路地裏にひっそりとさり気なく佇む百貨店は、上海市内ではすでに消えつつある。私は普段はこんな店で買い物はしないが、通りすがりにちょっと思い出したように買い物をするのには便利。前世紀の上海はこんな店が街中ひしめいていたので、普通に街を歩いていても視覚的に結構楽しめた。今の若い人たちはネットで物を買うのがある意味当たり前になっているので、こんな店を利用するのは近所の年齢層の高いオバハンだけ。
物の売り買いも時代と共に大きく変わってきたのは何処の国も同じで、同じ物を買うなら老舗でという発想は今の若い人達にはあまり無い。これはネットの影響が一番大きいのだが、その時代に追従して商売をやっている会社と昔ながらの慣習にしがみついている会社とでは今後差がさらに広くなる。もちろんすべての事例に当てはまる訳ではないが、時代の変化が早過ぎるのと顧客のライフスタイルの流れについて行けない地方の会社も多い。
上海から日本に帰国する時に、地方のカメラ販売店に立ち寄り営業をしてから東京へ向かっていたのだが、様々なその都市の実情を知るとあまり意味が無い事がわかったので、やめる事にした。やっぱり現実を実際に見て聞かないと本当の事はわからない事を実感。一言で言えば、情報源が東京一極集中過ぎて世界中の情報が入ってないので、すべてが受け身なのと時代の先取り思考がない事。そして、地方では職業写真家とその仕事が激減している事。ワンカット数百円で仕事を受ける地方のカメラマンもいるようだが、上海では絶対にありえない話。