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菊池のぶひろの議会だより

日本共産党 桜川市議会議員 菊池のぶひろの活動報告です

東京電力福島第一原発事故訴訟・仙台高裁判決の要旨を読む

2020年10月01日 18時29分47秒 | 社会・経済
 今日の東京新聞には、9月30日に仙台高裁がだした「東京電力福島第一原発事故訴訟」の判決文の要旨が載っています。それを掲載します。

【東電の責任】
 地震調査研究推進本部は2002年7月、三陸沖から房総沖にかけての地震活動の「長期評価」を公表した。これに基づき、東電が速やかにシミュレーションしていれば、遅くとも02年末ごろまでに、第一原発に10㍍を超える津波到来の予見可能性があったと確認される。結果推認可能性があった。結果回避可能性もあったと推認される。長期評価など、重大事故の危険性を示唆する新たな知見に接した際の東電の行動は、新たな防災対策を極力回避し、先延ばししたいとの思惑が目立つ。義務違反の程度は軽微とは言えない。慰謝料の算定で考慮すべき要素の一つだ。

【国の責任】
 長期評価は国の知見とすべきもので、国は東電と同じ知見を同時に認識していた。経済産業相が東電に、長期評価を踏まえた試算を指示し、あるいは自ら試算していれば、遅くとも02年末ごろまでには、10㍍を超える津波の可能性が認識できた。長期評価は相当程度に客観的、合理的根拠を有する科学的知見だ。原告らが主張する結果的回避ができなかったという国の主張は採用できず、結果回避可能性があったと推認される。

 原発の安全性を確保するために東電を規制する立場にある国は、津波対策などを適切に講じているかを厳格に判断することが期待されていた。しかし、東電から長期評価の科学的根拠についてヒアリングした原子力安全・保安院の対応は、不誠実な東電の報告を唯々諾々と受け入れ、規制当局に期待される役割を果たさなかった。

 国は06年の勉強会における東電の報告で、敷地を超える津波が来れば重大事故を起こす危険性が高いことは現実に認識していた。国の規制権限の不行使は、遅くとも06年末までには許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠き、国家賠償法上、違法だ。

 国と東電は、長期評価による想定津波の試算が行なわれれば、喫緊の対策措置を講じなければならない可能性を認識していた。そうなった場合の影響(主として東電の経済的負担)を恐れ、試算自体を避け、結果公になることを避けようとしていた。原発の設置・運営は原子力の利用の一環として国家のエネルギー政策に深く関わり、国が推進政策を採用した。国が自らの責任で原発の設置を許した。国の立場が二次的、補完的であるとして、責任の範囲を損害の一部に限定することは相当でない。

【損害】
 居住地域を9グループに分類し、侵害内容や程度などから損害額を判断した。

【原状回復請求】
 空間放射線量率を事故前に戻せという請求は、被告に求める作為の内容が特定されておらず不適法。










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「PCR抑制論」は、なぜ無くならないか

2020年08月09日 15時01分10秒 | 社会・経済
 今、コロナウイルスの第二次爆発と言われる状況になっています。ところが、厚労省は、あいかわらず「PCR検査の大幅拡大」に取り組もうとしておりません。それは、もちろん、お金がかかることが、根本にあると推測されるのですが、いわゆる「専門家=学者」と言われる人にも、「PCR検査の活用 精度に限界、過信は禁物」という論陣の人もいます。(東京新聞7日付、鈴木穣論説委員)。
 
 今日のしんぶん赤旗には、「問われる『PCR抑制論』と題して、書いているので、少し長くなるが、紹介したい。

 検査精度の高さ無視
 無症状感染どう発見

 問われる「PCR抑制論」
 
 「東京」7日付けで、鈴木穣論説委員の大型論説「PCR検査の活用 精度に限界、過信は禁物」が掲載されました。
 その内容は、PCR検査の精度は高くなく、たくさんやれば間違いが増えて感染拡大や医療の逼迫をもたらすというもので、政府のなかでふりまかれてきた「PCR抑制論」を事実上宣伝するものになっています。
 
 新型コロナウイルスの拡大が全国的に急拡大を続けるもと、市中の無症状感染者を早期に発見・保護し、感染経路を追跡することが急務です。そのためにPCR検査の積極的拡大が求めれれているときだけに看過できません。
 鈴木氏は、PCR検査が「感度(=陽性を判定する能力)は良くても70%程度、特異度(=感染していない人を陰性と判定する能力)は99%台といわれる」とし、「つまり感染者の約3割は見逃され陰性(偽陰性)となる。仮に特異度99・9%とすると感染していない人の0・1%は陽性(偽陽性)となる」と断定しています。
 ここから、感染者100人を含む1万人を検査すると、感染者100人のうち3割の30人は見逃され陰性(偽陰性)となって日常生活の中で感染を広げる可能性があり、感染していない9900人のうちの0・1%の9・9人は陽性(偽陽性)となって不要な宿泊待機などが必要となり、医療体制がひっ迫する可能性があるなどとしています。

 問題のすり替え

 しかし、大前提として、PCR検査は微量の遺伝子を増幅させて検知するもので非常に高い精度が認められています。ウイルスが検体中にいるかいないかの判定についてはほぼ100%近い正確さがあります。鈴木氏の主張は、この検査精度の高さをまったく無視した議論になっています。おおきな見出しで「精度」に限界があるとしながら「感度」いう別の問題にすり替わっていることも疑問です。

