二葉鍼灸療院 院長のドタバタ活動日記

私が日頃行っている活動や、日々の鍼灸臨床で感じたことなどを綴っていきたいと思います。

第33回 加賀・三策塾(学術研修会) 参加

2010年07月12日 | 鍼灸
7月4日(日)、毎月、第1日曜日に行われる学術研修会に参加しました。

九州などは大雨でたいへんなことになっておりますが、金沢は梅雨とは言ってもそんなに雨量が多くない、そんな梅雨が続いています。

本日は、雨でしたが、雨が降るべき時には降らないとね。そんな日も必要なのです。ほどほどがいいのですが、天気にしても、人生にしても、人間の都合のいいようにはいかないもんですね~。

 本日の金沢の空(卯辰山より)

第33回 加賀・三策塾
 日 時:平成22年7月4日(日) 午前10時~正午
 内 容:①症例報告…「下肢筋力低下が球脊髄性筋委縮症であった症例」
                       金はり治療院  山村美樹 先生
      ②第59回全日本鍼灸学会学術大会 参加報告
                        参加者の感想とディスカッション
      ③鍼灸・医療最新ニュース
      ④業界報告・連絡事項



 金沢市鍼灸マッサージ師会 会長 新保先生 ご挨拶

症例報告では、普段、鍼灸院では患者さまとして経験できないような症例を報告して頂きました。臨床経験も能力も豊富な山村先生です。石川県でもたいへん繁盛されている治療院の一つでしょうね。
このような希な疾患を「治す」のではなく、このような疾患があることを「知り」、患者さまの身体が改善していくには、あるいは、患者さまご自身で身体状況を理解して、どう病気と向き合って行くことが、人生を有意義に過ごして頂くために必要なのか、その指導の持って行き方など勉強させて頂きました。また、そのためには、鍼灸治療を行うべきなのか、西洋医学での精査や治療が必要なのか、鍼灸師が「知って」「行動する」ために、臨床でどう考えていけばいいのだろうかということの方法論なども参考になりました。


 症例報告を行う山村先生

症例は、48歳 男性。会社員。腰がジクジク痛む(安静時でも)、長く歩けない(両下肢の筋力低下のため)を主訴で来院。2009年春ごろより、下腿が痛くなり、歩きずらく、階段も力を入れないと登れなくなってきました。腰痛も出現。総合病院整形外科でもMRIなどの診断では腰椎椎間板ヘルニアだということでした。
その症状改善のため鍼灸治療を希望され来院されました。問診や徒手検査、触診などの結果、腰痛は腰椎棘間部の障害からくるものだろうと想定。しかし、夜間痛、両下肢筋力低下、深部腱反射の減弱があることから、慎重に経過を観ていきました。
鍼灸治療により、夜間痛や腰痛はほぼ改善したが、下肢症状に変化なく、下肢後側の筋線維束収縮を発見し、気になったため神経内科を紹介。さらに総合病院においての筋電図、DNA検査の結果、「球脊髄性筋委縮症」と確定診断されました。
その後も、患者はご自身の病気を徐々に理解しつつ、腰痛や肩こりをとるために鍼灸治療を継続されているとのことでした。



 座長の中田先生と山村先生

世の中、いろんな病気があるのです。本当に知らないことばかりですね。だから勉強に足を運ばないといけないのですね。これは患者さまのためなのです。

さて、「球脊髄性筋委縮症」とはどんな病気か簡単に…

有病率は10万人あたり1~2人程度と推計。男性が発症します。
遺伝性下位運動ニューロン疾患で、四肢の筋力低下および筋委縮、球麻痺を主症状とし、女性化乳房など軽度のアンドロゲン不全症や耐糖能異常、高脂血症などを合併。筋力低下の発症は30~60歳で、経過は緩徐進行性。原因はアンドロゲン受容体遺伝子の異常。
徐々に筋力が低下し、発症10年で嚥下障害が顕著となり、発症15年程度で車イス生活を余儀なくされることが多く、通常、誤嚥性肺炎(呼吸機能低下による)などの呼吸器感染症が直接死因となることが多い疾患です。
有効な治療方法は確立されていません。

