4月授業が開始される。
できれば初日から簡単な授業を行いたい。
教師の仕事は授業をすることである。
自分の考えはお説教ではなく授業を通して伝えたい。
そう考えてきた。
各教科の授業開き。
どんな展開を考えているだろうか。
理科の授業開き。
こんな実践の追試をした。
理科の授業での中心は問題解決学習となる。
これは6年生に限ったことではない。
3年から学び始める理科。
その展開の多くの問題解決学習である。
課題を見つけ、予想をたてる。
根拠を示して、それを実証する実験を行う。
そして結果から導き出される考察を考える。
6年生でつけたい問題解決能力。
第6学年では,主により妥当な考えをつくりだすといった問題解決の力の育成を目指している。
より妥当な考えをつくりだすとは,自分が既にもっ ている考えを検討し,より科学的なものに変容させることである。
この力を育成するためには,自然の事物・現象を多面的に考えることが大切である。
【理科編】小学校学習指導要領(平成29年告示)解説には明記されている。
つまり、6年生では、妥当な考えをつくりだす力を身につけるということになる。
科学者は、いろいろな実験結果をもとに、真実を探求する。
昔は正しいと思われたことも、科学の発展とともに今では正しくないと分かったこともたくさんある。
そのため、実験の結果から自分がどんな答えを導き出すのかって理科ではとても大事なこと。
そして、その根拠となる結果が複数あれば、自分の考えの妥当性は増していく。
以下は追試展開。
1 理科とはどんな教科を確認する。
①挨拶をした後、『理科ってどんな教科?』と尋ねる。
・実験する教科。
・観察する教科。
・結果から考察する教科。
・様々な実験器具を使う教科。
・危険な教科。
②子供たちの意見を踏まえて、「ちょっと違うかな。」と伝える。
理科とは「不思議を自分の手で真実に変える教科」と伝え板書する。
2 問題を把握する。
①子供たちがノートを書き終えた後、黒板に「AとBのどっちが塩水のコップでしょう?」という問題を板書する。
そして、全員を集めて説明する。
「ここにAとBのコップがあります。どっちかは水で、どっちかは塩水です。
今から、班で協力して、30分で当てます。
理科室にあるものは、先生に許可を取れば何でも使って構いません。
ただし1つだけルールがあって、飲むのは禁止です。
質問はありますか?」
と伝える。
3 実験方法を考える。
①班で5分間まず話し合います。
理科の大原則を言います。
「実態がわからない液体は口にしない。
実態が分からないものには直接触れない。」
この約束を守れば理科室内にあるものは何でもつかっていいです。
あと備品が壊れるような使い方はしません。
班長は、班の意見を箇条書きにして先生のところに見せにきます。
点検を受けた班から実験を開始します。
※全体では実験方法は共有しない。
※本来なら各自ですぐに実験に入るべきだが、安全を優先して、事前に実験方法を教師が確認する展開にする。
※この問題はシンプルなようで、調べ方がいくつもある良い問題。
ちなみに、次のような方法が考えられる。
〇加熱するなどして「水」を蒸発させる。食塩の結晶が残る。
〇電流が流れるか、電気抵抗を調べる。
純水には電流は流れないが、食塩水は塩化ナトリウムがイオン化しているので電流が流れる。
電極から塩素が発生するはずだから注意。
〇同じ体積の重量をはかる。食塩水の方が重い。
〇比重がおよそ1の物体を投入。
例えば卵。水では沈む。食塩水には浮く。
〇スポイトで水を垂らす。
あるいは水に垂らす。
食塩の濃度の違いは光の屈折率の違いになるので、食塩水は「見える」。
〇食塩水は沸点が100℃ 凝固点が0℃ には ならない。
〇食塩を投入し攪拌する。
よりたくさんとけたほうが「水」。
〇食塩と反応する試薬を使う。
〇白金線につけて、炎色反応を見る。
ナトリウムの色が見えるはず。
〇鉄をつけておく。
食塩水の方が早く錆びる。
〇1 本のペットボトルを激しく振り、直ぐに耳に押し当てる。
これをそれぞれ行うと、聞こえる音が異なる。
食塩水は「シュワシュワ」と言った音が聞こえ、その音もしばらく続く。
水はその音がない。
〇冷凍庫で凍らせる。
食塩が結晶化して出てくる。
ほとんど凍らない方が食塩水。
〇黒いフエルトの上にそれぞれ少しずつたらす。
蒸発すると食塩が出てくる。
〇ぬるま湯に石けんをとかして、プラコップ2個こ分の石けん水をつくる。
