「心ゆたかな暮らしを」  ~Shu’s Page

小説のレビュー、家族の出来事、趣味の事、スポーツ全般など、日々の出来事をつづりながら、一日一日を心豊かに過ごせれば・・・

本当に気持ちのいい小説です『清明』by今野 敏 

2021年04月10日 | 小説レビュー
 

~神奈川県警刑事部長に着任した異色の警察官僚・竜崎伸也。着任早々、県境で死体遺棄事件が発生、馴染みの警視庁の面々と再会するが、どこかやりにくさを感じる。さらに被害者は中国人と判明、公安と中国という巨大な壁が立ちはだかることに。一方、妻の冴子が交通事故を起こしたという一報が…。益々スケールアップの第八弾!「BOOK」データベースより

 

相変わらず一気に読ませる筆力!今野敏氏の『隠蔽捜査シリーズ第8弾 清明』やっぱり気持ちいい小説です!

この『隠蔽捜査シリーズ』は、推理小説のいわゆる「真犯人は誰だ!」的な内容ではなく、主人公の警察キャリア官僚である、竜崎伸也が、若くして警察庁長官官房総務課長という警察庁の出世街道を順調に走っていた矢先、身内の不祥事から左遷されて、所轄署長として赴任した小さな警察署の署長という立場から、旧態依然とした警察組織を立て直していくという痛快なサクセスストーリーです。

キャリア官僚としての順調な地位を固めていくのではなく、赴任先の署員たちからは白い目で見られつつも、自らの王道を真っすぐに実直に歩む姿に、地方と呼ばれるノンキャリアの警察官たちの評価を悉く覆していき、幹の太いキャリアを積み上げていきます。

今作では、いよいよ県警の中でもトップクラスに挙げられる神奈川県警本部の刑事部部長として就任した竜崎に、隣接する警視庁の刑事部長である同期の幼馴染の伊丹が絡んできて、ともに力を合わせて難解な事件を解決していきます。

対照的な二人のキャリア官僚が、時にぶつかり合いながらも警察という巨大組織を改革していく姿は痛快であり、読んでいて気持ちい小説です。

事件の解決というよりも、凝り固まって複雑に絡み合った警察組織を解きほぐしていく様に惚れ惚れするような気持ちで読み進めていけます。

現在はシリーズ第8弾(正確には10作目)で、いよいよ出世街道の道に復帰の兆しが見え始めた竜崎ですが、この隠蔽捜査シリーズの終着点は、竜崎が警察庁長官になり、伊丹が警視総監になるというエンディングと予想しますね。

いずれにしても、まだまだ続いてほしい作品です。

★★★☆3.5です。

 

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