菊池のぶひろの議会だより

日本共産党 桜川市議会議員 菊池のぶひろの活動報告です

2015年11月の「取手中3自死事件」、 いじめの構造を読み解く

2024年07月04日 13時53分00秒 | 地方政治
2015年11月の「取手中3自死事件」、いじめの構造を読み解く

 「第三者調査委員会の報告書」を読んでみました
いじめは、「孤立化」、「無力化」、「透明化」の3段階をへて、「人を奴隷化する」ものであると、精神科医・中井久夫氏は定式化している。その理論にそって、2015年11月におきた取手市立中の女子生徒自殺事件を、解明してみました。
 はじめにつくられた「第三者調査委員会」が任務を全うできず、2017年6月に解散しました。しかも、報告書が却下されただけでなく、調査資料は廃棄してしまったという、公務員の世界では考えられない暴挙をしています。
その後、県知事の肝いりでつくられた「第三者調査委員会」(特例で、事務局は知事部局におかれた)の報告をもとにしています。
 この報告は、大津いじめ事件の調査報告書(被害者側の要望で、尾木直樹=通称・尾木ママも参加)に匹敵するほどのすぐれたものと、全国的にも評価が高いものです。
  注)担任の女性教諭は、「停職一ヵ月を不服として控訴」し、水戸地裁
(三上乃理子裁判長)は、2024年1月、「違法処分として、取り消し」を命じました。茨城県は、これを不服として、東京高裁に控訴して、現在も裁判中です。

●はじめに
 本件生徒は、中2までは、友人関係に恵まれ、穏やかで、ピアノの実力も卓越していた。中学3年では3組。仲良しB、C、Dとは別クラス。それでもクラスを超え、「昼飯を仲良くたべるー昼メン」を結成。
 そこに、なぜかAが加わる。(違和感あり)。

●孤立化の過程
・この事件は、Aが禁止されている携帯持ち込みを見つかり注意されたとき、
本件生徒も一緒にいたとして、「同じように悪い」と注意された。担任は、
本件生徒に「Aが今後も同じ事をしないように見てほしいと頼んだ」。
 注)、第三者委員会は「教員が生徒指導のために生徒を利用した」と批判。
・口パク(声を出さずに口元を動かすこと)をして、本件生徒をからかい、
非難するような態度をとった。
 注)この事実は、本件生徒の日記に「苦痛であった」と書いてあり。
・個別アルバムへの書き込み。A、Hが、本件生徒の個別アルバム(卒業時
に各生徒に手渡される)に、「ほんとうんこだよ」「クソってるね」と書き
込まれる。
・「くさや」と呼び続けたこと。A、F、Hが、連日のように「くさや」と呼
び、また、A、Fが本件生徒の手を引っ張って他の生徒のところへ、つれて
いき「臭くない?」などと言っていた。

●無力化の過程

 ・バスケットボールのチーム決めでの仲間はずし。あらかじめA、Fが、示
し合わせて、本件生徒をチームから外れるように仕組んだ。
注)このあたりから無力化の過程がはじまった。「毎日が怖い。今日は、う
  まくいくのか、いかないのか。家に帰ってからも、そのことばかり考え
て、疲れた。明日も、ぼっち?・・・毎日不安な夜を過ごしている。疲
れがピーク(本件生徒の日記)

●透明化の過程

 ・自殺当日 Aの壁ドン「ガラス破損事件」。本件生徒は、Aに誘われて、F
とともに、4階の音楽室前に飾ってある絵を見に行った。本件生徒は一足
先に3階の教室に戻ろうと、階段におりてきたところ、音楽室前に残って
いたAが、壁ドン」をしてガラスを割った。
 本件生徒は、ガラスがわれた現場にはいなかったため、その後、複数の教
員に対して自分は関係ないことを訴えたが、教員間の現場では共有されな
かった。(本件生徒はAがいる場では沈黙していた)。

●報告書が述べている指導の問題点

 指導の前提として、事実関係の確認が不十分。ガラス破損の事実関係が不明のまま、「生徒全員の連帯責任」として指導したことは問題がある。ガラス破損事件の聞き取りをおこなった際、本件生徒の沈黙の意味を考えなかった。聞き取りの仕方に工夫がなかった。

第三者委員会の結論

●いじめと自殺の因果関係について

 ・中学3年生の2学期以降、本件生徒に対して集中的にいじめが行なわれ、
時期的に重なる10月下旬から11月上旬にかけて、本件生徒の日記に、
いじめを原因とする「ひどい孤立感」や「自己肯定感の喪失」が表れてい
る。

・本件生徒の自殺が11月10日であること。11月10日のガラス破損事
件後に、「いじめとクラス内での孤立」を極度に恐れ、これ以上の苦しみが
耐えられないとの趣旨の発言をしている等の事実を合せ考えると、いじめ
がなければ本件生徒の自殺はなかったであろうと考える。

・ガラス破損事件に関する担任の指導は、本件生徒に対し、「理不尽な決め付
けに対する怒り、絶望への感情を抱かせただけでなく、いじめにより心理
的に追い詰められていた本件生徒をさらに深い苦しみへと陥れたものであ
り、自殺の引き金になったといえる。

総括・・「取手中3自死事件」にみる罪と罰

 この罪は、「いじめ防止推進対策法の理解をあやまり」「いじめによる重大事態に該当しない」と判断した事です。
 自殺という事態が発生し、保護者から第三者委員会設置の訴えがあった場合は、第三者委員会を設置することが義務づけられています。
「生徒の自殺があり」「保護者から設置の訴えがあった」ら、第三者委員会をつくるのが当然であり、「いじめが原因かどうか」を判断するのが第三者委員会の仕事です。それ以前に、「重大事態はなかった」と判断した人々は、「法律を理解していなかった」といわざるを得ません。
 
 ですから、担任の停職をはじめとして、関係者の減給、市長の減給も当然のことです。「重大事態なし」と判断した元教育長(現職でないため懲戒処分できない)も、給料月額10分の1の12ヶ月分を自主返納しています。

 2019年6月24日付けの東京新聞も指摘していますが、減給になった管理職の中には、あきらかに栄転である異動もあり、心ある取手市民の納得は得られないと思います。


2024年7月4日発行

桜川楽しい授業研究所 309-1217 桜川市犬田1210-7

  所長 菊池伸浩  電話090-5503―0460


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「新しい桜川第78号」の部長答弁に誤りがあったので訂正します

2024年07月04日 13時37分26秒 | 地方政治
 今日、市民生活課長から、「新しい桜川第78号の部長答弁に誤りがある」と、指摘されました。お詫びして、訂正いたします。

 マイナ・カードの問題点

 市民生活部長の答弁
 
 誤 マイナ・カードの普及率
   全国83・8%、桜川市79・4%

 正 桜川市の申請率は83・8%、交付率は76・1%
   全国では申請率は90・0%、交付率は79・4%

 いずれにしても、桜川市は全国より低い普及率となっています。


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