性能とデザイン いい家大研究

こちら 住まいの雑誌・Replan編集長三木奎吾です 
いい家ってなんだろう、を考え続けます

外構メンテナンスと街並み景観への参加

2015年03月31日 06時12分38秒 | Weblog

事務所の外部照明の件をきのう書きましたが、
その代替としてどうしようかなと考えていて
ふと目にとまったのが、これであります。
照明のアタマに太陽光発電がのっかっていて、
日中発生するその電気を蓄電池に貯めて、
夜間に発光するというタイプの庭園灯であります。
まぁ、13年経って植え込んだカツラの木がすごく生長しているので
もう一度、それと張り合うように外部照明工事をするよりは
むしろコンパクトに、持続可能なように(笑)
こういうかわいいものでいいのではないかと考えました。
DIYショップで1コ2000円以内くらいで売られている。
廉価なので、自分で組み立てるようになっている。
古電柱電球照明から、太陽光発電電灯への移行であります(笑)。
6本の古電柱照明から6コの太陽光発電へ。
さぁ、こういうの、エコな選択というのだろうか?
と、自分でもなにやら言い訳っぽく聞こえている・・・。

しかし、掘っ立てで立てた電柱が腐ってしまったのですから
それを考慮して、どうすべきかと考えたら
立派な金属製の照明という方向になるのが、自然ではあるでしょうが、
そういうのは、どうにもきらいであります。
お世話になった設計事務所スタッフとも相談したのですが、
立派に育ったカツラの木や、ほかの植栽が
彩ってくれているので、照明は役割を終えた、
あとは、むしろさりげなく、主張しないようなものがいい、
というような結論に至った次第であります。
建物を建てるというのは、
こういったいろいろな経年変化について、オーナーとして
どうしたらいいか、考え続けると言うことでもあるのでしょう。
こういうのって、まるで人生を見つめ続けるかのようでもある。
彩ってくれるものたちには、それぞれの寿命もある。
そういった輪廻転生を見つめながら、
周辺のみなさんが、「ああ、あの建物」と見つめ続けていただけるように
街のデザインに自分も参加しているのだ、という意識を持つ。
そんなことなのかもしれないなぁ、と。
メンテナンスを考えながら、そんな思いを持っている次第です。

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古電柱外部照明 掘立施工の破綻

2015年03月30日 05時48分17秒 | Weblog

人間、失敗はつきもの、そこからなにを学ぶかですよね(泣)。
と、いきなりの反省の弁であります(笑)。
わが社の事務所建築は、2002年に建てたものであります。
いろいろな試みをやりたかったのですが、
大前提であるお金に余裕はまったくない、出来ることは極限的に限られる。
でも叶わぬまでもと、いろいろ夢のようなことを考えていたのです。
いちばん面白かったのが、「掘立てで事務所を建てられないか」ということ。
建築と言えば、やはり林立する柱の力感だろう、などと
妄想がアタマのなかをグルグルと駆け巡った。
製材しない木材をそのまま掘っ立てで、きれいに列柱として
構造として持たせられないか、いいなぁ、いい!
・・・でもまぁ、どう考えても現代の技術では、縄文・三内丸山のような
油分の多いクリの原木の焼成処理加工など、夢のまた夢。
ということで、最初にお蔵入りになったプランだったのです。
ただ、その夢は「外部照明でやってみますか」と延長戦に突入した。
「いい古電柱があるし、それも、きわめて低費用で入手可能」
というありがたい情報もあって、「よしやるか」となったのです。
電信柱に受け継がれている日本の「掘立技術」はすばらしい、とも聞いていた。
胸も張ってくれたりもした。しかしこれはあくまで施主の自己責任。
そのような経緯で、上の写真のように施工してもらった次第。

で、それから13年。
結果は、やはり、あえなく大失敗ということになりました(泣)。
昨年くらいに列柱照明電柱6本の内、
2本が傾きはじめ、かろうじてブロック塀で支えられているような状態に。
どう考えても、根元部分に腐食が回ったことはあきらか。
お隣ご近所へのご迷惑にならないうちに処理が必要になった。
そこで、クレーン出動で抜き取り作業をお願いした次第。




