かどの煙草屋までの旅 

路上散策で見つけた気になるものたち…
ちょっと昔の近代の風景に心惹かれます

東京ステーションホテル物語

2009-04-22 | 

第2回目100円古本ショップでございます。
今回もたった100円で、至福のひと時が過せる面白本を紹介いたします。


■東京ステーションホテル物語/種村直樹/集英社/1995年/定価1800円→買値105円

 赤レンガの東京駅にあるステーションホテルについて、多方面にわたり綿密な取材をして書かれています。駅とホテルの歴史はもちろんのこと、ホテルゆかりのミステリー作品とともに、実際に宿泊した作家のエピソードなども紹介されています。近代建築はもちろん、鉄道とミステリーも大好きな私は大変楽しめました。

<松本清張と東京駅> 
 東京駅は多くのミステリーに登場しますが、特に松本清張が「点と線」で使った、東京駅13番~15番線ホームの空白の4分間は有名です。清張は「点と線」の連載が始まった昭和32年頃、東京ステーションホテルの客室を愛用しており、「点と線」の空白の4分間のプロットもこのときに思いついたのではと著者は推理しています。
 最近は清張生誕100年にちなんで、映画やテレビドラマ化が盛んで、「点と線」はビートたけし主演でドラマ化されました。今年は「ゼロの焦点」が映画化されるようで、昭和30年~40年代が舞台の清張の作品が、半世紀を経てまたブームを迎えたのは面白いですね。過去にも映像化された作品はたくさんありますが、個人的には「張り込み」(昭和33年)、「ゼロの焦点」(昭和36年)、「砂の器」(昭和49年)がベスト3です。