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老いの途中で・・・

人生という“旅”は自分でゴールを設定できない旅。
“老い”を身近に感じつつ、近況や色々な思いを記します。

法則について  その6 “ハインリッヒの法則” (別称:ヒヤリ・ハットの法則、Ⅰ-29-300の法則)

2018年11月15日 21時12分08秒 | 法則/心理効果・現象など
 1920年代にアメリカの損害保険会社で技術・調査部の副部長をしていたハーバート・ウィリアム・ハインリッヒ氏がある工場で発生した労働災害5000件余を統計学的に調査し、労災事故の発生確率を調査し、1929年11月19日に出版された論文が法則の初出もので、「1:29:300の法則」ともいわれる。

 これは、1件の重症事故の背景には、29件の軽傷の事故と、300件の傷害にいたらない事故(ニアミス)があるという経験則。またさらにその背景には、数千、数万の危険な行為が潜んでいたともいう。 つまり、事故の背景には必ず数多くの前触れがあるという内容で、これにより、ハインリッヒは「災害防止のグランドファーザー(祖父)」と呼ばれるようになりました。

 メディアとネットワークの発達した現代においては、たった1件の事故やクレームなどでも、十分に企業の存続を脅かすことがあり、このようなリスクを事前に回避することは、経営の重要課題となってきています。

 日本でも、この法則は「ヒヤリ・ハットの法則」として、色々な工場や工事現場などで広く伝えられており、現場仕事の経験者には良く知られています。
 私も園芸関係の仕事をしている時には、毎朝の朝礼で何度も何度も叩きこまれました。(まさ)

法則について  その5 “パレートの法則”(別称:2対8の法則、2-8法則)

2018年11月14日 22時21分34秒 | 法則/心理効果・現象など
(昨年の8月21日から今年2月にかけて4回ほどに亘り、「法則」に関する書き込みを致しました。久しぶりに再開しますが、この項については、最初に触れましたようにM.SHI氏(静岡県沼津市在住)の「科学的逍遥」やWIKIPEDIA、コトバンクなどのいろいろな資料を参考にさせていただきました。

 また、あくまで『法則』ですので、“例外のない法則はない”ということを忘れないで下さい。)


 再開の初めは“パレートの法則”と呼ばれる、イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが唱えた所得分布の経験則です。

 “全体の2割程度の高額所得者が、社会全体の所得の約8割を占める”というように、“経済において、全体の数値の大部分は、全体を構成するうちの一部の要素が生み出している”という理論ですが、現在では1対9かも知れませんね。


 この法則は、経済面だけでなく、色々な分野で応用されるのではないでしょうか。例えば

◆すべてのエネルギーのうち
  ・20人が80%を使い
  ・80人が20%を分けあっている

会社の売り上げなどについて
・セールスマンの上位20%が、全売上の80%を稼ぐ
・全商品のうち20%が、全売上の80%を稼ぐ
・全顧客の20%が、売上の80%を生み出している

教師の時間の80%は、クラスの20%の悪童のために費やされる。

電子機器(パソコンでもデジタルカメラでも何でも…)の機能の20%をマスターすれば、80%は活用できる。
 
◆受験に必要な知識の20%を完全にマスターすれば、80%の問題は解ける。
 (但し、受験に必要な知識の80%をマスターしたとしても、20点しかとれないこともある)

 色々と身につまされる法則です。(まさ)


法則について  その4  “ハロー効果”

2018年02月08日 20時07分25秒 | 法則/心理効果・現象など
(今回は法則という名は付いていませんが、昨日のピーターの法則と同様に、人物評価にも関係する問題で、心理学者エドワードソーンダイクが1920年に書いた論文の中でこの言葉を用いました)

 そもそも、ハロー(halo)とは、聖人の頭上に描かれる光輪のことを指し、ハロー効果(halo effect)、とは、ある対象を評価する時に、それが持つ顕著な特徴に引きずられて、他の特徴についての評価が歪められる(バイアス)社会心理学の現象のことを言いますが、後光効果とかハローエラーと呼ばれることもあります。

 他の目立つ特徴によって全体項目を評価してしまうという人間の傾向をよく示唆しているといえますが、ハロー効果は、良い印象から肯定的な方向にも、悪い印象から否定的な方向にも働くこともあります。
我々が良く使う諺でいえば、「あばたもえくぼ」とか「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」という諺は、この効果を表していると言えるでしょう。