まぁ、いろいろな工夫はして貰ったのですが、
そもそも素材としての古電柱材では無理があったのか、
コンクリートで枠をつくったのだけれど、
地中への透水性の確保が破綻したのか、
やはり「防腐材塗布」程度では経年変化で、この条件下では無理だったか、
焼成加工とはどのように行うべきなのか、
それとも周辺で確認された「シロアリ」の食害の結果なのかなどと、
いろいろな原因が挙げられるでしょうが、
しっかりと、失敗の現実を正直に噛みしめるべきだなと感じております。
しかし人生はトライアルアンドエラー。
めげずに、チャレンジは続けていきたい、カラ元気を出せと
自分に命じております。う~~む、残念無念。


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ドイツと北海道 住宅の対比

2015年03月29日 08時21分35秒 | Weblog
一昨日、ドイツの住宅関連の官民の代表者を招いての
セミナーのことを書きました。
で、前から気になっていた、「北海道の住宅性能の国際的位置づけ」
について、考えが及ぶようになって来ました。
上の図は、IBEC(省エネルギー機構)が発表している各国での住宅性能基準表。
基準としてはQ値1.6という北海道のレベルは
まぁ、世界の中でもそう劣っているとも思えない。
で、ドイツと日本の総住宅数や着工数比較は以下のようになっています。
出典は、国土交通省の調査資料です。
上がドイツで下が日本です。




年間の「住宅着工数」が全然違う。
ドイツでは17万戸なのに日本は100万戸超。(最近80万程度に下降)
総戸数ではドイツは約3600万戸に対して日本が約5000万戸。
年間着工は1:5程度なのに、総戸数は72:100という比率。
こういう数字を見ていると、非常に新陳代謝の激しい日本に対して
住宅が非常に保守的な概念になっているドイツというような対比が見える。
石の住宅文化の国と、木の住宅文化の国の違いだろうか。
一方で、ドイツはここ10年くらいで
住宅性能基準を大きく前進させたけれど、
国全体の実態としての住宅性能レベルは、依然として低レベルであり、
既存改修で現行基準に合致した住宅は1%程度ということ(先日のドイツ側発表)。
基準を厳しく設定すればいいというものではない実態が見えます。
一方で、新設住宅での北海道の住宅性能レベルはどうなのかと探してみたら、
北海道建設部住宅局建築指導課による「推定値」があった。
それが以下の図です。



国全体での住宅性能基準達成率は、1~2割と書かれています。
そもそもの基準値自体が、温暖地ではお粗末な数字だけれど、
それでもその程度しか達成されていない。
それに対して北海道では、7割がQ値1.6を達成していると推計されている。
年間約30000戸のうち21000戸で達成していて
年々その率は上昇している。
このように考えてくると、平均としての北海道の住宅性能レベルは
やはり北欧のレベルに近づいているのではないかと思われます。
そうした住宅性能を、水分コントロールのきわめて難しい
本来が南方系の住宅構法技術である軸組木造で
達成できるほどの技術資産が、北海道にはあるとも言えるのでしょうか。
・・・このテーマ、いろいろ研究の必要があるでしょうね。

追記
着工件数で見ても、ドイツで一戸建てを建てられる人というのは
きわめてレアな存在だと言うことがわかりますね。
大部分の国民は集合住宅に入っていて、それは素寒貧な石造の住宅なのです。
それなのに「全室暖房」は文化として根付いているので、
驚くほどに暖房エネルギーを消費している。これをなんとかしたい、
というのが政策課題の前面に来るのは無理がない。
それに対して、より厳しい気候条件で、
なおかつ水分コントロールが非常に微妙な「木造」で作られていて、
しかも戸建て指向が非常に強い国民性を持つ
日本のなかの一地方である北海道が、国全体と話し合いながら、
「義務化」という強制手段も行使できないなかで、
ここまでのレベルの住宅性能を実現してきている。
地域一体となった住宅性能向上意識が共有されている。
むしろ、日本人が共有体験として本当に解析すべきなのは、
このことの方ではないかと思う次第です。

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Replan北海道VOL.108 本日発売

2015年03月28日 05時08分20秒 | Weblog
本日は、当社の最新刊のご案内です。
日本は南北に長い列島です。気候風土は北欧と南欧くらいに違いがある。
ヨーロッパでは、北欧発祥の住宅技術が
より南側の国々の室内環境の革新をもたらせてきています。
さらに、「北欧デザイン」として、住環境全体に変化をもたらせている。
北方の日本で、そういった目的意識を持って、
住宅の「性能とデザイン」の革新現場情報を発掘していきます。
ぜひ、日本中のみなさんにも見ていただきたい1冊です。

