昨日、私にとって今年最後となるコンサートへ行ってきました。
演目は、読響マチネの第九。
指揮者は正指揮者の下野竜也さん。
<日時>2007年12月22日(土)午後2時開演
<会場>東京芸術劇場
<曲目>
■ベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調op.125「合唱付」
<演奏>
■ソプラノ:林 正子
■メゾ・ソプラノ:坂本 朱
■テノール:中鉢 聡
■バリトン:宮本 益光
■指 揮:下野 竜也
■管弦楽:読売日本交響楽団
■合 唱:新国立劇場合唱団
下野さん&読響の第九といえば、 3年前にも聴いたことがありますが、そのときは、いろいろ考えさせれられる結果になりました。
さて、今回はどうだろうか。
期待と不安をもって聴きに行きました。
結論から言ってしまうと、◎。
3年前に感じた「一緒に呼吸できない」という息苦しさはなく、速めのテンポだけど音楽は豊かに響いていました。
下野さんに、前回感じられた「ある種の力み」がなくなったことと、オケが下野さんの音楽作りに共感していたことが、その理由だと思います。
しかし、この日の第九が素晴らしい演奏になった最大の要因は、オケを対抗配置にしたこと。
これは大きかった。
第1楽章から、第2ヴァイオリンとヴィオラといった内声部が実に鮮明に聴こえてきます。これはこの曲の場合大変重要なことで、対旋律がはっきりすることも勿論ですが、中間部のクライマックスでも32分音符の刻みが明瞭に聴こえてくるので、音楽に一本筋がとおった印象を与えてくれます。
これほど効果的だとは思いませんでした。
そして、終楽章。
「歓喜の歌」のテーマが、まずチェロとコントラバスによって、中央やや左から弱音で響いてきます。
次いで、中央やや右側からファゴット・ヴィオラがこれに加わり、最後に両翼からヴァイオリンも歌いだします。
つまり、ステージ中ほどで「あのテーマ」が自然に湧き出し、じわーっと、しかし徐々にはっきりした輪郭を伴って、ホール全体に広がっていくのです。
「ああ、こんな風な拡がり方を、ベートーヴェンはイメージしていたんだ」と私は確信しました。
ただ、最後のマエストーソのテンポには、3年前と同様に「おお・・・」という感じ。
通常ラストのプレスッティシモに備えて、思い切ってテンポを落とすところですが、速めのテンポで通してしまうのです。
スコアを見ると、テンポは(4分音符=60)ですから、このくらいの速さになってもおかしくありません。しかし、弦楽器は死に物狂いだろうな・・・。
ソリスト4名も、それぞれに好演。
最も印象に残ったのは、ソプラノの林さん。
ともすれば、絶叫に近い歌い方で、いったい何を歌っているのかさっぱり分からないようなソプラノもいますが、彼女の歌唱はまったく違いました。
声もよくとおるし、歌詞が明瞭にわかることが何より素晴らしかった。
バリトンの宮本さんは、張りのある素晴らしい声で歌ってくれましたが、少し力んでいたかなぁ。
聴衆に対して、自ら信じるところを語りかけるような歌い方でも良かったかもしれません。
それから、新国立劇場合唱団にもブラーヴォです。
10月に聴いたタンホイザーの合唱がとても良かったので、期待していましたが、まさに期待に違わず見事なコーラスでした。
というわけで、冒頭書いたように、一抹の不安を持って聴きにいった第九でしたが、心地よい感動を胸に、気持ちよく帰路につかせていただきました。
演目は、読響マチネの第九。
指揮者は正指揮者の下野竜也さん。
<日時>2007年12月22日(土)午後2時開演
<会場>東京芸術劇場
<曲目>
■ベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調op.125「合唱付」
<演奏>
■ソプラノ:林 正子
■メゾ・ソプラノ:坂本 朱
■テノール:中鉢 聡
■バリトン:宮本 益光
■指 揮:下野 竜也
■管弦楽:読売日本交響楽団
■合 唱:新国立劇場合唱団
下野さん&読響の第九といえば、 3年前にも聴いたことがありますが、そのときは、いろいろ考えさせれられる結果になりました。
さて、今回はどうだろうか。
期待と不安をもって聴きに行きました。
結論から言ってしまうと、◎。
3年前に感じた「一緒に呼吸できない」という息苦しさはなく、速めのテンポだけど音楽は豊かに響いていました。
下野さんに、前回感じられた「ある種の力み」がなくなったことと、オケが下野さんの音楽作りに共感していたことが、その理由だと思います。
しかし、この日の第九が素晴らしい演奏になった最大の要因は、オケを対抗配置にしたこと。
これは大きかった。
第1楽章から、第2ヴァイオリンとヴィオラといった内声部が実に鮮明に聴こえてきます。これはこの曲の場合大変重要なことで、対旋律がはっきりすることも勿論ですが、中間部のクライマックスでも32分音符の刻みが明瞭に聴こえてくるので、音楽に一本筋がとおった印象を与えてくれます。
これほど効果的だとは思いませんでした。
そして、終楽章。
「歓喜の歌」のテーマが、まずチェロとコントラバスによって、中央やや左から弱音で響いてきます。
次いで、中央やや右側からファゴット・ヴィオラがこれに加わり、最後に両翼からヴァイオリンも歌いだします。
つまり、ステージ中ほどで「あのテーマ」が自然に湧き出し、じわーっと、しかし徐々にはっきりした輪郭を伴って、ホール全体に広がっていくのです。
「ああ、こんな風な拡がり方を、ベートーヴェンはイメージしていたんだ」と私は確信しました。
ただ、最後のマエストーソのテンポには、3年前と同様に「おお・・・」という感じ。
通常ラストのプレスッティシモに備えて、思い切ってテンポを落とすところですが、速めのテンポで通してしまうのです。
スコアを見ると、テンポは(4分音符=60)ですから、このくらいの速さになってもおかしくありません。しかし、弦楽器は死に物狂いだろうな・・・。
ソリスト4名も、それぞれに好演。
最も印象に残ったのは、ソプラノの林さん。
ともすれば、絶叫に近い歌い方で、いったい何を歌っているのかさっぱり分からないようなソプラノもいますが、彼女の歌唱はまったく違いました。
声もよくとおるし、歌詞が明瞭にわかることが何より素晴らしかった。
バリトンの宮本さんは、張りのある素晴らしい声で歌ってくれましたが、少し力んでいたかなぁ。
聴衆に対して、自ら信じるところを語りかけるような歌い方でも良かったかもしれません。
それから、新国立劇場合唱団にもブラーヴォです。
10月に聴いたタンホイザーの合唱がとても良かったので、期待していましたが、まさに期待に違わず見事なコーラスでした。
というわけで、冒頭書いたように、一抹の不安を持って聴きにいった第九でしたが、心地よい感動を胸に、気持ちよく帰路につかせていただきました。