ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

グリモー&P.ヤルヴィ イン サントリーホール (NHK芸術劇場)

2008-09-06 | BS、CS、DVDの視聴記
今年6月3日にサントリーホールで聴いたグリモー&ヤルヴィーのコンサートが、昨夜NHKの「芸術劇場」でオンエアされました。
いやー、素晴らしかった。
ステージ横のLA席で聴いた、あのときの感動がまざまざと甦ってきました。
実演に接したコンサートの放映を見るのは、実は怖いものです。
細かなキズが気になったり、あれほど熱く響いた箇所が単なるお祭り騒ぎだったのかと、いささかがっかりさせられたりすることもしばしばです。

しかし、今回の映像は素晴らしかった。
ホールの空気感のようなものまで見事に伝えてくれました。
グリモーは、あのとき聴いた感動を彷彿させるというよりも、それ以上の力強さとタッチの美しさで私を魅了してくれました。
とくに「皇帝」の第2楽章で聴かせてくれた、決して感情に溺れることなく凛としてて、かつベートーヴェンへの敬慕の念に溢れた美しい表現は、映像を通して多くの人の心を捉えたことでしょう。
ただ、時間の関係でしょうか、アンコールで弾いてくれたベートーヴェンのピアノソナタ第30番の第1楽章がカットされてしまいました。
大きな感銘を受けた名演奏だっただけに、かえすがえすも残念!
BS等で再放送する機会があれば、そのときこそカットしないで放映してくださいね。

一方、後半のブルックナーも、派手さはないけど、何よりも生命力と豊かさを感じさせてくれる素晴らしい演奏。
第2楽章のアダージョを聴きながら、私は涙を抑え切れませんでした。
そして嬉しいことに、後半のアンコールで演奏された私の大好きなステンハンマルの間奏曲は、カットされずにしっかりオンエアされました。
この演奏で、この佳曲を好きになった方も多いのではないでしょうか。

最後に、ヤルヴィが自分のモットーとしてインタビューで語ってくれた言葉をご紹介します。
「マーラーの言葉ですが、演奏されるたびに作品は生まれ変わらなければならなりません。紙に書かれた単なる記号に、命を吹き込まなければならないのです。音に生命が宿った時本当にいい演奏が生まれます。」

まさに、この日の演奏は、そのとおりの名演奏でした。

<曲 目>
■ベートーベン:ピアノ協奏曲 第5番 変ホ長調 作品73 「皇帝」
■ブルックナー:交響曲 第7番 ホ長調 [ノヴァーク版]
(アンコール)
■ステンハンマル:カンタータ「歌」~間奏曲

<ピアノ> エレーヌ・グリモー
<管弦楽> フランクフルト放送交響楽団
<指 揮> パーヴォ・ヤルヴィ
<収 録> 2008年6月3日 サントリーホール

コメント (2)
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