新城駅は私鉄豊川鉄道の駅として明治31年(1898)開業、昭和18年(1943)に国鉄、昭和62年(1987)にJR東海へと移管されています。現在の駅舎は玄関上の建物資産標から、昭和15年12月(1940)竣工と思われます。駅舎外観は直線を基調とした端正なデザインですが、玄関に張り出した大きな車寄が特徴で、外壁の基礎部分を石貼りにして、木製の窓枠や持ち送りにセセッション風の装飾がみられます。
新城駅周辺は、駅橋上化や自由通路の整備などを盛り込んだ活性化計画が進んでおり、数年後には現駅舎が取り壊されるのは確実と思われます。東海地区ではおなじみの名鉄も、ここ数年で戦前の木造駅舎がほとんど建て替えられてしまいましたが、比較的多くの戦前の駅舎が残るJRのローカル線も、これから同じ運命をたどることになりそうです。
◆新城駅(JR東海 飯田線)/愛知県新城市宮ノ西30
竣工:昭和15年(1940)
構造:木造
撮影:2014/05/03
■駅舎全景
■軒の持送りと窓廻りの木枠に装飾的なデザインがみられます
■駅待合室~壁の最下部、床に接する部分にスクラッチタイルが貼られています
■「S15.12」の表示がある建物資産標
飯田線沿線は初めての訪問でしたが、近代建築も含めてとても一日ではまわりきれませんでした。
古い駅舎も含め、また近いうちに再訪したいと思っています。
飯田線の愛知県内には牛久保、三河一宮、野田城など昔ながらの駅舎が残っていますが、機会があるたびに鉄道を利用して、訪れておきたいと思います。