冬青(そよご)風

常緑樹の森の下に佇み、かたい葉が風にそよいで、ソヨソヨと音をたてる。
ソヨゴの語らいを聞いていただければ幸いです。

足摺を歩く・2日目の1(以布利~金剛福寺)

2006年10月29日 22時00分36秒 | 歩き遍路・3順目高知編


 春3月水床トンネルを潜り高知に入る。長い海岸線を歩き室戸岬に到達し、
 高知中部、西部をへて区切り打ち5回目でやっと足摺岬に到達する日です。
 補陀落渡海に通じる蒼い海に、すっきり建つ白い灯台に久しぶりの対面です。

   06年10月18日(水)快晴 以布利~竜串

    

 民宿星空から38番金剛福寺までは13km。今夜のお宿予定の叶崎までは
 32km合計45kmなので、朝食なしで5時にはスタートしたかった。
 昨晩おばあさんにその旨お話すると、「歩きへんろはちゃんと朝ご飯を食べて
 出発しなければ駄目だよ、5時でも起きて用意してあげるから食べて出発しな
 さい」と温かいお言葉を頂いたが、それではあまり見勝手すぎるので考える。
 泊まりのお遍路さんも皆さん6時には、朝食をしたいとのことだったので結局
 皆さんに合わせて、6時にすることにした。

 5時半ごろ朝食の用意ができたと、呼んでいただいたので階下の広間に行くと
 すでに6人分が用意されていた。とりあえず私だけ先に済ませて出発する。
 宿のおじいさんが近道の遍路道を案内すると言われて、一緒に以布利漁港まで
 自転車を押しながら案内してくださる。 漁港に着く頃に朝日も昇ってくる。

     

 おじいさんは荒れた磯を指さされる先に、三段ほど折り重なった岩壁があった。
 その真ん中の岩肌に隠れた場所に、遍路道があるからと教えられ帰られる。
 昨晩から朝にかけほんとうに、色々お世話していただき有難うございました。

 海岸に下りて磯歩きをするが、進むべき道がないのでうろうろ探していると
 散歩中の地元の方が遍路道まで案内してくれた。9月の台風の漂着物などで
 道が寸断されて分かりぬくくなったとのお話でした。

 二つ目の岩壁の奥にたしかに、道らしき木々のトンネルがありました。

     
 
 1kmほど岩壁にそって樹林のへんろ道がありました。
 朝1番に歩いているので、道々くもの巣の歓迎にはお手上げでした。
 やっと県道にでて清水との分岐より雄大な海が見え出す。
 


 窪津までは太平洋を見ながら快適な歩きが続く。途中早くも打戻の遍路に会う
 立ち話をすると、昨晩はこの先の津呂のお接待所で泊まられたとのこと。

 窪津集落から県道を進まず、集落の突き当たりにある岩壁に設えた長い石段を
 つづれ折れで登る。入り江に囲まれた窪津漁港が俯瞰されいい眺めです。



 7時半窪津小学校横でコーヒータイム。小学生が次から次へと元気に登校して
 くる。校庭の横のポプラが5本すっくり伸びていた。いい日陰を作るのだろう。
 子どもたちに気持ちいい挨拶を貰って出発する。
 
 津呂の集落にはいるとへんろ休憩小屋があった。早朝打戻をしているお遍路が
 泊まられた場所のようです。小屋には3人ほど休憩されていた。
 先ほど小学校で休憩したところだったので、トイレだけお借りして出発する。
 看板好きが見つけた素敵なお遍路さん風景です。。どことなく味が。

       

   思い出のある椿のトンネルが続きだしました。岬までもう少しです。
 


 いい天気です。 振り返れば、窪津や久百々の浜が見渡せます。

       

 遊歩道を抜けて天狗の鼻や展望台にも寄り道をしました。
 やっと9時半、四国最南端の足摺岬に到達しました。
 気持ちいい風が吹き抜けます。気分上々です。



 亜熱帯樹林から尖塔をのぞかせて輝く、金剛福寺の多宝塔が展望台より見れる。
 とても風格を感じる門前横の石碑です。

      

   38番札所補陀落院金剛福寺です。歩き遍路の憧れの折り返し地点です。
   遍路にとっては、この遠い遠い辺路である金剛福寺を目指して歩きます。
   困難のすえにこの地を踏むことが出来れば、後半は自信を持って結願
   できるようになります。



 修行の道場土佐を5回の区切りで打つ時、出発と終了時はいつも高知市内の
 実家に寄ります。その時母がお賽銭にと買い物のお釣を貯めていて、お賽銭
 にしてと、母が手製で作ってくれたお賽銭袋にいれてくれます。
 それは単なる小銭ではなく、お賽銭袋とに一緒にて廻ることで、母と一緒に
 巡拝している気持ちになり、とても嬉しく有難いお賽銭なのです。
 今回はどうしたことか小銭と別に、お接待といって1000円をくれた。

 山門を入ると横に「平成の大修理」のための寄進を募っていた。
 写真のような20×30cmほどの石版に、祈願の文字を書き奉納する。
 その寄進した石は諸堂、庭園、参道などの改修再建に使用されるとのこと。
 1枚1000円だったので、母からお接待でいただいたお金を寄進した。
 石版に「元気に百歳を迎えれますよう」と長寿祈願をお願いした。
 帰ってから母に報告すると、とても喜んでくれてこちらも嬉しかった。

 お参りを済ませて帰ろうとすると、先ほど受け付けをされていたお寺の方が
 紙パックのお茶と日本手ぬぐいをお接待してくださり、母の健康もお祈り
 してくださった。
 岩壁にお寺と灯台と椿、海と亀を縦長のデザインした粋な手ぬぐいです。

 補陀落渡海の聖地金剛福寺を去りがたく、1時間ほどゆっくりしてしまった。
 これから白山洞門を見物して、いよいよ清水方面に向かう。

  明日は竜串までの後半をアップします。

 
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4 コメント

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どの写真にも思い出が (たかし)
2006-10-29 22:28:04
ぼくも歩いた道だなあ~~

どの画像をみても鮮明な記憶がよみがえります。

ただただ感慨深いです~

毎日、楽しみです
返信する
やっと足摺に・・ (竜馬16)
2006-10-29 23:10:32
たかしさん こんばんは

やはり海岸沿いのへんろ道はいいですね。



たかしさんは、この辺ではかなり足を痛められていたようですが、海辺の景色にはずいぶん慰められたのではないでしょうか。
返信する
人の心の温かさ (anikobe)
2006-10-30 08:35:04
太平洋の広く青い海、海の見えない細い遍路道、目的地への長い道のりの中に、温かい心がいっぱいみられたこの日のお遍路日記ですね。お母さんのお話と、親孝行される竜馬さんの心のうちが感動的です。



お遍路の旅は、心を見つめる旅。

とてもいいお話を朝から頂いています。
返信する
自慢の母 (竜馬16)
2006-10-30 10:14:28
anikobeさん おはようおざいます



12月に96歳になる母ですが、とても元気で私の自慢の母です。そして大切な母です。

少し血圧が高めと、耳が遠い以外健康なので感謝しています。

読書が大好きで、この年齢になっても向学心があり、手先も器用で何にでも挑戦します。



充分健やかに百歳をを迎えてくれるとは思いますが、長寿祈願をしてきました。



母のことは、母の日のブログ(5月15日)で書いていますのでまたご覧ください。

http://blog.goo.ne.jp/ryouma16_october/d/20060515
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