市議選挙準備で忙しいころ(8月3日の市政報告会、8月8日の事前説明会ころ)、朝日新聞が慰安婦問題で「吉田証言は虚偽だと判断して、記事をとり消します」と訂正記事が出されたと報道されました。(訂正記事は8月5,6日)。
私は、今は朝日新聞をとっていないので(3・11の原発報道記事以後、東京新聞をとっています)、その詳細は知りませんでした。
1993年8月4日に出された河野談話(慰安婦関係調査結果発表に関する河野内閣官房長官談話)は、現在の右寄りと言われる安倍内閣の下でも、否定できないとい事実からも、なんでこんなキャンペーンが続くのか、不思議でなりませんでした。
これは、以前、森村誠一氏が、「悪魔の飽食」という本で、旧日本軍の731部隊の「生体実験」を暴いたとき、「悪意のある資料提供者」の写真を誤用して、右翼団体から異常なキャンペーンをはられた事件を思い起こします。
「朝日新聞が、謝罪しても、腹の虫がおさまらない」という人もいるかもしれませんが、今の週刊誌の見出し(新聞広告でみる週刊誌の見出し)は、読んでいて不快にさせるだけです。
週刊誌の見出しだけを読んでいると、従軍慰安婦の問題を、「強制連行」だけに矮小化しているように見えるのですが、「河野談話」の内実は、それとは違うのではないでしょうか。
河野談話を、じっくり読んでみました。
①長期にかつ広範囲にわたって、「慰安所」が設置され、多くの「慰安婦」が存在した。
②慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した。
③慰安婦の募集、移送、管理等も、甘言、弾圧による等、総じて本人たちの意志に反して行われた。
④政府は、従軍慰安婦として数多の苦痛を経験されたすべての方々に対し、心からお詫びと反省の気持ちを申し上げる。
⑤われわれは、同じ過ちを決して繰り返さないという固い決意を改めて表明する。
以上が要旨であると理解しました。
安倍首相も、菅官房長官も、谷垣自民党幹事長も、「河野談話」を継承すると表明している以上、これが現政府の考え方であります。
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以前、大江健三郎氏が書いた「沖縄ノート」事件の時も、軍に「自決を強要された」云々のことが話題になりました。
「軍が自決を強要した公式文書がない」以上、「軍が自決を強要した事実はない」と言い張った元軍人がいました。
今回も、「人さらいのように女性をさらって行って慰安婦にしろと述べた公式文書はない」というのが靖国派と言われる人々の主張の様です。
しかし、冷静に考えてみれば、いかに軍事政権下といえども、「国民に自決を強制しろ」とか、「女性をさらっていって慰安婦にしろ」などという、「無法な命令の文書」は書かないし、もしあったとしても敗戦時に始末していると思うのですが。いかがでしょうか。
「公式な命令文書」が見つからないことだけをもって、「なかったという証拠」と断言するには、あきらかに無理があると考えるのは自然ではないでしょうか。