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Contents
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●巻頭連動・実例集
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 「断熱・気密・暖冷房(設備)」
●新連載 賢い人は気付いてるメンテナンスの大切さ
●造作のすゝめ
●これからはリフォームに注目!
●連載 いごこちの科学 NEXTハウス1<東京大学准教授・前 真之>
●Renewal! 新築ルポー住まいのカタチー
●連載・ STORY OF ARCHITECTURE vol.9 円を内包する家
●北の建築家
 「春光の家」 一色 玲児
 「札幌の平屋」 丸田 絢子

2015年3月28日発売・2015年春夏号・A4版
本体価格463円(税込:500円)

お求めはこちらからどうぞ。
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ドイツ住宅の実情と北海道

2015年03月27日 06時02分21秒 | Weblog

きのう、「ドイツの住宅政策に学ぶ」と題した国際セミナーが
札幌市内で開かれました。
札幌市は、いまの市長さんがドイツパッシブハウス基準に傾倒されて
「札幌版次世代住宅」基準を公表されるなどの動きをみせていて
そういった流れから、札幌市がイニシアティブをとって
こうしたセミナーを開催されたようです。チラシは以下の通り。



なぜか、参加申込みはファックスだけと言うことで
申し込んだか、どうしたか、記憶が定かではなかったのですが
問題なく「報道席」にて取材させていただきました。
残念ながら、北海道知事選挙の公示日とかで
取材席には結局、最後までわたしひとりという結果でした。
ドイツ側からは、国土交通省の専門官の方、公的住宅供給管理者の方、
民間のエネルギーマネージメントの方の3氏が参加されていました。
ドイツパッシブハウスについての情報発信が活発なわけですが、
実態としてのドイツの住宅事情を知る、いい機会になったと思います。
2020年の省エネ基準義務化に向けて、日本全体としては、
住宅事業者の間で、住宅性能向上についての技術情報に敏感なようです。
しかし、北海道はそういった動きにはほとんど鈍感で
それこそ、ドイツパッシブハウス基準について、
全国でむしろ一番興味が薄い地域であるかも知れません。
というか、日本の義務化基準などとっくに達成しているので縁遠い話。
日本側基調講演をされた北海道科学大学の福島教授のお話でも
北海道は、日本全国とは違う地域基準を「寒地住宅法」の制定以来、
独自に創出して、地域認証としての「北方型住宅」にまで至る
日本の建築工法に最適化された性能向上を追求してきた経緯がある。
その結果、日本国の住宅法制を常にリードしてきたし、
そういうなかでもQ値1.6という、制定当時の世界基準で比較しても
かなり先進的な独自の地域基準を国に認めさせてきた。
さらに日本の木造工法では、
気密化というものが不可欠な技術指標であることを解明し、
その高度化技術を地域を挙げて取り組んできた。
続いて発表されていた山本亜耕設計事務所・山本氏も
単なる数値基準のレベル問題ではない、
地域の建築技術・ユーザーの認識・研究者たちの努力など、
いわば地域総体としての取り組みこそが、
現在の北海道の住宅性能レベルの原動力であると指摘されていました。
基準数値が変更になれば、それに対応することはすぐにでも可能な
地域全体としての技術資産は北海道にはあるけれど、しかし、
それにかかるコストと費用対効果を考えてみると、
本当にその基準自体がユーザーのシアワセに似合っているのかと、
そういったスタンスを明示していたと思います。
ドイツ側のみなさんからの発表では、
エネルギー消費自体は国レベルでも、はかばかしくは低減していないこと、
国を挙げてパッシブハウス基準を導入しているけれど、
既存住宅では全体の1%程度しか基準を満たせていないことなど
かなり率直な発表もされていました。
確かに木造が基本である日本に対して、レンガ造が基本であるドイツでは
既存住宅の断熱改修では、困難は想像にあまりあります。
そういった意味では日本の木造工法は基本的に柔軟に対応可能。
そのあたりも、きわめて率直に意見交換できました。
ただ、どうしても言葉の壁があり、
さらに時間の制約も多すぎて、突っ込んだ意見交換には至りませんでした。
総体としての住宅性能の向上には、制度基準がどうこうというよりも、
そうした技術の向上、イノベーションを作り出す
基盤としての社会的条件づくりの方が
実はもっとも大事な要件ではないのか、という印象を持ちました。

