飛耳長目 「一灯照隅」「行雲流水」

「一隅を照らすもので 私はありたい」
「雲が行くが如く、水が流れる如く」

なるべく闘わないこと

2023年01月30日 06時50分43秒 | 授業論
通常の指導が入らない子を担任する。
これまでの負の遺産をすべて背負い込み、叱られなれていて自己肯定感が低い。
このような子の場合、黄金の3日間さえ通じないことも考えられる。
はじめが肝心なので、アドバルーンをつぶし、学級の方向性を明確に示し、知的で楽しい授業をする。
そして、学級の組織をつくり、逆転現象をうむような授業をする。
これで、学級の方向性が明確になり、子どもたちも新しい環境の中で前向きに取り組んでいく。
これができない子がいる。

この場合、この子と正面切って闘わないという選択肢をとる。
まず、その子以外の学級集団を育てることに集中する。
そして、学級自体が楽しく授業に取り組む世論ができあがれば、どの子も入ってきやすくなる。
注意しても、課題に取り組まない、立ち歩く、廊下にでて走り回る、授業の邪魔をする。
この子と正面切って、抑えようとすると他の子供達まで落ち着かなくなり、崩壊してしまう。
なるべく闘わないこと、入らない指導はしても意味がなく、むしろ逆効果である。
言葉は悪いが教育的な無視も必要だ。
課題をやらなくても無視。
立ち歩いても無視。
廊下に出ても無視。
とにかく他の子供達に視点をあてて、正常な学級運営を基本とした。

ただし、その子を全面的に放っておくことはできない。
そこで一つだけ、約束させる。
それは人の邪魔をしないということ。
あれこれ約束しても守りきれないので、この友達の邪魔をしないことだけは徹底して守らせる。
この約束は他の子供達の教育を受ける権利を守ることにもなる。
この約束が守れなかったときには、教室から出ていってもらう。
保護者や管理職にも話はきちんと通して、別室で勉強してもらう。
小さな進歩も褒める必要がある。
守れた日は個別に呼んでほめることも定期的にする。

あと、どんな子も一つは熱心に取り組むことがある。
だから、担任は様なネタを用意して提示して必要がある。
通常の授業をしているだけでは、優等生だけが目立つことになり、勉強の苦手な子は自信ややる気を失っていく。
それは学級における裏文化でもいいし、漢字ドリル、名文暗記集、10ます計算、百人一首等何でもいい。
このあたりの勉強もすぐれた教師になるには欠かせない。

一つその子が熱心に取り組むものを見つけたら、その時間や機会を徐々に増やして、褒める材料をふやしていくのである。
そうしていことにより、全員が学級内の自分の居場所を確保することができるようになる。

saitani

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