第103回全国高校野球選手権大会の地方大会が、この灼熱の夏の中で開催され、すでに県代表が何県か決まっています。
そんな中、悲しいお知らせが舞い込んできました。
我が母校、星稜高校野球部にコロナ陽性者が出たとのこと。
コロナ陽性者の事実を石川県高野連へ届け出て、その結果を学校で協議し、7月22日開催予定であった準々決勝(対 遊学館)の前日に、本大会の出場辞退が決定されたということでした。
コロナ感染に関しては、いろいろ思うところはありますが、本当に残念で残念で、選手たち(特に3年生)や保護者、ご家族の皆様にはかける言葉が見つからないと言うのが、この記事を書いている現段階の心情でもあります。
最後は、試合に勝つにせよ、負けるにせよ、自分たちが2年半の間で積み上げてきてパフォーマンスやチーム力、あらゆるものを試合で出し切って終わって欲しかったと心から思います。
今回の事態は、誰も悪くないし、誰の責任でもない。
その事を心において、3年生の選手の皆さん(1・2年生も)なかなか心の整理はつかないと思いますが、ゆっくりでいいので前へ進んで欲しいなとOBとして心から思います。
コロナに翻弄されない世の中が早く到来し、大観衆のもと、何も考えず野球に集中してプレーできる日が早く来ることを願います。
そんな中ではありますが、第101回全国高校野球選手権大会のトレーナー活動記を書かせていただき記憶に留めておきたいと思います。
この智辯和歌山高校との試合は、おそらく球史に残る名勝負の一つとなったでしょう。
この試合は何が良い悪いではなく、一球一打に意味があり、すべてが緊張感で張り詰めており、両校がこれまで練習で磨き上げてき技術や試合運びなどのパフォーマンスやメンタル、すべてが表出されて激突した試合となりました。
両校の応援も素晴らしかった
星稜応援曲『星稜コンバット』 智辯和歌山応援曲『ジョック・ロック』これも心に響きました。
そして、最終14回の試合が決まった時の、会場の空気が渦を巻くような歓声・悲鳴。規模の大きさは違えど、第96回大会の石川大会決勝で味わって以来の空気でした。鳴り止まない拍手も同様です。
素晴らしい試合に居合わせ幸せを感じました。
両校の磨き上げられたプレーの一つ一つが輝いて見えました。
遠くて分かりずらいですが、解説は、智辯和歌山 前 監督 高島先生・星稜 名誉監督 山下先生
第101回全国高校野球選手権大会 ~3回戦~ 8月17日(大会第11日目)第2試合
星 稜 智辯和歌山高校(和歌山)
智 辯 000 001 000 000 00 1
星 稜 000 100 000 000 03x 4(タイブレーク)
投手:(星稜)奥川 14回完投 投球数165 被安打3 四球1・死球2 奪三振23 自責点0
(智辯)小林 3回2/3 投球数70 被安打4 四死球2 奪三振3 自責点1
矢田 1回1/3 投球数18 被安打1 四死球0 奪三振2 自責点0
池田 8回1/3 投球数88 被安打5 四死球1 奪三振5 自責点1
攻撃:星稜 10安打(本塁打1)残塁11 併殺1
智辯 3安打 残塁9 併殺2
守備:星稜に失策1 暴投 :智辯1
試合時間:2時間51分 観衆:約45000人
星稜高校は、なんと言っても、奥川投手の23奪三振、この内容が凄まじかったです。
足が攣った時にはヒヤッとしましたが、その後も気持ちをしっかり持って、150kmのストレートを連発し連続三振をとったところなどは圧巻でした。延長に入っても、あの気力と体力は素晴らしかったです。
この試合はまず彼がいなければ実現しない試合でした。
浅い回に1アウトランナー1塁で三振ゲッツーをとった時は、低めの変化球で空振りをとりました。その時、ワンバウンドしたボールを送球するという難しい場面でしたが、山瀬捕手の素晴らしいキャッチング・スローイング・強肩が合致し、ショートの内山選手がベース上でランナーを待つほどの速球ストライクボールの送球をしたところは鳥肌が立ちました。
サード知田選手もいいプレーで試合を引き締め、春からの成長がみられました。
セカンド途中出場のセカンド山本選手もいい守備をみせました。
レフト有松選手、彼も嫌なヒットになりそうな当たりを好捕しました。
