さて、前回は私の歯の話から今村昌平の映画、『楢山節考』でおりん婆さんが自分の歯を石で砕く話をしましたが、あれを演じた坂本スミ子さんの役への入れ込みはすごかったようで、実際に前歯を4本ほど人工的に削ったようですね。その後、インプラントで補ったようです。
いずれにしても40代で、実年齢より30も上の老人を演じるのは大変だったろうと思います。
さて、今村昌平の長男の天願大介(沖縄に多い姓だそうで、彼は東京生まれですが沖縄の大学出身のようです)という人も映画監督で、2011年には『楢山節考』を逆手に取ったような映画『デンデラ』を撮っています。
『楢山節考』の後日談というか、捨てられた老婆たちが人知れず山中にコンミューンのような共同体をつくり自分たちを捨てた側に挑戦する復讐劇とあって、とっくに捨てられる年齢を越えている私にとっては必見とも思われたのでした。
しかし、あまり良くない評価があちこちから聞こえてきたりして、グズグズしているうちに上映期間が終わってしまいました。それでも気になっていたのでしょう。先般、BSから録画しておいたものを改めて観たわけです。
まずキャストですが、 浅丘ルリ子、 倍賞美津子、 山本陽子、 草笛光子、山口果林、白川和子、 山口美也子、角替和枝、田根楽子、赤座美代子といったそうそうたる女優陣を取り揃えていました。もっとも、全体に暗いシーンが多く、おまけに全員、これでもかといわんばかりの汚れたメークでしたから(ただし、ここに載せた写真はスチール用に撮られたもので全員の顔立ちが明瞭です)、どれが誰だかとてもわかりにくく、もったいない気がしました。
捨てられた老婆たち50人は、その中に復讐に反対するグループをも含みながらもそれを強制することもなく、いよいよ決起派の出発前夜となるのですが、ここでとんでもないことが勃発します。
巨大なヒグマが老婆たちの集団を襲うのです。
この辺りから、私のなかで描いていた展開は完全に失われ、気がつけば、老婆たちVSヒグマという特撮ホラー映画に終始することとなります。
目が点になった私を尻目に、老婆たちが無残に殺され、血しぶきがドバドバと登場するのですが、アクションシーンが巧く撮れておらず、どこがどうなっているのかがよくわからないのです。
それに、突然の雪崩シーンもあって、老婆軍団は今や壊滅状態です。
ん?最初の設定はどうなったのかな?このままではストーリー展開の完全な破綻ではないのかな?と思うのですが、最後の最後、生き残りが自分を捨てたの方へと逃げ、それを追ったヒグマがの男どもを襲うというところでかろうじて繋がったようにも見えます。
そこで生き残りの老婆が、「オレとお前、どっちが勝ったと思う?」とヒグマに問いかけて映画は終わるのですが、問いかけられたヒグマも困ったものと見えてなんにも答えません。
もっと困ったのは観ていた私で、これは一体何なんだろう、明らかに剥製と思われるこのヒグマが含意するものは何なんだろうと考えこんでしまうのです。別に私が無理やりそこに意味を見出そうとしているのではありませんよ。上に見た最後の問いかけにあるように監督自身が明らかにそこにある寓意をもたせているわけなのです。しかし、勘の鈍い私には、それが感得できないのです。
ある種の不条理劇としてはありかなという気もしますが、これだけの女優陣を集めて、エンタメとしてもシリアスドラマとしても筋が通らない映画は少しもったいないような気がしました。
映画は映画館での信条から、あまり録画では見ないのですが、しかし、録画で見るメリットもあります。これは公共放送でしたからCMはなかったのですが、退屈で冗長なシーンをスキップすることができました。
なお、この原作は佐藤友哉という人の小説だそうですが、そちらの方は未読ですから、上の私の記述はあくまでも映画に関してのみです。
いずれにしても40代で、実年齢より30も上の老人を演じるのは大変だったろうと思います。
さて、今村昌平の長男の天願大介(沖縄に多い姓だそうで、彼は東京生まれですが沖縄の大学出身のようです)という人も映画監督で、2011年には『楢山節考』を逆手に取ったような映画『デンデラ』を撮っています。
