ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

クライスラー:コレルリの主題による変奏曲

2008-09-29 | CDの試聴記
さきほど、出張先の名古屋から帰ってきました。
雨の影響もあるのでしょうが、涼しいというよりも、もうこれは十分寒いという印象ですね。
風邪ひきそう・・・

さて、昨日コレルリのソナタのことを書きましたが、今日はその続きを少しだけ。
コレルリのソナタ作品5-10のガボットを主題として、クライスラーは短い変奏曲を書いています。
3~4分の小品ですが、主題はできるだけ原曲を尊重しながら、そして変奏では明るく華やかな雰囲気がいかにもクライスラーらしい。
このボベスコの演奏は、華麗さはありませんが、独特の甘美な語り口がとても魅力的です。

さて、ボベスコの演奏を聴きながら、私は中学から高校に入った頃のことを思い出しました。
当時、NHKの「バイオリンのおけいこ」という30分番組があって、その後N響の名コンサートマスターとして活躍された徳永二男さんが講師をされていました。
そのときのテーマ音楽が、まさにこのコレルリの作品だったのです。
コレルリの原曲だったのかクライスラーのバリエーションだったかはよくわからないのですが、長髪の徳永さんの若々しい姿とともにその演奏は鮮烈に覚えています。
それにしても、当時の「○○のおけいこ」的な番組は、ピアノ、バイオリン、フルート、ギターの各楽器があったと記憶していますが、いずれも内容が本当に素晴らしかった。
なかでも、バイオリンの石井志都子さんや江藤俊哉さん、ピアノの井内澄子さん、ギターの渡辺範彦さん、そしてフルートではなんといっても吉田雅夫さんのレッスンが、とりわけ印象に残っています。
ビデオもまだ普及していない時代でしたから、文字通り「一言も聞き逃すまい」と、毎回テレビの画面にかじりつくように見ていました。
「フレージング」「「アーティキュレーション」「アッポジャトューラ」「アウフタクト」といった聞き慣れない音楽用語、呼吸の仕方、テンポの考え方、リズムの活かし方、脱力の方法、そして大きく美しい音で演奏する秘訣等、楽器を超えて勉強になることばかり。
私にとって、「音楽とは?」「演奏することとは?」ということを必死で考えさせてくれる原点だったような気がします。
現在のように、「情報が氾濫する時代」が本当に幸福なんだろうかと、ふと考えさせられました。

<曲目>
1 愛の喜び
2 愛の悲しみ
3 美しきロスマリン
4 中国の太鼓
5 ウィーン奇想曲
6 ベートーヴェンの主題によるロンディーノ
7 ボッケリーニのスタイルによるアレグレット
8 クープランのスタイルによるルイ13世の歌とパヴァーヌ
9 昔の歌
10 ウィーン風小行進曲
11 ロマンティックな子守歌
12 シンコペーション
13 レシタティーヴォとスケルツォ・カプリース
14 おもちゃの兵隊の行進曲
15 プニャーニのスタイルによるプレリュードとアレグロ
16 コレルリの主題による変奏曲
17 ルクレールのスタイルによるタンブーラン
18 ジプシーの女
19 オーカッサンとニコレット
20 道化役者のセレナード
<演奏>
■ローラ・ボベスコ(ヴァイオリン)
■ウィルヘルム・ヘルヴェック(ピアノ)
<録音>
1984年~1985年
コメント (6)
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