今日の東京新聞・茨城版は、紙面半分を使い 「県内団体・保養の会『福島の家族、桜川市に招き』保養活動」の見出しで、載せています。一部を紹介します。
県内団体・保養の会「福島の家族、桜川市に招き保養活動」
原発事故今なお子育て不安
東京電力福島第1原発事故後、福島県内で放射線の影響による不安を掲げながら暮らす親子を夏休みに招待し、安全な環境で心身を休めてもらう保養活動が7月26~30日まで桜川市で行われた。県内のボランティア団体が2014年に始め、11年目の今夏は9組33人の家族が参加した。会場を訪れると、「原発事故の被災地」という特殊な環境下で、今な子育てに戸惑う保護者の姿があった。
(青木孝行)
放射線が心配「ここに来ると子どもが伸び伸び」
会によると、これまで保養の会に参加した保護者の多くは、子どもたちに、放射線にさらされた土や葉っぱに触ってはいけないと教えてきたという。「子どもらが 甲状腺がんになるのではと」との心配からだ。
会では活動にあたり、宿泊施設や食材などの線量計測もしている。子育て環境への不安をいまだに拭えない多くの親たちを見てきた代表の鈴木真美子さん=桜川市=は「ここで保養し、とくに母親に元気になってもらいたい。福島での生活を元気に過ごしてもらうことが目的です」と話す。
鈴木さんは県の農業普及員として勤務し、定年退職後、自宅に米麹の工房を構えて市民向けの教室を開こうとしていた。だが、その翌年の11年の福島第1原発事故が発生。事故後、県内や栃木県内の医師や教職員ら11人とともに、日本原子力発電所前(水戸市)で毎週金曜日、東海第2発電(東海村)の廃炉を訴える「金曜行動を始めた。
県内では原発事故後、桜川市など筑西地域では空間放射線量率が比較的低かったため、14年から保養活動もスタート。活動資金は行政の補助金などには頼らず、すべてカンパで賄ってきた。原発だけでなく、食生活に関する講演会や市民集会の際に活動をPRし、支援を募っている。
鈴木さんは「カンパ集めが人と人をつなぐ。だから継続して活動ができる」と感謝する。新型コロナ過では講演会が減り資金難になったため、現在は桜川市の協力をえて、キャンプ場の場バンガローを無償提供してもらっている。
「ここ数年、全国的に大きな自然災害が発生して、その陰で、福島の原発事故が風化しているように感じる」と鈴木さん。それでも毎年、インターネットで検索して保養活動にたどり着く福島の親たちがいる。「そうした人たちが今もいることを忘れないでほしい」。鈴木さんはそう訴えている。