海上撮影家が見た上海2

上海で撮影活動をしている海原修平のBlog。「海上」とは上海の逆で、新しい上海という意味。更新は不定期。

HDから発掘された写真 Canon FD 35mm f2で撮影

2014-12-21 | 遠い記憶-上海 オールドレンズ

浦西から浦東を

 

以前在籍した組織の裏側はまだ古い街並が残っていて、浦東の超高層ビル二本がビルの隙間から見えていた。この時使用したレンズは、CanonFD 35mm f2にレンズ補正付きアダプターを使いCanon EOS 5DⅡで撮影。EOSマウントになる前のCanonNFDやFDレンズは、フランジバックの問題でEOSマウントに付ける事は出来ないので、補正レンズが付いたアダプターを使うしかない。ところが、この補正レンズ付きマウントアダプターが結構曲者で、開放付近で撮影すると本来のレンズ性能からはずいぶんとかけ離れた悪い方向に向かうので相当不人気なマウントアダプターだった。(最近のは幾分改善されたらしい)

 

線は太いが

 

このFD-EOS変換マウント(旧型)を使うと線が太くなり繊細な描写はしないし、光源を画面の中に入れると盛大なフレアーが出るので注意が必要で、ハイライトがかなり滲む。でも私の眼は近乱視なので裸眼で見ているのにとても近い。それと、世の中に存在する物はあまり鮮明に見えない方が美しいと自分では思っているので、最近の最新デジタル用レンズにはほとんど興味が湧かないのだ。なので、ある意味経済的にも懐に優しい。ただ、最新のデジタルカメラ用レンズの中で、フジのXシリーズレンズの開放付近の描写は個人的に大好き。

 

 光源が入ると滲む

 

この補正レンズ付きアダプターを使う場合は、2/3ほどアンダーで撮影しRAW現像の時に露出を持ち上げた方が結果が良いのと、絞りはどのレンズもf2くらいがお勧め。つまりf1.4のレンズであれば一つ絞って、f2からf2半がちょうど良い。私が使っている補正レンズ付きアダプターは初期のタイプなのでおそらくもう売ってないようで、今のタイプはずいぶんと補正レンズの性能が良くなったと聞いている。

Canon FD 35mm f2 補正レンズ付きアダプターを使用しEOS 5DⅡで撮影

 

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レンズの焦点距離の話

2014-12-20 | 写真日記

「音」元シェフのダンさんとステラ

 

外付HDの中から懐かしい写真を発掘。衡山路にあった「音」の元シェフのダンさんとスタッフのステラ。左端の顔の輪郭がボケて写っているのは、身長の高さと顔から見るとアシスタントの余英。CanonFD 50mm f1.4に補正アダプターを付けCanon5DⅡで撮影。絞りは開放で、シャッタースピードは1/4だったのでブレてしまったが、それはそれで良しとする。

レンズの焦点距離で一本選べと言われたら、数年前から60mmから65mmとの相性が一番なのだが、そんな焦点距離で明るいレンズは少ない。あるとすると1960年代から1970年代初頭まで存在した古いレンズたちで、手元にはTopcor58mmとCanonFL58mm f1.2がある。65mmという焦点距離はおそらくライカのビゾ用エルマーのみだろうが、エルマーはf3.5なのでこんな場所では暗過ぎて使えない。そんな時、Canon FDレンズ50mmに補正レンズ付きアダプターを付けると約x1.3倍になり65mmくらいになるのでちょうど良い。ただ、レンズの各収差が増えるのが問題だが、それも味として目的に合わせて使っている。

ところが、最近視力の衰えで一眼レフカメラでピント合わせが厳しくなってきた。特にライカRレンズを使う場合は、キャノンのフォーカシングスクリーンでは絶対に無理。そうい意味では、ミラーレスのピーキング機能を使えばまったく問題ないのだが、ピーキング機能が使えるフルサイズのミラーレスはSONYしか無いのが残念。リコーあたりがフルサイズでレンズ交換式ミラーレスを出してくれると良いのになぁ……。

今後のデジカメの主流は、間違い無くミラーレスのカメラに向かうだろうな。軽量コンパクトなフィルムカメラを作ったのはライカ社で、スタイルはミラーレス。ライカに始まり一眼レフ全盛時代を経て、巡り回ってカメラはライカスタイルに戻る気がするな。ペンタックスなんて未だにフルサイズ一眼レフを作ってないが、もしフルサイズを作るなら必ずミラーレスをやるべき。

☆レストランバー「音」は、2014年5月に衡山路周辺再開発の為閉店。

 Canon FD50mm f1.4 補正レンズ付きアダプター使用  ボディはCanon 5DⅡ

 

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上海東方文化傅播中心でお茶を

2014-12-19 | 写真日記

極上の烏龍茶を

 

