鮎川俊介の「幕末・明治の日本を歩く」

渡辺崋山や中江兆民を中心に、幕末・明治の日本を旅行記や古写真、研究書などをもとにして歩き、その取材旅行の報告を行います。

2008年 夏の北海道西海岸・取材旅行 「風連別 その1」

2008-09-19 03:49:25 | Weblog
北海道には「ばんえい競馬」というものがある。馬が重い荷物を載せたそりを曳き、その力と速さを競うもの。この「ばんえい競馬」に使われている馬を「ばんえい馬」とも「ばんば」とも言う。漢字で書くと「輓曳馬」「輓馬」となる。この馬は、明治以後、軍馬や産業馬として外国から輸入されたものの混血で、在来馬(在来和種)とは異なり、体重も800~1200kg前後もある大型のもので、木材を運び出すなど主に重量物の運搬を目的として飼われてきたものだという。これに対して道産子(北海道和種馬)はずっと小柄。体高(肩までの高さは130cm前後)。日本には、現在、在来和種(洋種馬など外来の馬種とはほとんど混血することなく残ってきた日本固有の馬および馬種)は8種ありますが、その中でもっとも数が多いのが、この北海道和種馬(道産子)。ネットで道産子関係を調べてみると、共通するのは、丸い顔・優しく可愛い目・太い短い足・やはり太くがっしりした胴体・大人しく優しい・粗食に耐え、辛抱強く、頑丈な働き者といったところ。人懐っこいが必要以上に人間にベタベタしない、ともある。農耕馬としても乗馬用の馬としても、また運搬用の馬としてもほとんど欠点がない。しいて挙げれば、競馬用の馬と違ってスマートではなく速度が遅いことぐらい。ずんぐりむっくりしていて、愛嬌のある馬なのです。もともとは今や絶滅してしまっている南部馬が、江戸時代に内地から連れて来られたもの。それが蝦夷地(北海道)の山林原野に放し飼いされて、その気候・風土に適合していったものであるから、冬の厳しい寒さにもいたって我慢強い。冬、山林原野に放し飼いされて、背中に雪が降り積もり、胴体や鼻などからツララが垂れ下がっていても、一晩中、同じ場所にずっと立ち続けているほどの馬。冬、零下10数℃の世界を、全身霜をかぶったように真っ白になりながら荷物の運搬などに立ち働いたのも、この道産子でした。背中までの高さは130cm前後と、またがりやすく下りやすい。歩行の時の上下の揺れも少なく、性格もおとなしい。移動用の手段としても最適でした。なぜ上下動が少ないのかと言えば、和種の歩き方は「側対歩」であったから。すなわち、前後の足を片側ずつ左右交互に動かす歩き方であったから、だとのこと。兆民が増毛から乗った馬とはこういう馬だったのです。二、三里ほど乗ってみて、彼はすぐにその馬に慣れました。 . . . 本文を読む