飛耳長目 「一灯照隅」「行雲流水」

「一隅を照らすもので 私はありたい」
「雲が行くが如く、水が流れる如く」

「さと子の落とし物」

2023年06月07日 15時33分46秒 | 道徳科
3年生「さと子の落とし物」(日本文教出版)

1 教師による通読
 
 〇主人公の「さと子」とその友達の言葉や行動に気をつけながら聞きます。

2 設定の確認
①登場人物 さと子  友達1(女子 さと子と会話5,6人)
           友達2(女子 はる子たち何人か)
           友達3(ゆきおと男子たち けんた)

②場面   (1)大川のそばにある公園   ※挿絵
      (2)かけ出す女子たち
      (3)相談する男子たち
      (4)大川の河原

③時     昼食時

3 展開

発問1 どんな事件ですか。
・さと子が大川の河原に自分の家の鍵をおとした事件

発問2 その出来事に対して女子は、どのようにしましたか。
〇アドバイスや慰めた ・お母さんの帰りがおそいのなら、わたしのうちで遊んでいたらい            いよ。
           ・かぎの一つくらい、合いかぎがすぐ作れるのよ
           ・どのあたりで落としたのか、わからないの
           ・はっきりおぼえているのは、いつなの。どこなの。
〇探しにいくことにした
           ・うん、そうよ。すぐ近くだから、みんなで探しに行こう。

発問3 女子たちはなぜ、男子に一緒にさがしてくれるように頼まなかったのですか。
    理由はなんだと思いますか。  
・女子の問題だと思ったから。
・日頃から、女子と男子仲良くすることは少なかったから。
・男子は、クラス遊びの「じんち取り遊び」の方をしたいと考えられ、どうせ断られるt思ったから。

発問4 頼まれなかった男子まで、かぎ探しに参加したのは何故ですか。
・さと子が困っていたから。
・さと子を助けたいと思ったから。
・何かいいことでもあるのかなあ。
・けんたの「遊びはいつでもできるよ。てつだってやろうよ。」という言葉に納得したから。
・「じゃあ、ぼくらもてつだおうよ!」という誘いがあったから。
・「女子だって、みんなの友だちだよ。」と言われたから。
・本当は「じん取り遊び」をしたかったけど、みんな行くから、仕方なくついていった。

発問5 かぎを探しにいった男子は、全員、さと子を助けたいと思って行ったと思いますか。
    全員が同じ気持ちで行ったと思う人は〇、思っていないと思う人は×とノートに書きます。
    また、そう思った理由はなんですか。  
・〇     友達なら助けるのは当たり前だから。
      学級なら、全員が協力することは絶対。

・×     たとえさと子が困っていても、全員で行く必要はない。
      個人の問題なのだから、全員で解決することはない。
      じん取り遊びの方が楽しい。

発問6 男子がもし、「じん取り遊び」をやりたいから、行かなかったとしたら、それは悪いことですか。
   悪いと思う人は〇、悪いと思わない人は×とノートに書きます。
    また、その理由は何ですか。
・〇 友達なのに手伝わないのは非協力的。
   自分勝手だから。
   困っている学級の友達は助けるべきだが、そのことをしないのは悪いこと。

・× じん取り遊びは、最初から決まっていること。
   みんなで決めたことなら、そのことを辞めるときには、もう一度みんなで相談することが必要なのに、女子は勝手に動いている。
   カギを落としたのはさと子の不注意で、みんなの責任ではない。
   
発問7 友達を助けることはいいことです。
    でも、全員が同じ気持ちではなかったと思います。
    にもかかわらず全員が同じ行動をとったのは、1人1人にどんな気持ちがあったからですか。
・さと子さんに喜んでもらいたい気持ち。
・さと子さんの喜びは、自分の喜びでもあるという気持ち。
・自分の意志で行動する気持ち。
・人から言われて行動するのではなく、自分が決めて行動する気持ち。

◎生き方として、他者優先が第一選択であるが、自分優先を選んだとしても、どちらも自分にとっては喜びを感じられる行為であるかどうか。それが、人のためであっても、自分のためであっても。

説明1
 みなさんは、次のことわざを知ってますか。
 「情けは人のためならず」
 このことわざの意味は、ふつうに考えると「情け(やさしくする)をかけると、その人のためにならない」という意味のとらえられます。
 「情け、人にやさしくすると、その人を甘やかすことになるのでしない方がよい」という意味になります。
 大人の人も間違って、甘やかすことはよくないと考えている人がいます。

でも、辞書にのっている正しい意味はこんなふうです。

「情をかけておけば,それがめぐりめぐってまた自分にもよい報いが来る。人に親切にしておけば必ずよい報いがある。」
要するに、人に優しくしておけば、自分が困った時には、みんなから優しくしてもらえるというご褒美をもらえるから優しくしなさいという考え方です。
でもこれは少しおかしい気がします。
みんなはお礼がほしくて、友達に親切にするのでしょうか。

このことわざの本当に意味はこうです。
この「ならず」は、【断定の「なり」】+【打ち消しの「ず」】です。
これは、「~でない」という意味になるので「人のためでない」と訳さなければいけません。
こういったことわざは3,4年生でも学びます。

「施せし情は人の為ならず おのがこゝろの慰めと知れ

 我れ人にかけし恵は忘れても ひとの恩をば長く忘るな」

出典:『[新訳]一日一言:「武士道」を貫いて生きるための366の格言集」 新渡戸稲造著』

「情けは他人のためではなく自分自身のためにかけるものだ。
 だから自分が他人にした良いことは忘れてもいい。
 でも、人から良くしてもらったことは絶対に忘れてはいけないよ」、という意味。

「情けは人のためならず」の本当の意味は、情けは、『自分の心の満足』のためにかけるものであって、見返りを求めるものではない。ということ。

自分が一番嬉しくなる行動は何かと考えることが大事だ。
それが、人のためであっても、自分のためであっても。

saitani
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