サ カ タ の ブ ロ グ 

やぁ、みんな。サカタだよ。

奥付の鑑賞

2014年03月19日 | サカタだよ
仕事でカラーの雑誌を作ってきたせいか、読む本が半ば電子書籍になったせいか、たまに黄ばんだ古本を
読むと心が癒されます。ゆるいネタほど幸せになりますね。上は昭和51年ぐらいのガンダム本に載っていた
段ボール製のズゴックなんですけどね、人が入ってますよね明らかに……! しかも2体いるし。ちなみに、
そのすぐ下に写ってるグラサンの男は (どこも似てないけど) ギレンだそうです。


ケイブンシャの大百科は鉄板

いまはもう存在しない、勁文社という出版社がシリーズで出していた文庫サイズの分厚い大百科などは
どれもタイムカプセルみたいで、ページをめくると (いい意味で) めまいがします。このシャア日記って、
内容も雑ですが……

私もよくよく運の悪い思だ

 に おとこ とルビをふってあって、すごい。ケイブンシャの大百科は、古書店でかなり高額に
なっていたりしますが、たまに手頃なやつ (500円前後?) あると買って読んじゃいます。マガジンハウス
の雑誌も、いつか古書店で掘り出されて人の心を癒すときが? (いまもあるかな)


こぼれ話なども

ネタがいっぱい載ってるこぼれ話の本とかも、100円から300円くらいなら買ってって、すごいなと思う話が
3つぐらいあればいいなと期待しちゃいますね。これは確か『世界史こぼれ話』っていう角川文庫だったと
思いますが、こぼれ話でも何でもないネタが混入していて……

ある人が哲学者のディオゲネスにたずねた。 「 貴方はどこのお酒が好きですか。コリント産のですか、
それともアテネ産のですか」 ディオゲネスは答えて 「なに、ひとさんのお酒が好きですよ」


……こぼれ話というより、ただのダジャレ!


この本どうかな?

ひどく茶色くて目の粗い紙の、正宗白鳥の『古典文学論』という直球なタイトルの本を 1000円はたいて
買い求め、こぼれ話をさがす態度で読みました。紙魚だらけなのに、写真に撮ると実物より若干きれい
な見え方……写真って嘘をつくんですね。


奥付を見てみる

奥付(おくづけ)というのは、どんな本にも大抵いちばん後ろにある、印刷年月日や発行年月日、書名
や定価や著者、発行者などをクレジットするページです。 いつの本だろうと思ってチェックしてみると、
昭和二十一年九月二十日印刷、昭和二十一年九月二十五日発行と書いてあるから、戦後すぐこんな
腹の足しになりそうもない本が作られたわけで……なかなかびっくり。


著者の名前で検印が捺されてる

いまは検印廃止した本のほうが多いから、検印って何のためにあるのか、いまいちピンときてなかった
んですが、これを見たら大体わかりましたよ。品質検査の印じゃなくて、印刷部数の数だけ著者が判を
捺して、出版社が著者にナイショでたくさん印刷して利益を独占するのを禁じる手段ですね?


当時の定価 16円

10年ちょっと前、さる高名な占い師の事務所を訪ねて打ち合わせしたとき、その方の著書が重版してる
(増刷された)ことに本屋さんで奥付を見て気づき、その件を「あ、重版おめでとうございます」みたいに
なんの気なく伝えたら、「えっ! 重版? こちらには連絡が来てませんけど、本当ですか? ちょっと、
出版社に確認してみないと……」っていう流れになりました。印税なしで重版(増刷)するのを防ぐために、
昔はわざわざ検印を捺した紙片を本の奥付に手貼りしたんですね。部数がそんなに多くないからできる
手続きですね。検印の紙片が斜めになってるのも、いちいち手貼りするからこそ。


版元は三笠書房

へぇ~、三笠書房といったら「知的生き方文庫」とか「王様文庫」のイメージが今は強いけど、昔は
文芸書を (それも戦後の焼跡で) 出してたんだ……Wikipediaで検索してみたら『風と共に去りぬ』
がこのあと大ベストセラーになって、莫大な利益をもたらしたとか。海外文学の翻訳出版社として、
1933年に創業したのか……そりゃ、正宗白鳥の『古典文学論』を出すのも当然。

(本書の定価は暫定的です。紙価・工賃その他物価安定の際は平常に復します。)

と、奥付の左端に注意書きしてある。定価 16円っていうのは、当時にしても安かったみたい。それとも
ヤミ値の影響で、むしろ高かった? 戦前の本の値段、たまたま手元にあるやつ見たら、もっと立派な
装丁でページ数も多い文芸書が、1円30銭……ということは約10倍に本の値段が高騰していた!


『ターザン』を 5000円で売る感覚?

紙が悪いのかインクが悪いのか、どっちも悪いのか、字がかすれて見えにくいところあったりするし、
穴があいて読めないところも少しあるけど、貴重品。 1000円じゃ安い! (そんなこともないか)

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