今日の東京新聞は、「荒れる都知事選」との見だしで、片山善博・大正大特任教授のインタビュ宇―記事を載せています。なるほどと感じましたので紹介いたします。
ー4月の衆院東京15区補欠選挙の選挙妨害事件に続き、都知事選でも混乱が目立つ。
「手荒な手法による選挙妨害は、過去になかったわけではない。ただ、SNS(交流サイト)に投稿したり、特定の政治団体が大量の候補者を立ててポスター掲示板の一角を選挙し、希望者に売ったりするような動きはなかった。政治を『冷笑』する風潮が広がり、リスペクト(敬意)もなくなってきた今の社会を象徴する出来事だ」
ーそんな事態を招いた要因は。
「中央政界と無縁ではない。民主政治は本来、異論や反論を含む多様な意見を、議論や説得によって合意に結び付けようとするもの。だが、安倍政権以降の10年余り、最初から多数決で結論を押し通すような政治手法がまかり通ってきた。最近の自民党派閥の裏金事件でも政治の劣化を感じる。『魚は頭から腐る』と言うが、社会の乱れにつながっているのではないか。
ー処方箋はあるか。
「個人の自由や個人主義を前提にした日本社会で、法律などで明確に禁じていないことは何でもやっていいという意識が有権者にも浸透している。みんなで社会を形成している以上は『一定のルールは守らなければならない』という教育を改めて普及させるべきだ」
ー公選法は今のままでいいのか。
「制定が古く、大正や昭和時代の発想にとらわれている。例えば、都内に1万4千箇所もある紙のポスターを張る掲示板を設置する必要は薄れている。リアル掲示板は投票所などに限定する一方で、どれだけ多くの立候補者が出てきても対応ができるような電子掲示板に移行するなどの方法はある。政見放送も延々と垂れ流さず、選管のホームページにアーカイブしておいて見てもらえばいい」
ー改革の動きは鈍い。
今のような状況を生みだした議員たちが襟を正すのは当然としても、民主政治の基礎をつくるのはやはり選挙だ。現状に不満を抱いているのであれば、まずは都知事戦をはじめとする身近な選挙への投票をとおして、政治を変えていくしかない」