日頃、腰痛や下肢筋力低下により歩行や階段昇降しづらいという患者さまは鍼灸院には多く来院するのではないでしょうか。治療経過があまりよくない患者さまの中には、神経内科や脳神経外科領域で、鍼灸適応外の患者さまがお見えになるかもしれません。

しかし、ここで大切なのは、その後も腰痛や肩こりの改善のために鍼灸治療を継続されていることだと思います。「治す」という立場ではなく、患者さまの生活の質(QOL)の改善や、身体や心の不安を取り除くために、そんな意味では鍼灸治療は効果を発揮するものと思われます。

これは、患者を鍼灸治療院だけで囲い込むのではなく、患者さまの病態に適した医療機関へ紹介することが大切な要素なのだと感じます。患者さまのためには当然のことなのですが、そこに医療者と鍼灸師と患者の信頼関係が生まれ、患者は、それでは、「身体症状の軽減と、少しでも体を良い方向に向け、疾病の進行を少しでも遅らせることができれば…」そんな目的に鍼灸治療を継続していこうということになるのだと思いますね。

本当に奥深い、貴重な経験を報告して頂きました。

その後、私が座長になり、大阪で6月11日~13日に開催された第59回全日本鍼灸学会学術大会の参加報告をいたしました。鍼灸医療の現状は厳しいんですが、それに気づいていない方も多いようで…勉強会や研修会に参加されている同業者は意識は高いと思います。今、流行って、患者さまがたくさん来院されている先生方も、これからの先の展望が見えないと、未来は厳しい状況になってくると思うのです。
その時が来て、ただ文句を言ったり、批判だけをされても、それは自身が原因をつくった上での結果であると思うのです。そうならないためにも、表面に症状として出てきていない「今」こそ、しっかり勉強しておいたほうがいいのではないかと思います。
東洋医学は”未病を治す”医療なのですから、治療家自身がしっかりと自分の立場を観て対処していかないと…と私は最近強く思うのです。杞憂で終わってくれればいいのですが

本日も、短い時間ではありましたが、しっかり勉強させて頂きました。

二葉鍼灸療院 田中良和

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3 コメント

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前世はやっぱりマグロ?? (みっちいまま)
2010-07-14 10:12:02
なんて 朝から失礼なこと言っちゃいましたごめんなさいm(__)m

本当に乾いたスポンジのように沢山のこと吸収されてるんですね!これじゃぁ 恋愛してる暇ないでしょうか?←ちょっとおせっかいですね。

日々勉強と前進あるのみの先生の生き方には脱帽です。私も、新しいパンの先生に移籍できたら先生としてもっと精進してお勉強していきたいとあらためて思いました!

水野先生も今の鍼灸の在り方に凄く危惧されていて、だから思い切って大学に行かれたんだと思っています。

ところで・・・唐突ですが、小金町って武蔵から車でどれくらいでしょうか?
最初に通っていた心療内科がエムザの裏で、私は海側環状から金沢駅を通り越して武蔵に出る方が遠回りでも空いていて、走りやすいのです。大体武蔵まで30分位です。

それと やっぱり即薬を止めないといけないのでしょうか?
水野先生と治療方針や診断方法が違うと思いますが、やっぱり連携は無理でしょうかね・・・

金曜日に三重に伺うので相談してみますけど、私としては治療もですがメンタル的に支えて下さる方で、西洋東洋両面の知識の豊富な方で、お聞きしたら答えられる範囲で、何かしら答えて下さる先生。鍼灸治療に専念されている先生で、たとえば扱ったことのない症例でも勉強してでも何とか治療してみようとか補助的に何かできないかとか、そのあたりで水野先生と同じようなスタンスで臨床になってもいいので色々一緒に試行錯誤して下さる熱心な先生がいいなぁって思っています。
今は月に1回の三重だけの治療なので、下垂のこともあるし。。。

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図星で~す (二葉院長)
2010-07-14 19:33:51
みっちいまま さん

いつもコメントありがとうございます。

いや~図星ですね~恋愛する暇がないんですよ~…な~んて、言い訳でもしておきますかね(笑)。

でも勉強するのが、自分がこの仕事に就いた使命でもあるんですね。だから乾いたスポンジではあるのですが、なかなか吸収しても、「吸えない!」ほどには、ならないんですよね。
まあ、一生勉強、一生青春、一笑幸福?!なんですが。