ギャラリーを一巡りした後、この日招待された作家や批評家とアートや日中の文化の話をしたのだが、避けて通れない過去の大戦の話も出てくる。その話になると多くの日本人は避けて通りたいと思っている人が多いが、それは間違いだ。そんな時は相手の言っている事を正確に聞き取り、相手の目を見て歴史的事実を含め自分の考えを相手に伝えるべきだと私は思っている。それが出来ないようであれば、相手との信頼関係も絶対に生まれない。それで相手との関係が崩れるなら、私はその場で崩れた方がマシだと思っている。

こんな場で話の潤滑油となってくれるのが、お茶の先生であるダニエルが淹れてくれる極上の烏龍茶だ。そのお茶の香りと味は心を平常心に戻してくれるので、とても穏やかで静かな時間が流れるので会話も弾む。上海のギャラリーで茶藝師が常駐し極上の茶が出てくる場所は、おそらくここだけだろうな。

数日後、再度ここへ来て作品を持ち込んだ。どうも、ここで出会った人達とは、長い付き合いになりそう。

 

 

外からの木漏れ日が美しい

 

ギャラリーの中にある茶室

 

今日の話とは直接関係ないが、お勧め本を一冊。それは「茶の本」明治の頃に岡倉天心が海外向けに英語で日本の文化を紹介した本の翻訳版。この本は十数年前に一度読んだのだが、すでに本は手元にない。それが、今はkindle版で無料で読めるのだ。この本は、本来外国人向けに日本の文化を書いた本なのだが、日本人であるなら是非読んでみるとよい。茶を通して芸術の話もあり、内容は今でもまったく色褪せてない。無料のkindle版「茶の本」は、コレ。読みづらいなと思う人は有料だが、「新訳 茶の本 ビギナーズ 日本の思想」kindle版もある。

 

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上海東方文化傅播中心

2014-12-17 | 写真日記

 

 

中国茶の先生からティールームが出来たので来いと誘われていたのだが、一昨日やっと行ける事に。行って見るとティールームもあるのだが、そこはギャラリーで、その日は「西蔵的秘密」というタイトルで3人展が開催されていた。

 

 

ここが面白いのは、昔作られた地下防空壕をギャラリーに改装しているところ。上海で防空壕に入ったのはこれで二度目で、一度目は1996年に上海文廟横の細い路地に怪しい入口があり、当時はビリヤード場やミニ映画館や怪しいカップル喫茶などが商売をしていた。おそらく上海には無数に防空壕があったはずだが、今はどうなっているのか我々にはわからないが、探せばまだ無数に残っているのかも知れない。

 

一枚欲しいけど…。

 

 ギャラリーとしては、大きくなく小さくなくちょうど良い大きさ。誰でも気軽に入る事ができるので、是非。

☆「上海東方文化傅播中心」魯班路X丽园路889号  

XF35mm f1.4

 
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RE GN TOPCOR 50mm F1.4は、アトムレンズ

2014-12-16 | 写真日記

左のGN TOPCOR50mmf1.4は上海のカメラ屋の物で、右が私の同じレンズ

 

RE GN TOPCOR 50mmf1.4は、RE AUTE TOPCOR 58mm f1.4の後継レンズで、1973年にSUPER DM用としてデビュー。そのほとんどが海外に輸出されたようなので、日本で見かける事はほとんど無かった。それより前のRE AUTO TOPCOR58mm f1.4があまりにも有名になり過ぎたため、その描写性能は一般にはほとんど知られてない。一般的な言い方をすると開放での描写は、前作の58mmトプコールよりかなり優秀でシャープだが、開放で少し滲むような描写が好きな人には物足りないレンズかも知れない。それと知っておかなければならない事として、二線ボケ傾向が強い事なのだが、それを上手く生かすととても面白いレンズといえる。

私のこのレンズは、アメリカでデットストックだった物を里帰り品として買ったので新品だった。買った当時はマルチコーティングのおかげもあり、レンズを覗くととてもクリアーに見えた。ただ、トプコンのレンズはエキザクタマウントとはいえ、ちょっと特殊な作りなので普通のエキザクタ変換マウントでは、一部の突起が干渉して取付ける事ができなかったので、しばらくカメラケースの中で眠っていた。今年に入ってNOCTでM42マウントに改造してもらったのだが、最近見ると黄変している事に気づき、ネットで調べてみるとアトムレンズだった事が判明。上の画像で右のレンズはUV照射後の私のレンズで、左のレンズは上海のカメラ屋からの依頼でUV照射をする前の状態。

 

ヘリコイド部のゴムの劣化を避けるためアルミホイルで武装

 

約24時間UV照射でスッキリと黄変がとれた

 

UV照射約24時間で、何だか気持ち良いくらいにスッキリと黄変がとれてしまった。おそらく普通に外で使っている分には黄変しないと思うので、防湿庫に眠らせるとよくないという事ですな。

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