透明感って何だろう? それは専ら美人または美少女の形容に用いられる表現だけど、もちろん
彼女らは透明人間ではない。消えないし、透明感あると言われるほうが芸能界での存在感が増す。
透明感=根性、透明感=気合、透明感=覚悟。そういうことかもしれない。
もしかすると透明感はメイクでくすみ、黒ずみを隠し、なおかつ厚化粧の印象を与えない薄づき
の技を駆使した結果かもしれない。であるなら、それは隠蔽、粉飾、欺瞞のこと。不透明の極み
ということに、どうしてもなる。透明感バレた途端に不透明。それは危ない綱渡り。
隠蔽、粉飾、欺瞞がバレても居直るタイプの人たちがいる。彼らは最初から透明感より不透明感
が際立つ。類は友を呼ぶ。不透明な人間の周囲は不透明な人間が集まる。くすみや黒ずみが顔面
だけでなく内面にも及んでいる感じがする。ゆえに不透明感。もしかすると透明感も不透明感も
顔面ではなく内面からにじみ出るのかもしれない。
しかし透明感ある美女や美少女が心の闇を抱えていることは非常にありがちなことで、その闇を
垣間見るとコアなファン以外は引く。不透明感のあるおっさんやじいさんが心の闇を抱えている
のは言うまでもないことで、その闇を垣間見るとコアなファンは快哉を叫ぶ。コアなファン自身、
闇の勢力だから。
2020年は不透明感のある人間の活躍が目立つ1年だった。透明感のあるアイドルや女優なんて、
嘘で塗り固められた存在じゃないかと思い知らされる出来事が多発し、不透明感のある政治家や
その取り巻き、代理店、下請けなどが不透明さを増した。あるいは不透明さが露見した。結果、
先行きが不透明になった。視界不良でもう何も見えない。
おっさんでも、じいさんでも構わない。内面から輝き出す透明感を備えた人物が、根性、気合、
覚悟をもって闇を断ち切り、世相のくすみ、黒ずみを取り去ってナチュラルな透明感をメイク
してくれないものか。未来を透明にしなくていいから、泥のパックで透き通る肌を作るように
汚い顔ぶれをきれいに仕立てる技を2021年は見てみたい。ではまた来年。
よいお年を。