 例えば、ある分野の専門家が専門外のことについても権威があると感じてしまうことや、外見のいい人が信頼できると感じてしまうことが挙げられますし、好感度の高い人をコマーシャルに起用するのは、このハロー効果の利用です。

 また、このハロー効果なるものは、人類が遺伝子的に持っている要素だとも言われています。
即ち、まだ人類の力が弱く生存競争が厳しかった時代を生き残って我々の祖先になった原始人たちは、熟慮するタイプではなく、決断力の早いタイプの人たちの方がより確率が高かったと考えられます。
つまり、少量のデータから導き出した結論に基づいて、速く判断するという傾向が生存に有利だったのであり、我々はこれを遺伝的に受け継いできているのというのです。


 なるほどそんな事もあるのかと思っていると、たまたま今日の夕方のTVで目にしたのが、企業などの採用試験で今までの面接に替えて、AI(私の好きな歌手のアイさんではなく、人工知能<Artificial Intelligence>です)を使用するような動きがあるようです。

 確かに、これだと第1印象だけに左右されない、ある意味ではより公正な選別になるのかも知れませんが、その内に「AI面接への対応法」のような手引書が出てきて、皆が同じような対応をするかも知れませんね。(まさ)

法則について  その3 “ピーターの法則”

2018年02月07日 20時32分42秒 | 法則/心理効果・現象など
 (昨年8月にこのシリーズの始まりとして、有名な「マーフィーの法則」を紹介しましたが、今回はその続きとして「ピーターの法則」です。今後も折を見て色々な法則を取り上げていきたいと思っています。)


 1969年に南カリフォルニア大学教授の教育学者ローレンス・J・ピーター(Laurence J. Peter)とレイモンド・ハル(Raymond Hull)との共著 THE PETER PRINCIPLE の中で提唱された社会学の法則です。
WIKIPEDIAなどによると、その概要は、

1)能力主義の階層社会では、人間は能力の極限まで出世する
したがって、有能な平(ひら)構成員は、無能な管理職になる。

2)時が経つにつれて無能は人はその地位に落ち着き、有能な人は無能な管理職の地位に落ち着く。
その結果、各階層は無能な人で埋め尽くされる

3)従って、その組織の仕事は、まだ出世の余地のある人間(無能レベルに達していない人)によって遂行される。

という内容です。

 色々な会社や組織で、良く耳にするのは「うちの上司って本当に馬鹿だね、前は非常に優秀だったというが本当か?」というような会話ですが、優秀な人が昇進に伴ってその人のスキルに見合わない地位になってしまい、無能の烙印を押される人が多いことを見ればこの法則は理解できるでしょう。
まさに、組織に属した人たちが何となく頷きたくなるような、非常に身につまされる法則ですね。

 要するに、今流行りの成果主義の怖さを説明するもので、“あらゆる有効な手段は、より困難な問題に応用され、やがては失敗する”という現象の事例でしょう。


 これらを理解するにはある程度の知的レベルとユーモア感覚が必要ですが、階層的組織においては、階層を昇れば昇るほど、「マーフィーの法則」や「ピーターの法則」などの素晴らしさを評価できる人が少なくなるように思われるのは何故でしょうか。

※ 最近の日本の政治や官僚を見ていると、この法則には更に付け加えたい事柄があります。
◆公務員では、“税金で給料を貰っている公僕という自覚など必要ではなく、如何に上の人の気持を忖度するかが大切で、知っていることでも記憶がないと言い切れる人が出世する”
敢えて言えば、“忖度の法則”とでも呼ぶのででしょうか。(まさ)

法則について  その2 “マーフィーの法則”

2017年08月22日 20時36分43秒 | 法則/心理効果・現象など
 まずは“If anything can go wrong, it will”(失敗する可能性のあるものは、失敗する)で、余りにも有名なマーフィーの法則です。

 この法則は、アメリカの空軍将校のen:Edward A. Murphy, Jrに由来されるといわれており、彼が参加したある空軍のプロジェクトの中で、色々なトラブル事例を調査した時に気付いた経験則を「法則」の形式でまとめ、1977年に出版された『Murphy's Law and Other Reasons Why Things Go WRONG』がアメリカでベストセラーになり、広まったとされています。
日本でも1980年頃からコンピュータ関係者を中心に知られるようになり、1990年代前半から広く流行しました。