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ガルバリウム鋼板の外壁

2015年03月26日 06時01分33秒 | Weblog

どうもやっぱり、住宅の実例を取材してレポートしているのが
わたしには性に合っているのかも知れません(笑)。
自分自身も、興味がいろいろに湧いてくるし、
あたらしい家づくりへの考え方も学ぶことが出来る。
もう27年にもなる住宅取材の経験から、移ろいの時の流れを見て、
感じる部分というのが、面白いと感じております。
やっぱりできる限り、実際の住宅を通した視点を
心がけていきたいと思います。
まぁたまには、他のネタもあることはお許しくださいね(笑)。
先日の秋田の家で、
日常的に見掛けているガルバリウム鋼板の外壁で
ちょっと見慣れない印象のモノを発見しました。
別名で「角波鉄板」というような言われ方もするように、
四角い外観形状のモノが多いと思うのですが、
これはどうも3角の形状のようなのです。
というか、正確には3角の端部にフラット面が少し付いているので
やっぱり角波と言えるのでしょうが、
フラット面はごくわずかなので、デザイン的には
その面に当たる陽の光の反射状況が、面白い視覚効果で迫ってくる。
で、調べてみたら以下のようなことのようでした。

~タニタハウジングウェアは、建築家の伊礼智氏と共同開発した
ガルバリウム鋼板製の外装材「ジグ」を発売した。
新製品は、角波型よりも柔らかい印象を与える独自の三角波型を採用。
入隅・出隅・止縁など役物は材料を二重折構造とすることで、
強度も高くビスや釘が見えないおさまりを実現。~
ということだそうです。
この「タニタハウジングウェア」さんのHPを見たら、
北海道には販売拠点がないようなので、
わたしには、見覚えがなかったもののようです。
以下にメーカーさんの提供している断面構造図。



ガルバリウム鋼板の外壁って
それまでは工場などに使われることの多い外装材でしたが、
1991年にわが家を新築したとき、目新しい材料として提案された。
わが家はブロックの基本構造の外側で断熱しているので、
外壁は、その「外断熱材」を保護するだけという概念に近く、
であれば、素材は自由に選択可能ということで、
小さくても印象的な面には本レンガを一丁積みで積み上げて
その他の面に対照的なガルバリウム鋼板という金属を張ってみた次第。
ただ、どちらも「ホンモノ」の質感は持っているので
面白いコントラストが楽しめるのではないかと採用したのです。
住宅の外壁に使うというケースはほとんど聞いたことがなかったので、
わたしの性格を知り抜いて、提案してくれたのだろうと思います(笑)。
まぁ、その後の事務所建築でも、その頃にはかなりポピュラーになった
ガルバリウム鋼板を今度は色違いで「横張り」にしたりしてみました。
・・・そんな経緯があって、このような進化が興味深かった次第。
建築家の伊礼智氏さんの開発に当たってのコメントなども
読んでみて、それも面白く拝見いたしました。
なお、東京在住の建築家の伊礼智さんには
6月発売の号で、特集にあわせてご協力をいただくことになっております。
温暖地の建築家の考え方も、面白い化学反応を
寒冷地・北海道東北の家づくりシーンに起こしてくれるかも知れません。
大いに期待しております。
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出窓なのか、縁側なのか

2015年03月25日 06時31分56秒 | Weblog
きょうも先日見学の住宅からの話題であります。
設計者の小坂さん、なんども取り上げて申し訳ありません。
出窓って、みなさん、どんなイメージを持たれているでしょうか?
まぁたぶん、あんまり見掛けない、馴染みがないというケースが多いと思います。
しかしわたしは、どうも札幌の街で育っていた小さいときから
擬洋風建築の街並みを見慣れているので、
出窓というものに、あるノスタルジーを感じるタチであります。
住宅のことが自分の仕事になるとは、あんまり思っていなかったのですが
なってみて、自分自身の建築体験を思い出してみたとき
出窓という存在がいちばん刺激を与えていたことに気付いたのです。
そんなことで、北海道の住宅研究者のみなさんに
「出窓についてどう思われます?」と聞くことが多いのですが、
大体ほとんどの場合、スルーされます(笑)。
北海道の住宅の歴史的デザイン要素として
あんまり問題にされていない実態が浮き上がってくるのですね。
わたしの場合、たまたま一番最初に記憶に残っているわが家に
出窓があった記憶が鮮明であるということなのでしょう。
わたしの「最初に記憶した家」は、戦後の札幌の住宅屋さんであった、
「木下藤吉」という屋号の不動産会社から購入した家でした。
ネーミングもおかしいのですが、
和風住宅なのに、印象的な出窓も付いていて、
角地と言うこともあって、たぶん、商家をイメージして建てた
建売住宅か、賃貸商家だった建物を購入して
改造を加えて、食品製造業の工場兼住宅にした建物でした。
そういう幼い頃の建築体験があって、
ショーウィンドウ的な装置である出窓に思い入れがある。

