「心ゆたかな暮らしを」  ~Shu’s Page

小説のレビュー、家族の出来事、趣味の事、スポーツ全般など、日々の出来事をつづりながら、一日一日を心豊かに過ごせれば・・・

薄く浅く…残念『李歐』by高村 薫 

2021年01月22日 | 小説レビュー

『李歐』by高村 薫 

~惚れたって言えよ―。美貌の殺し屋は言った。その名は李欧。平凡なアルバイト学生だった吉田一彰は、その日、運命に出会った。ともに二十二歳。しかし、二人が見た大陸の夢は遠く厳しく、十五年の月日が二つの魂をひきさいた。『わが手に拳銃を』を下敷にしてあらたに書き下ろす美しく壮大な青春の物語。「BOOK」データベースより

 

拡散しすぎて焦点がボヤけた感じ『マークスの山 上・下巻』by髙村薫

に次いで、高村薫女史の作品は二作目ですが、僕には全く合いません

マークスの山のレビューでも書きましたが、何か大ぶろしきを広げて、「どんな結末に持っていくんや!?」と読者を引っ張るんですが、全く期待外れというか、冗長なストーリー展開でダラけまくりでした。「最後までよく読んだよ」と自分で自分を褒めたいです。

一彰と別れた李欧が世界の市場を相手に大暴れして、とてつもない財力を手にするらしいのですが、何ともハリボテ感というか取って付けたようなお話でした。

緊迫感がほとんどない割に、変なとこだけリアルなこだわり(工場のシーンとか、拳銃の構造など)があり、肝心のストーリーはボヤけた感じで、物語に没入できませんでした。

李欧のカリスマ性は、何となく伝わったんですが、そのカリスマが、なぜ平凡な一彰に惹かれ、生涯のパートナーとして選んだのかという説得力が全くなく、モヤモヤした感じでした。

また中途半端な男色描写も良くわからず、原口や笹倉のキャラクターについても中途半端で、怖さや緊迫感は全然ありません。

なのにいきなり工場があんなことになって・・・ その後は何の追及もなく、無事に一彰は中国に渡り、最後はハッピーエンドという、全く面白くない小説の代表選手のような作品でした。読むのに時間がかかった分、評価は低くなりました。

★★2です。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