 人生のあらゆるシーンで遭遇する、偶然とは思えない皮肉な現象を、鋭利な表現、機知に富んだ名文で、アメリカン・ジョークの代表とも言われますが、一方で“常に最悪の状況を想定すべし”という観念はシステム開発、労働災害予防、危機管理、フェイルセーフなどの分野で現実問題として重要視される考えとなっています。

 原本を読んでいませんので、WIKIPEDIAなどから拾い出した、『法則』 の一部を紹介します。
その基本は「何かうまくいかなくなる可能性があるときは、必ずうまくいかなくなる」です。

<総論・作業現場編>
◆起こる可能性のあることは、いつか実際に起こる
◆何か失敗に至る方法があれば、それをやっちまう
◆作業の手順が複数個あって、その内破局に至るものがあるなら、誰かがそれを実行する
◆もしすべてがうまくいっているようなら、あなたは確実に何かを見落としている
◆故障は、最終検査を無事通過した後に現れる
◆機械が動かないことを誰かに証明して見せようとすると、動きはじめる
◆作業場で道具を落とすと、もっとも手が届きにくい隅っこに転がり込む(下記★参照)
◆いちど認めた例外は、次からは当然の権利となる
◆過ちは人の常。過ちを人のせいにするのは、もっと人の常

<日常生活編>
◆落としたトーストがバターを塗った面を下にして着地する確率は、カーペットの値段に比例する
◆人生で楽しいことは、違法であるか、反道徳的であるか、太りやすい
◆洗車をすると雨が降る。(補足:但し洗車をして雨を降らすことは出来ない)
◆ゴルフにおけるベストショットは、一人でプレイしているときに出る
◆机の上のお茶は、いつも最も重要な書類のほうに向かってこぼれる

<テクノロジー編>
◆テクノロジーは、自らが理解していないものを管理する人間たちによって支配されている
◆馬鹿でも使えるようなシステムを作ってしまうと、馬鹿しかそれを使いたがらなくなる
◆物事をどんな馬鹿にでも扱えるようにするのは不可能である。馬鹿は独創性に富んでいるからだ

<乗り物編>
◆バスは、いつもは予定時刻に来ないが、自分が予定時刻に遅れた時に限って、定刻にやって来る
(補足:急いでいるときに乗り遅れたバスは、必ず次の信号に引っかかって止まっているのが見える)
◆満員の時、自分の立っている前の席だけが空かない
◆自分が席に座った時、疲れている時ほど目の前にお年寄りの人が乗り込んでくる
◆切符を買う時、自分の並んだ列がいつも遅い
(補足:私の経験では“渋滞の道路では、自分の選んだレーンが一番遅い”)
◆バスは、自分が急いでいる時ほど、渋滞にまき込まれる
◆20分ごとに来るバスに乗るための平均待ち時間は15分である

<TV編>
◆見たい番組は家を留守にしている時に放送される。
◆ビデオに撮ってまで見たい番組は、必ず野球中継が延長する。
◆面白そうな番組は、放送が終了してから新聞の番組欄で見つけることができる


 更にこれらを発展させた形で、色々な経験則が、あたかもマーフィーの法則のように言われているようにも思います。例えば、下記の様な文章が原本にあるのかどうかは不明ですが、いかにもマーフィーの法則らしいですね。
★作業場で道具を落とすと、もっともやっかいな場所に転がり込む。
補足:まず落し主の足にぶつかってから、やっかいな場所に転がり込む
★部品の法則
・小さい部品は、失くしてしまう。
・細い部品は、折れてしまう。
・丸い部品は、転がって行ってしまう。
・バネのついた部品は、飛んで行ってしまう

<補足>
1)『マーフィー 運命の法則』や『マーフィーの成功法則』という似たタイトルの書籍がありますが、こちらは潜在意識を活用することで自身や周囲の人さえも成功、幸福へと導くという「潜在意識の法則」を提唱した、ジョセフ・マーフィー牧師が著した自己啓発書哲学に基づいた数々の法則・教訓で、いわゆる「マーフィーの法則」とは関係ありません。
2)歌手の嘉門達夫に「まーふぃーのほうそく」という歌があるようなのですが、残念ながらまだ聞いたことがないので、どちらのマーフィーなのか不明です。(まさ)