大橋むつおのブログ

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REオフステージ(惣堀高校演劇部)068・夏休み編 思い出のサンフランシスコ・6

2024-06-22 07:14:21 | 小説7
REオフステージ (惣堀高校演劇部)
068・夏休み編 思い出のサンフランシスコ・6                     
※ 本作は旧作『オフステージ・空堀高校演劇部』を改題改稿したものです





 知らへんかった(;'∀')。


 カリフォルニアは大阪府の姉妹都市で、サンフランシスコは大阪市の姉妹都市……やった!

 大阪市は例の等身大のお人形さんの問題で、先年姉妹都市を解消しているので過去形なんや。

 それでも、日本や大阪へのシンパシーは強いみたい。

 普通のアメリカ人なら知らへんでも不思議やない。

 普通の日本人でも大阪府民でも大阪市民でも知らなくても当たり前。

 一般市民やったら姉妹都市なんか、ふだん意識せえへんしね。

 そやけど、三年も交換留学生で府立高校に通っているわたし、ミリー・オーエンが知らへんかったのは面目次第もあれへんのよ。ちょっとだけでも、友好の手助けになったらええのにと思う。

 千歳と須磨先輩は爆睡中。啓介はリアルメイドさんにあてられて口を半開きにしとおる。

 あたしは、シスコに来てからのことが頭に浮かんでる。

 チャイナタウンでたらふく中華料理を食べて、おまけに隣の席に生徒会の瀬戸内美晴が居るというハプニング。

 で、その前には、ホテルまで車いす押して不安な気持ちで坂道をエッチラオッチラ。
 途中でグリーンエンジェルスのアンチャンに助けてもろたけど――こいつら大丈夫?――って神経使った。

 まあ、爆睡こいても店の雰囲気にあてられても無理はない。


 わたしはホテルに帰ってからスマホでググりまくった。 

 これや!

 ググること30分でヒットした!

 ♡カセイドール♡

 フィッシャーマンズワーフ南のSアベニューにピカピカのロゴマークが初々しい(^▽^)。

 お帰りなさいませぇ~旦那様ぁ~お嬢様ぁ~!(大阪弁のアクセント)

 ガチオタなら震えが来るほどの萌えボイスの合唱! それも大阪訛!

 メイド喫茶には一度も踏み込んだことのないあたしらでも、大阪弁アクセントの出迎えを受けるとグッとくるものがある。

 見渡すとメイドさんたちは日本人のようで、よく見ると奥の方にアメリカ人らしいメイドさんたちも控えている。

 カセイドールは日本橋(にっぽんばし)で老舗のメイド喫茶。姉妹都市のよしみ(公には解消されてるけど、民間レベルでの関係はええ)で、この夏にオープンしたところ。

 サンフランシスコは西海岸では知る人ぞ知るアニオタのメッカ……らしい。

 アニメやオタクのフェスなども頻繁に行われてて、ネットで発見したレイヤーさんたちも気合いが入っていてファイナルファンタジーとかのコスプレは「CGちゃうんか!?」と見紛うばかり。
 東京の夏コミとかのコスプレも本場とあって気合いは入っているけど、やっぱりアップで撮ったりするとアメリカ人の方がイケてると思う。ゲーム画面を見てもキャラは外人っぽいもんね。

 物珍し気にあちこち見ていると大型モニターにシスコで行われたコスプレフェスの動画が流れている。

「やっぱ、脚の長さと顔の造作だよね……」

 須磨先輩も目ぇ覚ましてしみじみと感想を述べる。

「おお、リアルグローバルクラブ!」

 啓介はあいかわらず。

 注:グローバルクラブとは啓介が部室のパソコンでやってる育成系エロゲ

「でもね……心映えだとも思いますよ」

 千歳が付け加える。

「心映え?」

「はい、あのティファとかユウナとか、パッと見には『なに考えてんだろー』ってくらいにおデブさんですけど、なんか『心から楽しんでます!』って感じで愉快じゃないですか(^▽^)」

「なるほどな、ああいうのって照れられると見てるほうが恥ずかしくなるもんな」

「アメリカ人て、こういうノリ大好きだから合ってるかもしれないわね」

 日本よりはゆったりした四人掛けの席でオタク文化についてのディスカッションになってきた。

 ディスカッションできるということは、なかなかオーダーをとりに来てくれないということでもある。

 カセイドールはけっこうな大きさで、厨房で突き当りかと思われた横の方にも人の出入りがあって昨日いった中華レストランよりも広い。どうやら大きなL字型のフロアになってて、席数は100超えてるかもしれへん。
 
「カセイドールは稼いどーる!(^〇^;)」

 啓介が下手なギャグを思いついたころで、メイドさんが二人やってきた。

「オーダーヲオネガイイタシマスネ、オジョ-サマ」

 ネイティブのメイドさんで、ミテクレはバッチリなんだけど、カタコトなので萌え損ねる。

 オーダーを伝えると「ショショオマチクダサイ」とお辞儀して去っていくけど、やっぱ外人さんのお辞儀。

「メイドいうのは欧米文化かと思てたけど、日本のんは日本風やってんなあ」

 啓介が感心すると、須磨先輩が口を開く。

「ミリーやってみてよ」

「まかしときぃ!」

 いつもやったら絶対やらへんねんけど、さっきコスプレ談義したせいか調子づいてしまった。

「ご注文をお願いいたします、お嬢様……」

 オーダーを承って、きれいにお辞儀する。

「さっすがミリー、板についてる!」

 やんややんやの喝さい……なんと周囲のお客さんや控えのメイドさんたちからも沸き上がる。

 でもって、オーダーしたあれこれがやってきた時、メイド長さんがやってきた。

「お嬢様、よろしければ体験メイド……いえ、お手本メイドをやっていただけませんでしょうか?」

「え、えーーーー!?」


 調子をこいたわたしは、にわかメイドさんをやる羽目になってしまった(^_^;)。



☆彡 主な登場人物とあれこれ
  • 小山内啓介       演劇部部長
  • 沢村千歳        車いすの一年生  留美という姉がいる
  • ミリー         交換留学生 渡辺家に下宿
  • 松井須磨        停学6年目の留年生
  • 瀬戸内美春       生徒会副会長
  • ミッキー・ドナルド   サンフランシスコの高校生
  • 生徒たち        セーヤン(情報部) トラヤン 生徒会長 谷口
  • 先生たち        姫ちゃん 八重桜(敷島) 松平(生徒会顧問) 朝倉(須磨の元同級生)
  • 惣堀商店街       ハイス薬局(ハゲの店主と女房のエリヨ) ケメコ(そうほり屋の娘)

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