ポイントは石けんは、プラスチックスプーンで少量しょうりょうけずって入れる。
石けん水に、水と食塩しょくえん水をそれぞれ入れる。
しばらくすると、片方かたほうの液体えきたいに白いかたまりができた。
白いかたまりができた方が食塩しょくえん水
4 班で20分間実験をする。
①実験中に教師がやること
〇実験器具の場所を教えたり、「使っていいよ」と許可を出すこと
〇安全な実験ができているのかを見ること
〇答えがわかった子に、1つの実験から答えをだすのではなく、複数の実験から答えを出すのが素敵だよって伝えること
〇20分が経ったら、結果と自分の考えの書き方を教えること
5 結果を共有し、考察する。
①「さあ、時間切れ!」と言って、実験を止めさせる。
②実験方法とどんな結果が出たのかを発表する。
・1班…蒸発させると、Aに白いものが出てきた
・2班…キャップを浮かせると、AもBも浮いた。
・3班…塩を入れてみると、Aは溶け残りが出た
・4班…蒸発させると、Aに白いものが出てきた。
③そして、これらの結果を共有した後に、「この結果からどんな事が言えるかな?」と言って、考察を書かせる。
6 6年生でつけたい力を共有する。
すごいね。君たちは、塩水がどっちかを実験でちゃんと当てることができたね。
しかも何種類もの実験が出ているのがすごい。
2グループの実験方法も今回は時間が足りなかったみたいだけど、きっともう少し時間があればうまくいくよ。
実は、6年生でつけたいのは、みんながなっとくするような答えを出すことなんだよ。
みんなが納得するためには、根拠がいくつもあるといいよね。
6年生は、色々な実験を根拠にして、みんなが納得するような答えを出す力をつけていこうね。
7 まとめ
その後、「ちなみに、今から配るのは先生がすごいなと思った子の考察だよ」といって、全員に配る。
その子はこのように書いていました。
「Aを蒸発させた結果、Aから白いものが出ていた。
また、AとBの体積を同じにして重さをはかるとAのほうが重かった。
さらに、Aに塩を入れても溶け残りがすぐに出てしまった。
このことから、Aが塩水であると考えられる。」
この考察のどこがすごいかわかる人はいますか。
・「根拠がたくさんあるからすごい」
saitani
できれば初日から簡単な授業を行いたい。
教師の仕事は授業をすることである。
自分の考えはお説教ではなく授業を通して伝えたい。
そう考えてきた。
各教科の授業開き。
どんな展開を考えているだろうか。
理科の授業開き。
こんな実践の追試をした。
理科の授業での中心は問題解決学習となる。
これは6年生に限ったことではない。
3年から学び始める理科。
その展開の多くの問題解決学習である。
課題を見つけ、予想をたてる。
根拠を示して、それを実証する実験を行う。
そして結果から導き出される考察を考える。
6年生でつけたい問題解決能力。
第6学年では,主により妥当な考えをつくりだすといった問題解決の力の育成を目指している。
より妥当な考えをつくりだすとは,自分が既にもっ ている考えを検討し,より科学的なものに変容させることである。
この力を育成するためには,自然の事物・現象を多面的に考えることが大切である。
【理科編】小学校学習指導要領(平成29年告示)解説には明記されている。
つまり、6年生では、妥当な考えをつくりだす力を身につけるということになる。
科学者は、いろいろな実験結果をもとに、真実を探求する。
昔は正しいと思われたことも、科学の発展とともに今では正しくないと分かったこともたくさんある。
そのため、実験の結果から自分がどんな答えを導き出すのかって理科ではとても大事なこと。
そして、その根拠となる結果が複数あれば、自分の考えの妥当性は増していく。
以下は追試展開。
1 理科とはどんな教科を確認する。
①挨拶をした後、『理科ってどんな教科?』と尋ねる。
・実験する教科。
・観察する教科。
・結果から考察する教科。
・様々な実験器具を使う教科。
・危険な教科。
②子供たちの意見を踏まえて、「ちょっと違うかな。」と伝える。
理科とは「不思議を自分の手で真実に変える教科」と伝え板書する。
2 問題を把握する。
①子供たちがノートを書き終えた後、黒板に「AとBのどっちが塩水のコップでしょう?」という問題を板書する。
そして、全員を集めて説明する。
「ここにAとBのコップがあります。どっちかは水で、どっちかは塩水です。
今から、班で協力して、30分で当てます。