 他方、肺の奥にいるウイルスがいるが、唾液や咽頭液にウイルスがいないときにはPCR検査では陰性になります。この点で診断を目的にした場合には、かならず唾液などにウイルスがいるとは限らないため検査に制約があるのは事実です。しかし、今、大規模なPCR検査をする目的は、感染させる可能性のある無症状者を見つけ出すこと=「防疫」です。鈴木氏は「この検査はその時点での感染の有無を調べる手法だ」と診断目的に断定していますが、議論がずれています。

 無症状感染者は、咳や痰を出しませんが、唾液の中にウイルスがいれば会話や歌でしぶきとなってて感染を起こします。唾液の」中にウイルスがいるかどうかが決定的で、その判定にはPCR検査が威力を発揮します。
 検査時のウイルスがいなくても、時間経過でで来ることはありうるので検査を繰り返し見逃しを防ぐことは当然考慮されています。

 99・99%以上 

 特異度について「99%台」としたり、「99・9%と仮定」したり、鈴木氏の主張も根拠も不明確です。
 しかし、PCR検査精度の高さから、ウイルスがいないのに「いる」と判定(偽陽性)する可能性はほとんどありません。日本医師会のタスクフォール(作業部会)でも「99・99以上の100%に近い特異度と確認された」とされています。
 人為的ミスで検体が汚染されることはありますが、検体に固有の精度の問題ではなく、管理の質を向上させることで防げます。
 このように検査の精度の高さ、検査目的は感染拡大防止=防疫にあるという検査拡大論のポイントを押さえることが重要です。鈴木氏は「感染症対策の目標は重症者や死亡者を極力減らすことだ」としていますが、感染症拡大が続けば、重症者も死亡者も増えることは自明です。
 むしろ検査抑制論は逆に問われています。
 クラスター(感染者集団)を追い切れなくなって市中感染が広がりました。無症状感染者をどのように発見するのか、その対案はあるのかー。鈴木氏をはじめとする「検査抑制論者」は明確に答える責任があります。
(中祖寅一)




 

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「決意の笑顔」宮子あずさ氏ー本音のコラム

2019年12月23日 09時55分19秒 | 社会・経済
 今日も伊藤詩織さんの話題を紹介したい。
 私が伊藤詩織さんの判決文をブログに掲載してから、いまもブログ訪問者の数が増え続けている。昨日の訪問者は、ついに1200人を超え、閲覧数は4000を超えてしまった。

 今日の東京新聞・本音のコラム欄は、看護師の宮子あずさ氏である。宮子さんは、看護師でもあるが、女性の立場から、伊藤詩織さんの気持ちを推測して、「決意の笑顔」として書いている。これも、この事件を判断する参考になると思い、紹介したい。

 決意の笑顔
  宮子あずさ


 元TBS記者の山口敬之氏による性暴力被害を訴えたジャーナリスト・伊藤詩織裁判は、伊藤氏の訴えが認められ、勝訴した。

 判決後、山口氏は自ら会見して、その内容が批判されている。その一つが、伊藤氏の態度が被害者らしくないと決め付けたこと。彼は性暴力被害者の言葉で引く形で、「こういう記者会見の場で笑ったり上を見たり、テレビに出演してあのような表情をすることは絶対ない」と断言した。

 私は看護師として病む人、死に臨む人をたくさん見てきたが、傷つき苦悩する人が笑わないと断じるのは、考えが浅い。悲劇に見舞われた当初、多くの人は現実感が持てない。取り乱す人がいり一方、ヘラヘラして真剣に見えない人さえいるのである。

 またつらい時ほど、笑ってがんばる。そんな人もたくさんいる。苦しむ人の笑顔には意味があるのである。私は伊藤氏の笑顔にも、そうした決意を感じた。

 無理のない感情表出と語りは、立ち直る力になる。彼の言葉が、このプロセスを否定するものであり、被害者の立ち直りを阻む暴論である。

 さらに、この事件は、山口氏が政権と近く、もみ消しがはかられた疑惑もある。彼は控訴し、裁判は続く。決して支援の手を緩めてはならない。
 (看護師)


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伊藤詩織さんの性的暴行被害判決文を読む(その4・終)

2019年12月20日 08時42分04秒 | 社会・経済
 【被告に対する不法行為の構成】

 原告は自らの体験・経緯を明らかにし、広く社会で議論することが、性犯罪を取り巻く法的・社会的状況の改善につながると公表に及んだ。

 公共の利害にかかわる事実につき、専ら公益を図ることが目的で表現されたものと認めるのが相当であること、その事実は真実であると認められることからすると、プライバシー侵害による不法行為も構成しない。

 (おわり)

 こうやって、要約してくれると、本当に分かりやすくなる。

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伊藤詩織さんの性的暴行被害判決文を読む(その3)

2019年12月20日 08時23分06秒 | 社会・経済
 【裁判所の判断】その2

 被告の供述について


 被告はタクシーに乗るまで原告の酩酊の程度は分からなかったと供述するが、すし店と恵比寿駅は徒歩5分程度の距離にあることからすると、すし店をでた時点で被告がタクシーに原告を乗せた点について合理的な理由を認めがたい。原告は自宅まで電車で帰る意思を示していたのに、被告はタクシーが目黒駅に到着する直前に運転手にホテルに向うよう指示し、原告をホテルに同行させた事実が認められる。

 被告の供述は原告の言動という核心部分について不合理に変遷しており、その信用性に重大な疑念がある。

 合意の有無

 原告の供述は客観的な事情や行動と整合するもので、供述の重要部分に変遷が認められず、被告の供述と比較しても相対的に信用性が高い。ホテル居室への入室が原告の意思に基づくものではないことに加え、被告が酩酊状態で意識の内原告に対し合意のないまま性行為に及んだ事実、原告が意識を回復して性行為を拒絶した後も原告の体を押さえつけて性行為を継続しようとした事実を認める。

(つづく)

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