鎌倉 佐助の風街便り

陶芸、街歩き、クルマ、オーディオ・・。思いのまま徒然に

今年も「浴衣でこまめ寄席」、楽しませていただきました

2023-09-11 08:56:32 | 日記
今から2週間ほど前の週末に小町通りの呉服店「伊と彦」さん主催の「夏の終わりに浴衣でワイン」の集いに着物で出かけた際のブログをアップしました。その中の写真の一枚として「伊と彦」の女将・好江さんとともに和の装いのカットを掲載。

すると好江さんとのツーショットを羨む声とともに、17年ほど前にこの世を去った父を知る友人知人から「さらに親父さんに似てきたね」と驚嘆とも哀れみともつかぬような?声をいただいています。おもえば父は晩年、夕刻になると葛飾区立石の自宅から和服を着て「散歩」と称して飲み屋さんに出かけることを日課のようにしていました。

そのような記憶もあってか、数年後に古希を迎える年齢になった今になって和服というものに関心が向くようになってきています。そして、折にふれて生前の父がワタシの着物の着付けを手伝ってくれながら「着物って良いでしょっ、楽しいでしょっ!」と笑顔でつぶやく姿を思い浮かべつつ、9月の土曜・薄暮に始まる「こまめ寄席」に向けて 着物 de 行こう…、というワケで

少しでも粋に着られるように皆さんの手を借り、とにもかくにも、着物 de 寄席の始まりです。

家からほんの2分ほど、カランコロン響く下駄の音を聴きながら、寄席の会場である「甘味処 こまめ」さんへ。お店の入口の軒下に飾り付けられた紅白の提灯が、寄席の雰囲気を醸し出してくれます。


入口を入ると、催しへの参加を募る「浴衣でこまめ寄席」のキャッチに誘われたのでしょうか? 店内には浴衣姿のご婦人方が見受けられます。


障子を明るく照らす西陽の輝きが少しづつ陰り、ビールをグイッと引っかけてほろ酔い気分になり始めた頃、「こまめ」の女将・かえさんの「こまめ開店以来、皆さまに支えられて今年で15年を迎えることが出来ました」から始まる開演のご挨拶とともに、寄席が始まりました。


まず高座に上がったのは、本日の主役である三遊亭遊吉師匠のお弟子さんで現在は二ツ目の三遊亭美よしさんという富山県出身の女流落語家さん。

演じた噺は、おかみさんの尻に敷かれる旦那の気持ちをテーマにした「熊の皮」。三遊亭美よしさんの前職は人々のカラダを整えるヨガのインストラクターだったそうですが、今現在その身を置くのはみんなの心に笑いと喜び、夢を与える落語界。その柔らかで親しみ溢れる語り口は、まさに心のリラクゼーションにぴったりです。生意気にも、次回の「こまめ寄席」にてその成長した姿が見たいなぁ、てなことを申しまして…。

三遊亭美よしさんの幕開けの噺に続いて、いよいよ三遊亭遊吉さんの噺が二題。まず始めは、江戸徳川家の将軍の跡目争いを面白可笑しく伝える「紀州」。

1600年代から約270年近くにわたって日本を治めてきた徳川家に敬意を表したのでしょうか、遊吉師匠は噺の終わりまで、黒い羽織を身に着けたままの熱演!
ワタシの横で噺を聴いていた友人女性から「ねえ、なんで羽織を脱がなかったの…?」と、問われたのですが、遊吉師匠の真意のほどは? いつぞや、機会があったら是非とも問うてみたいところです。

続いて〆の噺は、遊郭での遊びが過ぎて勘当されて唐茄子を売り歩く果てになった若旦那の顛末を伝える「唐茄子屋政談」。こちらの噺は遊郭に出入りしていた若旦那と唐茄子という庶民性をお考えのことゆえか、遊吉師匠はのっけから生成り色の夏着物での熱演です。


寄席が跳ね、恒例のプレゼントタイムが始まり、もっとも沸いたのが昨年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で主役を務めた小栗旬さんの絵をもとに製作した「鎌倉ぼんぼり祭り 八幡宮うちわ」

競争率の激しい中、このうちわをゲットしたのはワタシの知り合い女性。このうちわの噺はもとより、遊吉師匠が演じてくれた「唐茄子屋政談」に中に出てくる東京・三ノ輪の街の話もちょこっとしたり、落語ってホントに楽しいのですよ、これが…。

かれこれ10年くらい前から「こまめ寄席」にお呼ばれしていますが、自宅から徒歩数分ほどでのお店で楽しい落語を観ることが出来ることは、本当に嬉しいかぎりです。

それにつけても、縁とは異なもの、妙なもの。昨日の「こまめ寄席」で前座を務めた女流落語家・三遊亭美よし三の出身地である富山県県が生んだ名落語家・立川志の輔さんが毎週日曜日朝にナビゲートする文化放送「志の輔ラジオ」にて本日オンエアされた過去の名演は、名人の誉れ高い三遊亭円生の「紀州」でした。


昨日の遊吉師匠の噺を反芻しながら、円生の「紀州」も楽しめる日曜の朝のひと時。落語を、そして和服をこよなく好んでいた父をしばし思い出し、気がつけば、間もなく彼の命日。

今この時に、あらためて父と和服と落語の思い出を紡ぎよせてくれた「こまめ寄席」。かえさん、ありがとうございます…。








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