の演出、よくありますが

 

ざあざあざあざあ・・

 

滅入ります。

 

久石譲の叙情的な調べが

さらに傷に塩をすり込むようにつらかったです。

 

「誰が本当の悪人なのだろうか?」

というキャッチコピーがありましたが

本当の悪人なんて誰が判別出来るのでしょうか?

 

人間の中には

常に善と悪が存在しており

そのせめぎあいの中で他者と折り合いをつけながら

危うく生きている・・のではないでしょうか?

さらに

他者を攻撃することによって

かろうじて自分を保つ弱い存在であり

その攻撃は卑怯にも常に弱いものへと向かっていく。

 

殺された女の子も人を小馬鹿にするような嫌な性格でしたが

それを上回るような冷酷な男(生田斗真君ナイス良かったです)に夜中の道路に蹴り出され

懲りたかと思いきや

助けに来た妻夫木くんを見下し・・という負の連鎖で、たまったものじゃないです。

 

でもそんな娘も柄本さんにはかけがえのない唯一無二の存在だったりします。

妻夫木くんも別れた生母から金をせびる面があるかと思えば

ばあちゃんにスカーフを買ってあげたりする優しさも持った青年です。

 

深津絵里が

自分に言い聞かせるように言っていた

最後の言葉は

色んな解釈があると思いますが

私は

自分にとってはかけがえのない善人でも

他人にとってはとんでもない悪人であることを

遺体発見現場で手を合わせる柄本明を見て

他者の傷みを見て

改めて(初めて?)自覚した言葉ではなかったのかなと思います。

 

何か現代の若者の閉塞感と心の貧しさを見せ付けられた作品でした。 滅入った~~~



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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (けん)
2011-11-08 03:03:07
TBさせていただきました。
またよろしくです♪
けんさんへ (ブラボー)
2011-11-08 19:02:41
はじめまして
TB?来てませんが?
おかしいですね。
とにかくよろしく♪

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