写真は、印象的な風景を切り取るメインウィンドウの「出窓」です。
外側からの写真と、内側に入り込んで見た写真の合成です。
出窓と言っても、ほとんど腰掛け台とでも言った方がいいような
十分な奥行きがあって、ほかにソファなどがないことから
見学者のみなさんは、みんなこの出窓に座り込んでいた。
ようやくにして座席が空いたので、
こんなふうに座り込ませてもらったのです。
奥行きも90cm近くあるように感じられ、「縁側」的な感じもある。
いや、見え方は出窓だけれど
スペース的には縁側と言った方が似合っている。
なにより、「いごこち」が感じられるスペースになっている。
こういうあいまいな新しいスペース感覚は、いい。
まったく違う、暮らしの楽しみ方がみえてくるような空間。
多数派の建築歴史家のみなさんからは無視されているけれど、
北海道住宅のデザイン系譜には、絶対に出窓文化はあると思う。
北国の人にきっと根付いているに違いないその空間意識を
もう一回再生して、デザインの発展要素にできないのだろうか、
そんな妄想を抱き続けていた次第であります。
おかしいかなぁ・・・・。
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階段のデザイン

2015年03月24日 07時20分06秒 | Weblog
きのうご紹介した住宅のディテールです。
その土地の持つビューポイントをたったひとつに引き絞って、
開口部の意味合いを最高に際だたせているのですが、
同時に、それ以外の部分でも、
シンプルさの中に、デザインマインドを凝集させていました。

日常使っていく住宅の機能のなかでも
階段の占める意味合いはきわめて重要なモノがあります。
わが家の新築の時にも、1階の天井高さを低く抑えて、
しかも階段の段数を普通よりも1段多くした。
その驚くほどの上がりやすさに、
デザインの本質的な意味合いを実感させられたことがあります。
わかりやすいスペース配置のデザインを一通り見終わったら
わたしの場合、いつも通常使いの耐久性デザインについて
すぐに注目が行くのです。
ある意味では、断熱気密に配慮すると同じ感受性から
こういった部分に、「モノをつくる」精神が宿るのだと思っています。
この階段の踏み板(別名・段板、水平板)と蹴込み板(けこみいた・縦板) は
単純に水平垂直ではなく、踏み板の面積が垂直よりも3cm奥に長い。
こうすることで、いわゆる「上りやすさ」が際だってくる。
つま先が蹴込み板に突き当たるようなことがなく、
安心して、ラクに上り下りできるようになる。
人間工学的な「配慮」がされているのですね。
そして、踏み板・蹴込み板は同一の材質から作られていて
その板は側面から見ると
実に薄く5mmに満たないような厚みと見えますが、
本当は、30mmの厚みの材料だと言うこと。
要するに端部をほっそりと見せるようにデザイン処理しているけれど、
実は力強い構造を持っています、ということなんですね。
かたちと見え方、その両面からデザインしていて
なお、使い勝手へのきめ細やかな気配りが込められています。
設計者に聞くと、
「ここはかなりコストをかけて仕上げました」ということ。
シンプルでアキのこないデザインに加えて
バックグラウンドでの重厚な配慮。
こういった部分に、強く住宅の豊かさを感じるようになってきています。



