マンボウ日記

マンボウが食われやすい魚だということは魚の図鑑か学研の雑誌「科学と学習」か

なにかで読んで知ってました。マンボウのお母さんは一度に３万個も卵をうんで、

子供たちの顔も見ないで死んでしまう。けれども、そのほうが幸せだったのです。

なぜなら、３万個の卵はほとんど他の魚に食われてしまい、孵化した稚魚たちも、

大きくなる前にほとんど捕食されるから……立派なおとなのマンボウになる個体は

３万のうち１～２体だという知識を小学生の頃に得ました。

ところがです。マンボウがうむ３万個の卵のうち成魚になるのは１個か２個だと

いう事実を確かめた人は存在しないと最近になって知りました。「まん防」こと

「まん延防止等重点措置」が今月の初旬に適用されたとき、検索したらついでに

マンボウの生態が目に入ったのです。３万のうち１～２体しか、成魚にならない

という話は推定にすぎず、ちゃんと検証された事実ではない。それでは、まるで

「まん防」が非科学的で効果ないみたいじゃないですか！　そうじゃないかとは

思っていましたが。

たしかに効果はありませんでした。あれよ、あれよという間に感染者が増加して

「まん防」は生後１か月もしないうちに、３回目の緊急事態宣言（ぷぷっ！）に

食われて全滅に瀕しています。困ったことになりました。なにをかくそう、この

ぼくもマンボウみたいなものなのです。物心ついた20代か30代のころは、確かに

飲み友達が３万人ぐらいフラフラと酒の海を泳いでいたはずなのに、気づいたら

自粛要請に食われて１人か２人ぐらいしか残っていません。

そんな飲み友達のわずかな生き残りがゴールデンウィークに北海道から上京する

予定だから、ゆっくり飲もうではないかと連絡してきたのは、２回目の緊急事態

宣言が解除された３月の終わり頃でした。聖火ランナーが県をまたいで走り出し、

ランナーよりも目立つスポンサー企業のバカ騒ぎが顰蹙を集めていましたけど、

知ったこっちゃないので５月１日に都内某所の居酒屋を17時半に予約しました。

緊急事態宣言が明けてしばらく、東京はアルコール20時ラストオーダー21時閉店

なので17時半から飲み始めれば十分ゆっくりできると思ったのです。

やっぱり、聖火リレーがよくなかったのでしょうか。みるみる感染者が増えて、

ちょっと前に「宣言解除」を要請した大阪の府知事が「まん防」を要請し始め、

巻き添えで東京にも適用されてラストオーダーが１時間繰り上げられました。

酒類の提供が19時までに早まったので、どうせゴールデンウィークなわけだし

17時半の予約を17時に調整しました。ゆっくり飲みたいがための対応でした。

だけど、やっぱりマンボウは食われやすかったのです。それから２週間ほどで

「まん防」はあっけなく３回目の緊急事態宣言（ぷぷっ！）に食われてしまい、

東京の飲食店はゴールデンウィークに酒類の提供ができなくなりました。まじ

どないしてくれるねん。わしら酒も飲めず祝日は家に閉じ込められて、平日は

しらふで働けっちゅうんかい？　マンボウなめんなよ。

　【マンボウ童話・美しいシンデレラと薄汚いシンデレラ】

さぁ、絵本の時間です。美しいシンデレラは毎夜12時まで大人数のパーティー

で飲んで踊ってフィーバーしてるのに、薄汚いシンデレラはマンボウのせいで

19時ラストの安酒ひっかけて20時までにお会計して帰るだけ。それも３回目の

緊急事態宣言（ぷぷっ！）が出たら終わりです。意地悪な継母や姉たちの目を

盗んで連続飲酒するキッチンドランカーになりましたとさ。

めでたくない、めでたくない

 

【後日談】

短期集中ということで４月25日から５月11日まで、ゴールデンウィークを

つぶすかたちで出された３回目の緊急事態宣言（ぷぷっ！）でしたけど、

一律の補償もなく人を苦しめるだけで成果がまったく上がらなかったため

ズルズルと延長が検討され、５月31日まで無策のまま継続されることに。

全国に蔓延が拡大しているのは聖火リレーが感染リレーになっているから

だと思われますが、それ以上の感染イベントであるオリンピックについて

まだ中止の決定が行われず、ただ運を天に任せている開催国です。