続いて、“土の刀剣”光悦茶碗の紹介。光悦は永禄元年(1558)京都に
生まれ、寛永14年(1637)に亡くなる。80年に及ぶ人生の晩節に茶陶
の創作を行った。ただし、刻銘や印など光悦本人が手がけた事を裏付
ける確証がない。しかし、千家周辺の茶会に茶碗が使用され“光悦作”
と伝承されてものが伝わっている。それが樂茶碗だ。
第1弾が「黒楽茶碗 銘 時雨」(江戸時代、本阿弥光悦作、陶製、8.6
/12.4/5.1cm、一口、愛知・名古屋市博物館所蔵)は、静かな印象の黒
茶碗。
手捏ね工程で腰に丸みを持たせ、見込みが深い。胴から口縁までは
抑えられ、口は少し外返り。また口はへらで水平に切られ鋭い。底は
輪高台風でごく低い。
黒いつやのある釉がかけられ、見込み部分は厚く外面は逆に殆どか
かっていない。その分、土味が独特の雰囲気を醸し出している。
全体的に、凜とした静けさを漂わせ、初冬特有の時雨景色を表現し
ているようだ。
元は三井家にあり、天保年間頃に平瀬家に渡る。明治に入る戸田露
吟が手にし、さらに名古屋の茶人・下村実栗が入手。その後、森川如
春庵へ譲られている。この経緯は中箱蓋裏に下村自身の書き付けで知
られる。
TNM(台東区上野公園13-9)
生まれ、寛永14年(1637)に亡くなる。80年に及ぶ人生の晩節に茶陶
の創作を行った。ただし、刻銘や印など光悦本人が手がけた事を裏付
ける確証がない。しかし、千家周辺の茶会に茶碗が使用され“光悦作”
と伝承されてものが伝わっている。それが樂茶碗だ。
第1弾が「黒楽茶碗 銘 時雨」(江戸時代、本阿弥光悦作、陶製、8.6
/12.4/5.1cm、一口、愛知・名古屋市博物館所蔵)は、静かな印象の黒
茶碗。
手捏ね工程で腰に丸みを持たせ、見込みが深い。胴から口縁までは
抑えられ、口は少し外返り。また口はへらで水平に切られ鋭い。底は
輪高台風でごく低い。
黒いつやのある釉がかけられ、見込み部分は厚く外面は逆に殆どか
かっていない。その分、土味が独特の雰囲気を醸し出している。
全体的に、凜とした静けさを漂わせ、初冬特有の時雨景色を表現し
ているようだ。
元は三井家にあり、天保年間頃に平瀬家に渡る。明治に入る戸田露
吟が手にし、さらに名古屋の茶人・下村実栗が入手。その後、森川如
春庵へ譲られている。この経緯は中箱蓋裏に下村自身の書き付けで知
られる。
TNM(台東区上野公園13-9)