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豪華な選択肢・北海道住宅と眺望

2015年03月23日 05時44分34秒 | Weblog
人間が生きていくための価値観選択のひとつに
どんな風景と一緒に生きていくか、
という選択肢はあるのだろうと思います。
地球環境は、さまざまな美を見せてくれるものですが、
その中でたったひとつだけ選び取れる、
自分だけの風景・景観を、自分の家から独占するという希望を持つ。
そういった種類の生き方というものもあるのだと思うのです。
北海道の住宅と、他の地域の住宅とで大きく違いがあるのが
こうしたシンプルな欲求を、ごく普通の人々が叶えていることが上げられる。
驚くほどローコストに、こうした贅沢が実現できている。

こちらのお宅は、札幌から国道5号をクルマで走って来て
小樽の中心街に入ったすぐにあります。
街の東側高台に位置していて、
この高台からは、ちょうどニシン御殿のある湾の対岸方向、
祝津地域などがまるで一幅の絵のように眺望できる。
手前側の街の家々と、海と半島部分が
いいコントラストで配されているので、たぶんアキがこない景観。
日々の天気模様の移ろい、陽射しの刻々とした変化
春夏秋冬の四季変化を花鳥風月として暮らしの場から楽しめそう。
北海道西部地域、札幌周辺でも垂涎の景色だと思いました。



わたしの住む自宅・事務所からそう遠くない地域に
自宅兼用事務所のある建築家の小坂裕幸さんから、
オープンハウスの知らせがFacebookにあげられていて、
たまたま記事を発見して、きのうの日曜日、
雪割りによる筋肉疲労を小樽の温泉で癒すついでに(笑)
目の保養をさせていただきに行ってきた次第であります。
小坂さんの自宅兼用事務所は、これまでも
何回か、本州地域のビルダーさんご一行をお連れした経緯があります。
前述のような、絵心としての風景の切り取り方に
なかなかセンスが感じられて、
しかも住宅性能面でも、レベルの高い住宅を建て続けています。
性能重視というと、デザイン的には窓が小さく閉鎖的なのではないかと
ハナから思っている本州地域の方には、
こうした住宅を見て、印象を改められる方が多い。
北海道らしい、ということがわかりやすく伝わってくると思います。
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坊主仕切り・家族協力の休日雪割り

2015年03月22日 06時00分46秒 | Weblog

最近どうも超身近な話題で恐縮です(笑)。
やっぱり人間、いちばん癒されるのは家族とのふれあいでしょう。
住宅のことを考えるのは、家族生活を考えることでもある。
そういう意味では自然と、いちばん身近な考える素材でしょうか。

きのうは坊主を連れて、カミさんの実家へ。
孫とふれあってもらうのが、いちばんの親孝行でもあるでしょう。
楽しく過ごしてきて、帰って来て
まだ陽があるし、雪割りの続きを少しやろうかなと
例の棒状ツルハシを持ち出していたら、
坊主の方から「あ、おれ、やっとくから」という言葉。
これは、自発性に注目して大いに任せるべきチャンス(笑)。
「おお、じゃぁ、頼むぞ」
ということで、家の中に入って、様子を見ていた。
はじめは要領を得ない部分もあったけれど
徐々に調子が出てきて、ついにはジャンパーも脱ぎだして
盛大に頑張りはじめた。
そこへ近くの事務所での要件を片付けたカミさんも合流。
見たら、カミさんは割った雪氷をママさんダンプに積んで
雪山方向に捨てる作業にと役割分担。
で、わたしも様子を見に外に出たら、
「あ、父さん、雪を割って。おれ、スコップで片付けるから・・・」
という家族での分業の仕切をしてくれた。
内心「ふ~~む、これはいいぞ」と思いながら
坊主の仕切で作業分担しながら、雪割り~撤去作業に取り組んだ。
わたしは、棒状ツルハシの扱いはいちばんキャリア(?)もあるので、
コツはつかんでいる。
そのうえ、なんかうれしくて、作業ペースはアップテンポ(笑)。
割った先から、坊主はスコップで片付け。
それをカミさんのママさんダンプで移動という流れ作業に。
坊主が言い出してくれたことで
家族一緒の作業に、楽しく取り組むことができました。
で、小1時間、夕方4時半くらいから5時半くらいまでがんばって、
おおむね自宅敷地部分の岩盤状雪氷は排除できました。

ということで、本日朝、多少の筋肉疲労感は残っていますが(笑)
それ以上に、作業痕跡を見てじわじわと喜びが・・・。
ごく普通のことが、いちばん楽しいっていうこと、
ふたたび三度、強く感じさせてもらっている次第であります。

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