鮎川俊介の「幕末・明治の日本を歩く」

渡辺崋山や中江兆民を中心に、幕末・明治の日本を旅行記や古写真、研究書などをもとにして歩き、その取材旅行の報告を行います。

2008年 夏の北海道西海岸・取材旅行 「稚内 その1」

2008-09-29 05:36:44 | Weblog
明治24年(1891年)9月8日の朝、兆民は、宮崎や馬子(まご・馬曳きで道案内を兼ねる)とともに、それぞれ馬(道産子)に乗って天塩の宿を出立。潅木が鬱蒼(うっそう)と茂った原野を二十町ばかり(約2km)進んだところで、天塩川の渡船場に出ました。この時、空がにわかにかき曇り、急に強い風が吹いてきました。渡し舟の船頭が、「人だけなら渡ることができますが、馬を載せてはなかなか渡れません」と言う。川を眺めると、波が立っていて、まるで海のよう。ということでやむなく馬首を回(めぐ)らして宿(菊地宅)に戻り、退屈しのぎに、宿の番頭を呼んでこの宿にあるたけの小説や軍書、新旧新聞紙などを持ってこさせて、それを蒲団に入りながら読むことに。翌朝は風もやみ外は快晴。嬉々として宿を出発した兆民一行は、天塩川を渡し舟で渡り、その日のうちに稚内に到着すべく、八里の道程を「飛ぶが如く」馬を走らせ(といっても道産子です)、正午頃、ワツカサカナイ(稚咲内)に到着。そこで昼食を摂ると、それより海浜に出て、左手に利尻島を見ながら抜海(ばっかい)というところに至りました。 . . . 本文を読む