『楢山節考』の後日談というか、捨てられた老婆たちが人知れず山中にコンミューンのような共同体をつくり自分たちを捨てた側に挑戦する復讐劇とあって、とっくに捨てられる年齢を越えている私にとっては必見とも思われたのでした。
しかし、あまり良くない評価があちこちから聞こえてきたりして、グズグズしているうちに上映期間が終わってしまいました。それでも気になっていたのでしょう。先般、BSから録画しておいたものを改めて観たわけです。
まずキャストですが、 浅丘ルリ子、 倍賞美津子、 山本陽子、 草笛光子、山口果林、白川和子、 山口美也子、角替和枝、田根楽子、赤座美代子といったそうそうたる女優陣を取り揃えていました。もっとも、全体に暗いシーンが多く、おまけに全員、これでもかといわんばかりの汚れたメークでしたから(ただし、ここに載せた写真はスチール用に撮られたもので全員の顔立ちが明瞭です)、どれが誰だかとてもわかりにくく、もったいない気がしました。
捨てられた老婆たち50人は、その中に復讐に反対するグループをも含みながらもそれを強制することもなく、いよいよ決起派の出発前夜となるのですが、ここでとんでもないことが勃発します。
巨大なヒグマが老婆たちの集団を襲うのです。
この辺りから、私のなかで描いていた展開は完全に失われ、気がつけば、老婆たちVSヒグマという特撮ホラー映画に終始することとなります。
目が点になった私を尻目に、老婆たちが無残に殺され、血しぶきがドバドバと登場するのですが、アクションシーンが巧く撮れておらず、どこがどうなっているのかがよくわからないのです。
それに、突然の雪崩シーンもあって、老婆軍団は今や壊滅状態です。
ん?最初の設定はどうなったのかな?このままではストーリー展開の完全な破綻ではないのかな?と思うのですが、最後の最後、生き残りが自分を捨てたの方へと逃げ、それを追ったヒグマがの男どもを襲うというところでかろうじて繋がったようにも見えます。
そこで生き残りの老婆が、「オレとお前、どっちが勝ったと思う?」とヒグマに問いかけて映画は終わるのですが、問いかけられたヒグマも困ったものと見えてなんにも答えません。
もっと困ったのは観ていた私で、これは一体何なんだろう、明らかに剥製と思われるこのヒグマが含意するものは何なんだろうと考えこんでしまうのです。別に私が無理やりそこに意味を見出そうとしているのではありませんよ。上に見た最後の問いかけにあるように監督自身が明らかにそこにある寓意をもたせているわけなのです。しかし、勘の鈍い私には、それが感得できないのです。
ある種の不条理劇としてはありかなという気もしますが、これだけの女優陣を集めて、エンタメとしてもシリアスドラマとしても筋が通らない映画は少しもったいないような気がしました。
映画は映画館での信条から、あまり録画では見ないのですが、しかし、録画で見るメリットもあります。これは公共放送でしたからCMはなかったのですが、退屈で冗長なシーンをスキップすることができました。
なお、この原作は佐藤友哉という人の小説だそうですが、そちらの方は未読ですから、上の私の記述はあくまでも映画に関してのみです。
で、私は今池のお店のレジの横に、どうどうと「食い逃げは許さんぞ」という顔で、堂々と立っていた剥製の熊を思い出しました。
あの熊さんは、今どこでどうしておられるのかな?
今池のクマのことよく覚えていてくださいましたね。
私もこれを書きながら思い出していました。
常連の男性がほしいとのことで差し上げましたが、その後はチェックしていません。
本当に変な終わり方なんですよ。
劇場で観た人のレポートを読むと、観客の年齢層は、往年のスターに惹かれてか、やはり年配の人達が圧倒的に多かったとのことです。
で、終わったあとの反応は・・・。
「ネ、あれってどうなったの」
「どうしてクマが出てきたの」
「まだ続きがあるんでしょう」
などなどの会話が続き、みんな首を傾げながら帰途についたのだそうです。