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町田氏の「猫愛」が溢れる作品『猫のエルは』by町田康

2021年01月18日 | 小説レビュー

『猫のエルは』by町田康

~「それでは第十二号議案、『猫君の暴虐に関しての対策案について』ですが、この件についてご意見のある方はおられますか」―諧話会議。
はやく魔法がとけるといいですね。いつとけるかはわかりませんけれども。―猫とねずみのともぐらし。
こんな眼で私を見るものはこの世にひとりしかいなかった。私方に二十二年間住まった錆猫、ココアである。―ココア。
でもそれでいいのだいったん死んでこの世に帰還したエルは生きてるだけで儲けだから―猫のエルは。
「私はできれば犬になりたい。犬になって元の家に戻りたいんです。可能でしょうか」―とりあえずこのままいこう。猫の眼で、世界はこんなふうに見えている。文章と絵で贈る、5つの猫の物語。


レビュー数は二桁と少ないのですが、とっても評価が高かったのと、町田康氏の作品なので図書館で借りてきました。
5つの短編が収められており、効果的に配置されているヒグチユウコさんのイラストと相まって、不思議な世界観を演出しております。
町田氏の「猫愛」がそこかしこに溢れていて、目を細めながら読みました。
イソップ童話のような物語やエッセイ風のものまで多岐にわたる5編なので、視点や物語のテイストが変化して面白い読み物だと思います。
「さすがは町田氏!」と拍手を送る一方で、猫派より犬派の私にとっては、そこまで感情移入できなかったのが残念です。

★★★3つです。


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