さて小金町は武蔵からだと、武蔵野交差点から彦三町方面への道へ曲がって、道なりにまっすぐ来て頂きますと…HPの地図みるとわかりますかね。車が空いていれば、10分もかかりませんよ。

薬のことですが、できればやめたほうがいいですが、長期間服用しているなら、一日おきにするとか、2日間出なかったら服用するとか、急激にやめるのは、あまりよくないかもしれませんね。

水野先生との連携ですが、できることはできますが、私が水野先生の治療方法で治療することは難しいと思います。それぞれの感性も違うわけですからね。治療家が自信をもってできない治療方法では、いくらマニュアル通りやっても、「同じ治療方法、同じツボなのに…」となってしまいます。

そこが鍼灸では難しいところなんですがね。

でも、みっちいまま さん をサポートするのに連携はできないことはないと思いますよ。

患者さまの苦痛を少しでも軽減するために努力することは、鍼灸師すべて同じ気持ちだと思いますよ。中には利益優先の人はいますが、石川県には少ないのではないかと感じます。
皆、熱心ですよ!!
返信する
ありがとうございます (みっちいまま)
2010-07-14 20:48:00
いつも水野先生が仰っていることはいかに治療者が腕が良くても患者さまと信頼関係が築けないと上手くいかない。二人三脚が必要だと。

ただ、水野先生のお考えや親しい先生がおられたら、そちらに行ってみるかも知れません。

水野先生は一応の治療方針は書いて下さってますが、あとは治療者が自分で判断して変えて行くものだとは仰ってました。月に1回伺うことはできるだけ続けて行こうと思っています。
まぁ、どちらかの都合で行けない月もあるかもしれませんが。

私は敏感なので、鍼を深く刺すことはできないです。めまいや治療後の倦怠感が増すことがあるから。一時的ではあるんですけどね・・・。

止めてしまうことも考えたんです、実は。水野先生だから信頼し3年半も通ってきたので。
でも、せっかく良くなってきているところもあるし、何より減薬した時のことを考えると、〈不眠とか)サポート的には鍼灸が、東洋医学が’漢方薬も)私には合ってるなと思うし、せっかく3年半土台を試行錯誤して私に治療してきて作って下さった水野先生にも、恩を仇で返すように思えたので、今もまぁ、主人とのデートが半分なのと気分転換と兼ねてですが、贅沢だけど三重に通ってるわけです。

昨年はスーパーもあんまり気乗りしないし、大型ショッピングセンターなんかATM以外はダメでしたから。外食なんてもってのほか。
それが、三重に行かれて最初は落ち込みましたが(お正月のメールで先に気付いてしまったけど・・・勘がいいから)。

ただ、主人が(普段は無口)珍しく『離れたことで近づくことも気づくこともあるよ!いいじゃん!月に1回でも押しかけて行きゃぁ!』
この言葉に救われました。見直したというか惚れ直しましたよ!主人が水野先生にお願いしてくれたり、携帯に電話してくれたり。水野先生も私に言うタイミングを先に主人を近くに呼び出されてから、主人が促してくれて家に来られたし。連絡がつかなくて不安になって鬱状態になった時も、主人が水野先生にいつから三重に通えるか電話して聞いてくれたんです。

だから、二人でほとんど旅行もドライブも言ってなかったのに、このことがきっかけで主人と温泉めぐりや(日帰りですが)安くても外食したり、大型ショッピングセンターで見て歩けたり。

今は 近くのしまむら位なら洋服も買えるようになったんですよ!主治医のお陰も勿論あります!
話を聞いて下さるだけで、一切不安になることは仰らないし良く笑われる方で温厚で。。。
今までの主治医で一番信頼できます。

ただ、このところ続けて人間関係や主人の仕事のことや、息子の就職がまだ決まらないなど、次々と不安材料を仕入れてしまって、主人にも今は、勤務が不規則なのであんまり話すタイミングがなくて。

だから、勝手と知りつつ田中先生に独り言をつぶやかせて頂いて、助かってます。m(__)m
金曜日に、水野先生と良く話し合って来ますね!お返事ありがとうございます!
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