二葉鍼灸療院 院長のドタバタ活動日記

私が日頃行っている活動や、日々の鍼灸臨床で感じたことなどを綴っていきたいと思います。

食は健康長寿の源 ~伝統に学ぼう①~

2008年11月18日 | 食の智恵
11月15日(土)読売新聞 「ショック 食」より。

≪読売新聞は今秋、読者参加の食卓調査「にっぽんの食卓」を実施、約500食の写真を集めた。写真からは、煮炊きをしない家庭、好物をバラバラに食べる家庭など、多様な食生活がうかがえる。「子供は外出、夫の帰宅は遅く、夕食は買ってきた総菜を一人で」(46歳 女性)。家族の変化も映し出される。
                
「一汁三菜」…ご飯とお汁、おかずと香の物で成り立っていた庶民の食は、高度経済成長を経て急速に崩れていく。銘々皿が大盛りになり、学校給食の影響で、パンと焼き魚と牛乳が並ぶ。清涼飲料水のペットボトルが汁椀に取って代った。タンパク質、脂質、炭水化物のバランスがとれた「和食」の伝統が消えつつある。
                
今はダイニングテーブルに大皿が並び、企業戦士の父は帰らず、テレビの音が流れ、携帯電話で対話する。しつけが崩壊し、それぞれが好きな物を食べ、共食の必然性がなくなった。日本人は食卓の変化を受け入れてきたが、その柔軟さゆえに、情報に踊らされ、生活習慣病が増え、格差が広がった。コミュニケーションがない食はやせ細る。「食事とは何か」の核を見直す時が来ている。≫


また、11月18日(火)、同じ読売新聞より。

≪最近、イカの塩辛の塩分を減らして食中毒を起こした事例があった。伝統的な塩辛は、常温でも食中毒菌が繁殖しにくくなる「食の安全」も保証していた。その知識を受け継がないと危険な事態を招く。
調理や鮮度の変化などで食べ物のおいしさがどう変わるかを考えるのが調理科学の基本だ。日本人が経験的に得てきた昔ながらの知恵は重要である。それが断絶すると日本の食の未来はどうなるのだろうか。≫

                 

記事の一部を抜粋させて頂きましたが、「食」というものも時代とともに変化すると言えばそうなのですが、その結果が生活習慣病が蔓延し、さらにガンにかかる人も増え、2015年には死因の2分の1を占めるまでになるとも予測されています。また死亡する人の数は減りましたが、脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など)を発症する人数は増加しています。腎臓透析の患者さんも増えています。

その大きな原因の一つに「食」があるのではないでしょうか

また、食卓は行儀や作法、躾の場でもあります。また、栄養となる食物に感謝する場でもあります。そして、家族が団欒し、一日の始め、締めくくりにコミュニケーションする場でもあります。戦後の急速な核家族化もこの家族団欒の場を崩した原因でもあります。父母がいない時はおじいちゃん、おばあちゃんが、子供たちとコミュニケーションをとっていました。

食卓は幸せを感じる場でもあるのです。そうすれば体の中に入った栄養はさらに栄養価の高いものとなるのではないでしょうか。そして、食事をつくったお母さんも皆が美味しく食べてくれると、嬉しくて生きがいを感じるのかもしれませんね。

さて、戦前は日本有数の長寿村とされてきたところに、山梨県上野原村棡原(ゆずりはら)がありました。その棡原地区の長寿たるゆえん、また、戦後、近代化の波にのって急速に食が変化し短命化をたどっていった理由を、昭和元年から約60年間の食生活の変化と死亡原因を調査することによって、地域住民の疾病構造や健康状態においてどのような影響があったかを調査分析し書かれた書籍があります。

その中より

≪周知のように日本人の食生活は、昭和20年の敗戦を契機として大きく変化した。一口で言えば、窮乏の二十年代、充足の三十年代、過剰の四十年代を経て現在に至っている。食生活サイドからみれば、現在は飽食と偏食の共存である。
                 

人生の過程に起こるいろいろな病気をさけ、老人の命とりと言われる脳卒中、心臓病、ガン等を乗り越え、一世紀近く生き抜いた、昔の棡原地区住民の食生活は、これからの食生活の指標として価値あるものと信じ、いろいろな角度から12年間検討してきた。
棡原の食生活は、戦後急速に変化し、かつての長寿村特有の主食であった大麦、ヒエ、キビ、小麦、その他の雑穀や、いも類が減少し、逆に動物性食品、砂糖、嗜好飲料が増加してきた。このような食生活の変遷の影で、大きな変動を示したのは、ビタミン、ミネラル、脂肪、コレステロール、食物繊維の摂取であろう。こうした変化が近年、成人病の発症に大いに関与しているように思われる。たしかに近代化が進み白米を中心とする精白食品等のおいしいものに食卓が占領された飽食文化の中で住民の健康は退化していく傾向が見られる。≫

『長寿村・短命化の教訓 医と食からみた棡原の六〇年』
                古守豊甫 鷹觜テル 著


日本の伝統食にこそ、日本人の健康長寿の秘訣があるのだと思います。その地方に適した「食」が。基本がしっかりしていれば、ダイエットだからとバナナに競って飛びつくこともなくなるのではないでしょうか。

それでは、どんな「食」を目指すべきか要約を書きますと~②へ続く。

二葉鍼灸療院 田中良和

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