飛耳長目 「一灯照隅」「行雲流水」「万里一空」「雲外蒼天」

「一隅を照らすもので 私はありたい」
「雲が行くが如く、水が流れる如く」

色の三原色と色作り

2023年05月03日 10時56分04秒 | 図画工作科
三原色を使って自分の色を自由に作らせたい。
葉っぱは緑、黄は茶色、コンクリートは灰色みたいは既成概念を変えたい。
キミ子方式での三原色の活用は有名だが、もっと、一般的に活用を目指したい。
三原色を知っている子は、濁った色も澄んだ色もつくることができ、色彩に広がりが出てくる。

若い頃に良く言われたことがある。
「その子の個性を大切にしなさい。」
その時に、頭の中に浮かぶ。
「個性って何?」
「どうしたら個性を大切にできるの?」
そのことを聞いてみると多くは次のような返事が返ってきた。
「教えすぎないこと。」
「自由な発想をさせること。」
納得のいかない返事が返ってくる。
教えず、自由にさせることができれば個性が伸びるなら、何もしないことが大事になる。
しかし、芸術の世界に何も指導されず、修行をしないで優れた作品を残した人はいるのだろうか。

個性を大切にするということは、自分が表現したいものを的確且つ適切に表現できる能力あることではないのか。
ならば、三原色による色作りができるようになった子が初めてできるようになることでないのか。

1 色の三原色
「赤・青・黄の三色を色の三原色と言います。」と子どもたち伝える。
画用紙に、赤・青・黄の色紙を貼る。
「赤と青を混ぜるとどんな色ができますか?」と問う。
「紫」
赤と青の間に紫の色紙を貼る。
「赤と黄をまぜるとどんな色になりますか?」と問う。
「だいだい」
赤と黄の間に、だいだいの色紙を貼る。
「青と黄をまぜるとどんな色になりますか?」と問う。
「みどり」
青と黄の間に、緑の色紙を貼る。

「このように、色はぐるっと輪になります。」

「黄緑はどこにくるでしょう。」
「緑と黄の間です。」

「それでは、色の三原色を全部混ぜるとどんな色になりますか。」

2 色作り
「三原色を全部混ぜた色を作ります」
パレットに、赤・青・黄・白の絵の具を出させる。
「三原色を混ぜてごらんなさい」
「汚い色になった。こげ茶みたいな色だ。」
黒板に書く。
赤+青+黄=にごった色

三色を混ぜると濁るが、二色だと濁らない。

ここからが子どもたちの活躍場面。

「今日は、色の三原色である赤・青・黄とそれから白をつかって、色作りの練習をします。
 いろいろな色をたくさんつくれるほど良いのです。」
ここで条件を出す。
1 いろいろな木の葉の色
2 いろいろな木の幹の色
3 いろいろなコンクリートの色
みの三つの色だけはまず作りなさい。
風景を描くときにとても大切は色だからです。

この三つの色の作り方はしっかりと覚えさせておく。
うまく混色できない子には個別に支援を行う。

〇緑色は、青色と黄色を混ぜてつくります。
〇茶色は、まず赤と黄をまぜて朱色を作ります。
 それに少しずつ青をまぜていきます。
〇灰色は、まずはじめに赤・青・黄を適当に混ぜます。
 黒っぽい色が出来たらそれに白を加えていきます。
◎この三つの色が自由にできるようになったら、いろいろな色に挑戦してみなさい。
 作ったら、500円玉ほどの大きさで画用紙に塗っていきます。
 誰が一番多く色をつくれるでしょうか。

発展問題で、「自分の肌の色をつくれるかな?」と問う。
結構難しい。

できない子には支援をする。
「まず、赤と黄をまぜてだいだい色を作ります。
 黄色を多めにします。
 そしてほんのちょっぴり青を混ぜます。
 ほんのちょっぴりです。
 それに白色を少しずつ加えていくと肌の色に近くなります。」

