精子の未来を考えるという何か壮大なテーマのようですが・・・
そんな壮大なことは書いていません。
そして妊活や鍼灸については、少ししか書いてありませんのであしからず。
最近公開(2022.11.15.)されたある論文を読んでいて私が感じたことを書かせていただきます。
1981年~2013年までの研究のメタ回帰分析で得られた精子濃度(SC)・総精子数(TSC)の研究データは、北米、ヨーロッパ、オーストラリアの人たちが対象のデータでした。今回は、PubMed、Medline、Embase(2020年データベース)などの文献検索をもとに2014年~2019年までのデータも検索し、1973年~2018年のデータを再度、SC、TSCについて解析を行った論文です。
『精子数の20世紀と21世紀の経時的変化』
6大陸(北米・中南米・アジア・アフリカ・ヨーロッパ・オーストラリア)の53カ国の研究が対象となり、2936件のヒットの中から288件がピックアップされ解析されました。
集団レベルで、精子濃度(SC)、総精子数(TSC)の大幅な減少が報告
1973年~2018年のSC減少率は41.5%(精液量に変化はなし)
上記の平均SCは、1億400万/ml 4900万/mlに減少
この減少は続いており、さらに急激になっていると推測
SC年間減少率=1972年以降 1.16% 2000年以降 2.64%
TSCも同様の傾きをみせている
男性のリプロダクションヘルスを考えていく必要がある
と簡単にいうとこのような内容が書かれた論文でした。
精子の数は減少、機能も低下してきていることはテレビ番組や研修などで知ってはいましたが、全世界的に減少傾向というのが驚きでした。
これは日本においても現実なのだと思います。
「だからあなたは精子の数が少ない」というのはなく、世界的にこのような傾向にあるということを示しています。
国連人口推計によると2022年11月に世界の人口は80億人を突破したとのことです。
世界では、中国が約14億2600万人、インドが約14億1600万人と人口において他国を圧倒し、2030年にはインドの人口が15億人となり世界第1位となると推測されています。
2064年には、約97億人が地球上の住人となり、ここが人口のピークになるのではないかと予測されています。
日本の現在の人口は、約1億2540万人ですが、内閣府の予測によると2050年の日本の人口は約9700万人と1億人を下回る予測ということです。
世界の人口を考えると、日本の人口は増加する方が良いのか、減少する方が良いのか考えるところではあります。
そこの政治や政策的な話はおいておきます。
現在、生殖医療学会などの発表をみていても男性不妊の演題が多くなっています。
不妊の原因の約半分は男性側にあるとの推計になっていますから当然と言えばそうかもしれません。
不妊治療が発展してくれば、そのような状況になるのは当たり前ですし、上記の論文のようなことがあれば妊娠率や出産率を上げていくためには、男性部分の改善をすすめていく必要があるのでしょう。
さて、話は女性になりますが、医療の分野のみならず、経済の分野と結びついて現在、世界で、日本では少し遅れてフェムテック(femtech)というものが注目されていることをご存じでしょうか
これは、女性(female)✖ 科学技術(technology)を掛け合わせて造語です。
その言葉の意味は、生理から妊娠、出産、更年期、メンタルヘルスにいたるまで、女性特有の健康課題に対してテクノロジーを用いて解決に導くサービスや製品を指しています。
このような流れが国をあげて推進する流れになっています。フェムテック振興議員連盟というものが2021年に結成されているくらいです(野田聖子 衆議院議員が会長)。
この分野、只今急速に進んでいます。
これは大事なことですし、当院でも妊娠しやすいカラダづくりのための鍼灸を提供している関係上、推進していただきたいことです。
フェムテックについては、今度、時間のある時に記事を書きたいと思います。
何が言いたいかと申しますと、上記の記事などを考え合わせると女性のフェムテックがあるのであれば、男性のメルテック(男性の英語はmale)があってもいいのかなと・・・男性はあまり経済的なものと結びつかないのかもしれませんね。
しかし、医療という観点からすると、妊活に励む男性はその点の考え方の変革が必要かもしれません。
男性こそ、生活習慣改善や自身の体調管理に資本をかけて、より良い精子、より元気な精子、たくさんの精子たちをつくる必要があるのだと。
女性に限らず男性も早期に結婚すること、それには今のままの経済や社会では絵に描いた餅にしか過ぎないかもしれません。
そこには政治の力も必要になるのだと感じます。
元気な精子は、自分(男性・夫)の遺伝情報を後世に繋ぐ重要な分身です。
まずは自分ができる生活習慣の改善から行っていくことも大事な一歩だと思います。
下記の記事も参考にしていただければ嬉しいです。
当院では引き続き、妊娠しやすいカラダづくりのための鍼灸を提供していきます。
奥様だけではなく、今後は旦那様の元気にも力を入れていきたいと考えています。
鍼灸を行ったから精子所見が改善するというエビデンスはありませんが、精子は毎日作られるということは、それだけ生活習慣や男性の調子に左右されやすいことは大いに考えられます。
その体調をメンテナンスし、来たるセックスの時、来たる不妊治療(検査・治療)の時、万全の体調を整え、少しでも元気な精子が増加すると、それは妊娠や受精、着床の確率が上がるというものです。
女性の鍼灸施術の場合もそうですし、妊活のための鍼灸に限らず全ての鍼灸施術に言えることですが、鍼灸は魔法の治療法ではありません。
体質を改善し、カラダの状況を変化させていくには、それなりの期間と鍼灸の回数が必要となります。
女性や子どもたちが元気で輝く社会
男性が自信を持ち、元気に活躍する社会
そんな社会の実現のため鍼灸を活用できたらと2022年年末に考えております。
何かご相談等がございましたら、些細なこと、小さなことでも結構ですので、下記HPにお立ち寄りいただき連絡をお待ちいたしております
来年はきっと良い年になりますよ
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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