理科室にあるものは、先生に許可を取れば何でも使って構いません。
ただし1つだけルールがあって、飲むのは禁止です。
質問はありますか?」
と伝える。
3 実験方法を考える。
①班で5分間まず話し合います。
理科の大原則を言います。
「実態がわからない液体は口にしない。
実態が分からないものには直接触れない。」
この約束を守れば理科室内にあるものは何でもつかっていいです。
あと備品が壊れるような使い方はしません。
班長は、班の意見を箇条書きにして先生のところに見せにきます。
点検を受けた班から実験を開始します。
※全体では実験方法は共有しない。
※本来なら各自ですぐに実験に入るべきだが、安全を優先して、事前に実験方法を教師が確認する展開にする。
※この問題はシンプルなようで、調べ方がいくつもある良い問題。
ちなみに、次のような方法が考えられる。
〇加熱するなどして「水」を蒸発させる。食塩の結晶が残る。
〇電流が流れるか、電気抵抗を調べる。
純水には電流は流れないが、食塩水は塩化ナトリウムがイオン化しているので電流が流れる。
電極から塩素が発生するはずだから注意。
〇同じ体積の重量をはかる。食塩水の方が重い。
〇比重がおよそ1の物体を投入。
例えば卵。水では沈む。食塩水には浮く。
〇スポイトで水を垂らす。
あるいは水に垂らす。
食塩の濃度の違いは光の屈折率の違いになるので、食塩水は「見える」。
〇食塩水は沸点が100℃ 凝固点が0℃ には ならない。
〇食塩を投入し攪拌する。
よりたくさんとけたほうが「水」。
〇食塩と反応する試薬を使う。
〇白金線につけて、炎色反応を見る。
ナトリウムの色が見えるはず。
〇鉄をつけておく。
食塩水の方が早く錆びる。
〇1 本のペットボトルを激しく振り、直ぐに耳に押し当てる。
これをそれぞれ行うと、聞こえる音が異なる。
食塩水は「シュワシュワ」と言った音が聞こえ、その音もしばらく続く。
水はその音がない。
〇冷凍庫で凍らせる。
食塩が結晶化して出てくる。
ほとんど凍らない方が食塩水。
〇黒いフエルトの上にそれぞれ少しずつたらす。
蒸発すると食塩が出てくる。
〇ぬるま湯に石けんをとかして、プラコップ2個こ分の石けん水をつくる。
ポイントは石けんは、プラスチックスプーンで少量しょうりょうけずって入れる。
石けん水に、水と食塩しょくえん水をそれぞれ入れる。
しばらくすると、片方かたほうの液体えきたいに白いかたまりができた。
白いかたまりができた方が食塩しょくえん水
4 班で20分間実験をする。
①実験中に教師がやること
〇実験器具の場所を教えたり、「使っていいよ」と許可を出すこと
〇安全な実験ができているのかを見ること
〇答えがわかった子に、1つの実験から答えをだすのではなく、複数の実験から答えを出すのが素敵だよって伝えること
〇20分が経ったら、結果と自分の考えの書き方を教えること
5 結果を共有し、考察する。
①「さあ、時間切れ!」と言って、実験を止めさせる。
②実験方法とどんな結果が出たのかを発表する。
・1班…蒸発させると、Aに白いものが出てきた
・2班…キャップを浮かせると、AもBも浮いた。
・3班…塩を入れてみると、Aは溶け残りが出た
・4班…蒸発させると、Aに白いものが出てきた。
③そして、これらの結果を共有した後に、「この結果からどんな事が言えるかな?」と言って、考察を書かせる。
6 6年生でつけたい力を共有する。
すごいね。君たちは、塩水がどっちかを実験でちゃんと当てることができたね。
しかも何種類もの実験が出ているのがすごい。
2グループの実験方法も今回は時間が足りなかったみたいだけど、きっともう少し時間があればうまくいくよ。
実は、6年生でつけたいのは、みんながなっとくするような答えを出すことなんだよ。
みんなが納得するためには、根拠がいくつもあるといいよね。
6年生は、色々な実験を根拠にして、みんなが納得するような答えを出す力をつけていこうね。
7 まとめ
その後、「ちなみに、今から配るのは先生がすごいなと思った子の考察だよ」といって、全員に配る。
その子はこのように書いていました。
「Aを蒸発させた結果、Aから白いものが出ていた。
また、AとBの体積を同じにして重さをはかるとAのほうが重かった。
さらに、Aに塩を入れても溶け残りがすぐに出てしまった。
このことから、Aが塩水であると考えられる。」
この考察のどこがすごいかわかる人はいますか。
・「根拠がたくさんあるからすごい」
saitani