攻撃では、10安打を放ちながら、なかなか得点できなかった所は、智辯和歌山投手陣のレベルの高さを感じました。
しかし、星稜打線が打線として機能しているのは、下位打線を打つ、福本選手、岡田選手、大高選手が好調を維持して、下位に来ても気が抜けない状況をつくった所にもあるのだと思います。
そして、最後に福本選手が、昨夏の悪夢を打つ消すかのようなサヨナラ3ランホームランを放ってくれました。
この試合は目立ちませんでしたが、点の欲しい所でキッチリ犠牲フライを打った山瀬選手も良かった。
4番の内山選手は、この試合、いいスイングでヒットを放っていましたし、彼の中で何かがつかめた試合だったのではないかと見ていました。
すべて選手のプレーや集中力が一つの線に繋がり、この素晴らしい試合が創られたと感じました。
智辯和歌山高校も、三人の投手を継投し星稜打線を抑えました。先にも書きましたがレベルの高い投手リレーでした。
最後、マウンドで崩れ落ち泣いておりましたが、池田投手のピッチングを見たとき、もし14回終了して決着がつかない場合の、それ以降の試合展開が心配になったほどでした。
打線も3安打ではありましたが、気は抜けないのは当たり前ですが、スイングの鋭さは怖いものがありました。
打席に立ったバッターの中で唯一、奥川投手から三振を喫することが無かった西川選手。6回にはジョック・ロックが鳴り響く中、鋭い打球をライトにはじき返し打点を挙げます。
奥川投手の出来が素晴らしかったというのが智辯打線を抑えることが出来た理由ですが、全てのバッターが打つ雰囲気漂う素晴らしいバッターでした。
そう智辯和歌山というチームは”スキ”を見つけることができないほどの、こちらも星稜とガップリ四つの集中力を持って試合を展開していました。
最後の幕切れは、打球が放たれた刹那は無音になるほど、その1球に球場全体が集中していたかのような空気でした。
忘れろと言われても忘れることができない試合となり、試合終了後も脊髄の中の方がゾワゾワする感じが少し続いた事を覚えています。
決勝戦も素晴らしかったですが、この試合は今大会のベストゲームだと私は思っています。
実は、夏の選手権大会を見ると、石川県 和歌山県の対戦は、これまで石川県の6連敗中でした
第9回大会(1923・大正12) 和歌山中 9ー2 金沢商
第45回大会(1963・昭和38) 南 部 2ー0 金沢泉丘
第61回大会(1979・昭和54) 箕 島 4xー3 星 稜(延長18回)
第63回大会(1981・昭和56) 和歌山工 4-0 星 稜
第88回大会(2006・平成18) 智辯和歌山 5-2 金 沢
第98回大会(2016・平成28) 市和歌山 8-2 星 稜
[完全版] 延長18回 1979年夏 [箕島 対 星稜] [ああ甲子園の高校球児]
YouTube「ああ甲子園の高校球児さん」の動画より
そう、あの伝説の試合、『神様がつくった試合』称され語り継がれる、星稜 箕島 との一戦も延長戦での決着でした。
当時、私は小学校5年生。
この時、私は「星稜高校で野球をしよう」と心に決めた記憶があります。星稜高校野球部グランドは当時の私の自宅からも近かったこともあり、よく練習や試合を見にいってました。
この日、大会第11日目は、もう一つ面白い現象がありました。
第1試合 高岡商業(富山) 4-9 履正社(大阪)
第2試合 星 稜(石川) 4-1 智辯和歌山(和歌山)
第3試合 敦賀気比(福井) 3-4 仙台育英(宮城)
第4試合 鶴 岡 東(山形) 6-7 関東第一(東東京)
そーなんです。北陸三県が連続で試合をした日でもありました。
こんなことはあまりないのではないかと思います。残念ながら富山、福井両校とも惜敗ではありましたが、両試合ともに好ゲームでした。
選手の心と技と体が一つになり、それがチームに伝搬し、相手チームとも共鳴した時、素晴らしい試合(場)が創られるのではないでしょうか
そんな場に立ち会うことが出来、心から感謝、感動した試合でした。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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