二葉鍼灸療院 院長のドタバタ活動日記

私が日頃行っている活動や、日々の鍼灸臨床で感じたことなどを綴っていきたいと思います。

新型インフルエンザについて ①

2008年11月22日 | 新型インフルエンザ
このところ新聞などにたびたび記事が出たりする”新型インフルエンザ”についてご存じの方も多いと思われます。今、なぜ新型インフルエンザが話題になっているのか考えてみたいと思います。

現在、世界で新型インフルエンザの大流行(パンデミック)が懸念されています。いつ大流行してもおかしくない状況に、日本をはじめ世界のウイルス感染に関わる機関が情報を集め注意深く監視しています。

新型インフルエンザとは、鳥インフルエンザ(H5N1型)のウイルスが源となります。これは皆さん記憶にも新しいかと思いますが、京都や大阪、宮崎、岡山など各地の養鶏場で鳥インフルエンザが流行り(世界的に大流行)、数十万羽が大量処分されました。感染力が非常に高いため早急に処分したのです。

ウイルスも生き物(お腹に共存している細菌たちより小さい)ですから、環境に応じて生き残るために形を少しづつ変えていきます。それが鳥から人間に感染するように変異したのです。インドネシア、中国などアジアを中心に、アフリカなど各地に広がっています。なぜヨーロッパやアメリカに広がらないのか疑問なところもありますが。

2008年6月までに確認されているもので、世界で385人が鳥インフルエンザに感染し、243人が死亡しています。致命率は63%と非常に高くなっています(鳥が感染すると致命率は100%)。以前、ニュースでも十和田湖やサロマ湖などで白鳥の集団死が確認され、同じ種類のウイルスが見つかっています。渡り鳥から感染することはないと思いますが、死んだ鳥には極力触れないほうがいいようです。

さて、この鳥インフルエンザについて心配されているのが、ウイルスが変異しヒトからヒトへ感染する恐れが高まってきたからである。実際、ヒトからヒトへの感染は少ないながら確認されています。中国江蘇省南京市において昨年、ある家庭の父親(54歳)と息子(24歳)が鳥インフルエンザウイルスに感染し、息子が死亡した事案でした。中国側は今回の感染について「ウイルスの遺伝子変異はない」とされていますが、亡くなった息子さんの感染源など詳細が明らかでないため不安もあるようです。世界は、このヒトからヒトへの感染が広まったときを警戒しているのです。

人類はこの大流行(パンデミック)を経験しています。それは1918年、第一次世界大戦の末期、スペインのマドリッドで大流行した風邪、いわゆる「スペイン風邪」のことです。これは世界的な戦争という状況も手伝い、フランス、ドイツ、アメリカ、インド、日本など世界各国に拡がっていきました。当時は風邪とされていましたが、この感染源はカモのウイルスであって、これがヒトからヒトへ変異しました。これは、単なる風邪ではなく、「スペインインフルエンザ」だったのです。

ドイツ軍は1918年の7月、パリ近郊にまで迫ったが兵士たちが高熱に見舞われ、多くが銃の引き金もひけない状況となり大量投降しました。第一次世界大戦を終了に導いた大きな要因はこの「スペインインフルエンザ」だと言われています。

戦争終結後、各軍人、戦争に関係のあった人々が母国へ帰り、ヒトからヒトへ感染するように変異したウイルスを世界的に広めていきました。世界で4000万人以上の人が亡くなりました。ドイツで23万人、アメリカで55万人、最大の被害を受けたインドで1600万人の人がこのウイルス感染が原因で亡くなりました。

日本でも45万人もの人たちの命が失われました。こんなことを比較してはいけないかもしれませんが、関東大震災では10万人、東京大空襲でも10万人、広島・長崎の両原爆で22万人の尊い命が失われました。それよりもはるかに大勢の人が目に見えないウイルスによって命を失っています。

それから約80~90年たちました。このスペインウイルスは、その後も、形を少しずつ変化させながら、1957年にアジアインフルエンザ、1968年に香港インフルエンザ、1977年にソ連インフルエンザと小流行を繰り返しています。これらのウイルスは基本的にタンパク組成がH1N1型のウイルスであり、スペインウイルスなどと同じ系統であるため、人類はそれに対応する免疫力を身体の中に保持しています。だから大流行はしません。

しかし、今、問題になっている鳥インフルエンザはH5N1型という人類が未だかつて遭遇したことのない系統のウイルスであるため、身体が免疫力をもたないため、大流行(パンデミック)が心配されているのです。

このような情報も知っておくのと、知らないのとでは、もし万が一、大流行が起こった時の対応に差が出てきます。毎日、怯えながら生活する必要は全くないのですが、世界では最重要課題の一つとされていることを記憶して頂ければありがたいと思います。

先ほど、中国でヒトからヒトへの感染が報告されたと書きました。2008年8月8日、北京においてスポーツの祭典”オリンピック”が開催されました。その後、ハンディキャップをものともせず前向きにスポーツに取り組む方々の世界の祭典”パラリンピック”も開催されました。連日、今まで培ってきた成果を発揮し、素晴らしいアスリートの戦いを見ることができました。

それをさかのぼること、7月16日、中国のチンタオで1200人の方がウイルスが原因であろう症状によって亡くなったようです。16万人に感染が憂慮されたということもききました。チンタオには日本の企業が1135社も進出しています。そして、飛行機で、船で、列車で、多くの人が世界を、日本を行き来しています。これ一つ考えても、大流行する確率は高くなると思います。

世界、とくにアジアに進出している各企業は、この新型インフルエンザの情報、そして、社員に情報を周知し、大流行した時の対策マニュアルをつくっているところも多いようです。

また、日本でも鳥インフルエンザの感染で亡くなった方が3名おみえになるそうです。ヒトからヒトへ感染する変異は確認されていないので安心だということです。しかし、日本にもその足跡は少しずつ多くなってくることが予測されます。

長くなりましたので、日本の対策、世界では、症状についてなど、次に書いていきたいと思います。

二葉鍼灸療院 田中良和

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