土曜日はカルカッタで一緒だったちよちゃんにいろいろと説明しながら、白髭橋の炊き出しのカレーの容器の回収をしていた。
彼女にはまずこう言った。
「ここでは週に一度、たくさんのおじさんたちと関われるチャンスを神さまから与えられている、ボランティアとは施設に帰ってからも話は出来るから、可能な限り彼らと接するように、そして、愛を渡せようにするんだよ」
公園を歩きながら、「ここで二人で居る人、誰か友達が居る人は良いけど、一人でカレーを食べている人たちは孤独だから、そういう人と会話が出来るように」と伝えた。
彼女は「でも、怖いんです。話しても答えてくれなかったりされると考えると・・・」と答えた。
「怖く感じるかもしれないね・・・。でも、それは自分のなかだけの話だよね、愛を与えると言う意識もない状態だよ。もちろん、その問題も考えながら、自分のその感情を乗り越えられるように」
そんな話をしながらある一人のおじさんが水飲み場のところで一人でカレーを食べていた。
そこで二人で自分たちがカレーの容器を集めるために待っていると思われてしまえば、ゆっくりと食べることも出来ないだろうと思い、そのおじさんには「ゆっくりと食べて、あとで容器を持ってきてね」と伝えた。
その後、ちよちゃんも一人でおじさんたちのところに行き、挨拶や話しをしていた。
すると水飲み場でカレーを食べていたおじさんがカレーの容器を自分のところまで持ってきてくれた。
やせ細り、少しふらふらしながら歩いてきたので、彼の方に近寄って行った。
「どうです?ご飯は食べれていますか?おじさんはアオカン{路上で生活すること}?ドヤで生活している?」
あまりにも痩せているので路上で生活しているように思われた。
「いや、ドヤです」
「そうなんだ。福祉を受けているんだね」
「うん、障害です。HIVなんです」
「そうなんだ。ちゃんと薬も飲んでいる。訪問看護婦も来ている?」
「はい、薬も{そう言って彼はズボンから一砲された薬を見せてくれた}看護婦さんも来ています」
「コスモスかな?」
「そうです」
彼は何の不安もなく、ごく自然にHIVだと話してくれた。
そこには自分を何かのきっかけで信頼してくれていたこともあるかもしれないが、病気と真っ向から向き合っている落ち着き、その力があったかもしれないと感じながら、彼としばらく話をした。
{つづく}