「色の三原色」は教室に掲示する。

saitani





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筆洗いとパレット・水彩絵の具の技法

2023年05月02日 09時55分44秒 | 図画工作科
習字を3年生で指導するときには、筆の使い方や準備の仕方、半紙の使いかを誰でも指導する。
図工の絵画も同じだが、習字ほど丁寧に指導している教師は少ないような気がする。

筆洗いは、どの部屋も濁った水になっている。
パレットも、どこも絵の具で一杯になっている。
道具の使い方は重要な学習の基礎だ。

3年生に限らずどの学年においても年度当初には指導しておきたい。

1 筆洗いについて
・筆洗は、できるだけ大きなもので、なおかつ水を入れる部分が三つ以上に分かれているものが望ましい。
A 濁った水 B 洗濯機の水 C 水道水
・最低限、絵の具を落とす水と絵の具を混ぜる水はわけるように指導する。
・筆の水の調節のため絵の具ぞうきんとティッシュは必需品

2 パレット
・絵の具を出すところ(教室と表現)と絵の具をまぜるところ(運動場と表現)を明確に区別する。
・混色する場合は、500円玉くらいの大きさでまぜる。大きくまぜると混ぜるスペーズガすぐになくなる。
・「絵の具の箱にならべてある順番を基準にしてならべなさい」と指示して「教室」部分に出させる。
・掃除させるときにも、ティッシュを水に浸して拭かせると綺麗になる。

2 水彩絵の具の技法
水彩絵の具の特徴は透明感。
この透明感をいかすための基本的な技法を身につける必要がある。
図工は型にはまることは良くないと言われることが多い。
自由な発想をすることは大事だが、その自由な発想を表現方法や表現技法を知らずして、自由な表現ができるのだろうかと疑問がある。
自己流は個性とは言わない。
自己流を破ったときに個性は生まれる。
芸術の世界で、指導する師匠は絶対に「自己流で自由にやりなさい」と指示しない。
こんなことは常識だ。
まず、芸事は型を覚えることが基本なのだ。

子どもたちは技法をまず身につけ、どこでその技法を使うかは個々の自由なのである。
技法は、表現の幅を広げるとものであり、制作意欲を喚起する要因となる。

(1)ドライブラシ
・水をほとんど含まないかわいた筆で絵の具をとり、紙をこするように描く。
例 かすれた草

(2)にじみ
・まず、水をたっぷり含んだ筆で画像に水をぬる。それが乾く前に、水をたくさん含んだ別の色をたらすように置く。
・黄色の絵の具の中に青い絵の具を混ぜると、にじんだところが緑色になる。
 橙色の中に赤い色を落とすと美しいグラデーションができる。 例 夕焼け空 水の中

(3)ぼかし
・はじめは絵の具を多めに水を少なめに
・後は水だけで薄めるよおうに描いていく
・最後の方は水だけ  例 空

(4)点描
・絵の具が直接まざらないので、色が濁らないというメリットがある。 例 木の葉
・近似色を組み合わせるととても美しい

(5)重ね塗り
・はじめに塗った色が乾いた状態で次の色と塗る。
・ポイントは下の色を完全に消さないこと。
・下の色がすけてみることが望ましい。
・ポイントは、水を含んだ絵の具を上からさらっと塗る。
・水を含まない絵の具を上からこするようにして塗る。

(6)ふきとり
・水をふくんだ絵の具をさっと塗る。
・それが乾かないうちに、ティッシュペーパーで押さえるようにして絵の具をふきとっていく。
・微妙な濃淡が出て、面白い効果がある。
・応用として、ティッシュペーパーに直接絵の具をつけて、それを押しながら彩色する方法もある。
 ポンポンとたたくように彩色していく。

(7)いろいろな描き方の工夫
・子どもたちに自由に筆を使わせて、筆のもつ可能性を発見させる。

saitani



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