性能とデザイン いい家大研究

こちら 住まいの雑誌・Replan編集長三木奎吾です 
いい家ってなんだろう、を考え続けます

フリーペーパーで上場

2008年07月31日 06時55分14秒 | Weblog



きのうは東京で講演を聴いて参りました。
メディア関係や印刷関連などのマーケティングについての情報収集。
ここところ、というか定点観測的に見ていると
メディアの趨勢が急進展していると感じます。
インターネットの進展による既存メディアの嵐が大きなうねりになってきているということ。
新聞メディアはいまや、たいへんな事業的転換局面時期と思われます。
同時に雑誌も、大きな曲がり角に立っている。
実際にコンビニなどに入ってみても棚の展示雑誌自体、数量的にも減ってきている。
定点的に、見知った数店のコンビニに立ち寄ることって
東京出張時でもあるのですが、
あきらかに変化が見て取れるように思われるのですね。
どうも、構造的な変化の波が来ているように思われます。

そういうなかで、フリーペーパーというものの状況も
大きな変化の中にあるようです。
欧米ではフリーペーパーというのは主に新聞であり、
交通手段との結びつきが大きいスタイルが主流。
スウェーデン発祥の「Metro」という無料配布新聞が世界的に大きなシェアを持っている。
記事というのも時事経済的な普通の新聞なんですね。
それに対して、日本ではフリーペーパーといえば、地域密着型のもの。
それもヤクルト宅配に起源するような戸別配布が基本。
そういうシステムで、主婦が足で色々な情報を集めてもいる。
どうも地方的には、有料の地方新聞社というのが衰退してきて
戸別配布の地域フリーペーパーが主流になってきているようなのですね。
もっとも激戦になっているのが首都圏。
この手のフリーペーパーの約半数が首都圏で発行され、しのぎを削っている。
フリーペーパーというのは都市型のビジネスなんですね。

そういうなかで、なんとフリーペーパーで上場を果たしたというのが
写真の千葉県八千代市を本拠とする「地域新聞」さん。
創業社長さんのお話を聞くことができた次第です。
本当に身近な中小企業として、その企業姿勢や経営の息づかいを聞かせていただきました。
メディアの世界、これからさらに激変を予感いたします。


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囲炉裏端の換気口

2008年07月30日 07時33分19秒 | Weblog


写真はある関東地方の古民家の様子。
古い家って、いわゆる「性能」的なものは考慮されていないのではないか、
というような誤解があると思うのですが、
いろいろ見れば見るほど、
実に「性能的要件」に立ち向かっているのが実感できるもの。
この古民家では、いわば「食堂」的なスペースの
囲炉裏の横に、竹組みの竹だけが表された開口部、窓があって
煮炊きする薪などの燃焼時に必要な新鮮空気が
室内に導入されるようになっていました。
で、ここで発生する上昇気流は
屋根頂部の三角の窓から外部に排出されるように工夫されています。

きのうは最新の窓のサッシの納め方を写真で見ましたが、
現代では工業の発達で窓も実に工夫されて簡易に装置できるのですが、
古民家が建築された年代にはもちろんそういう技術はないわけで、
窓を開けるというのは、実に大変だったろうと推測できます。
この家では壁が土壁で仕上げられていますが、
土壁で仕上げるためには、竹などを組み合わせて壁下地を造作しなければなりません。
で、その下地に対して土を塗り重ねていくことになります。
そのときに、何段階かのプロセスで、窓を造作するスペースは、
他の壁面とは全然違う仕上げをしなければなりません。
現代では、そのあたり、まったく簡易にできるのですが、
比較すると、実に複雑な手順の作業になると思われます。
それで、冬の寒さのこともあり、また換気の機能を果たすに足る大きさというのも
考えながら、過不足のない窓を作っていかなければならない。
こういう仕事、なかなかできるようで難しいものだろうと思われます。
現代の家でも、たとえば薪ストーブなども
煙の道を上手に通してやるというのは、案外難しい作業なんですね。
そういうことでのトラブルなんかも多いもの。

そんなことを考えさせられた事例だったのです。
住宅の性能ということを考えることが多いのですが、
先人のみなさんのこういう知恵に出会うと、
実に多くのことを考えさせられるというのが実感なんですね。
まぁ、人間がやっていることなので、
結局はその時代その時代で、条件ややり方は変わっても
本質的な部分で向き合うテーマというのは同じことになる、ということなのでしょう。
家を見るたのしさが倍増するような瞬間ともいえます。


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200年住宅とオール北海道

2008年07月29日 05時44分21秒 | Weblog



さて、このブログでもいろいろ取り上げてきている
国交省の「200年住宅・超長期住宅」補助金政策。
600数十件の応募に対して、第1回の結果としては40件が認定されました。
新築の分野での提案では、採用率5%ほどという狭き門だったようです。
で、そうしたなかで北海道が公共団体として取り組んだ
「北方型住宅ECO」の採用が、注目されているようです。
やはり住宅性能の日本最先端地域という地域らしさが端的に表れたということでしょうか。
他の地方公共団体でも、「どうして北海道は採用されたのか?」
という声が上がってきているようです。

わたしどものような北海道発で東北関東と、
エリアを徐々に拡大している雑誌からすると、
あらためて北海道が官民挙げて住宅性能向上に心血を注いできた意味が
こういう機会に再確認できた、という思いがしてきます。
いわば「オール北海道」で取り組んできた大きな流れが背景なのですね。
採用に至った経緯は、それこそ国交省や、審査委員のみなさんの考えでしょうから、
発表通りを見るしかありませんが、
そこではやはり多様な工法に対して一律な住宅性能の要件条件で応募したという、
住宅性能に対するスタンダードな取り組みが認められた側面が大きい。
住宅性能のことというと、とくに関東以南地域では
「外断熱でないとダメだ」とか、
「うちの言っている工法でないとダメだ」
というような宣伝工法が大流行しています。
でも今回の採用されたものを見てみると、
そのような考え方の応募はきれいに全滅しています。
ようするに住宅性能の数値条件がしっかり実証されて満たされればいいわけで、
「だからダメ」という他者誹謗による自社宣伝は通用しませんよ、
と断言されたに等しいのではないかと思います。
そういう意味で、北海道が提案した「北方型住宅ECO」では
気密性能や、断熱性能レベルを明確に数字のみで規定しているのです。
そして、そういう条件に自ら自信を持ったビルダーさんたちが
手を挙げて参加したというものなのですね。
このような姿勢というのは、これまでの北海道の取り組みの積み重ねが
大変大きなウェートを占めている部分なのだろうと思います。
この北海道の挑戦が、大きな意味を持ってくるのではないかと思っているところ。

写真は、きのうも触れた「大工学校」でのひとこま。
こちらは窓サッシの納め方詳細手順実演です。
防水を主に、実に様々なノウハウの蓄積が詰まっているプロセスだと感じました。


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気密化について

2008年07月28日 05時37分39秒 | Weblog



木造の建物で、室内の環境をエネルギーロスなく
温熱環境を維持するためには、それがコントロール可能になっていなければなりません。
これまでの日本家屋ではそういうことができなかったのが
生産のプロセスで「気密化」施工を上手に組み込むことができたことが
温熱コントロール可能な住宅に進化できたワケです。
写真は、新住協が年に1度程度開いている「大工学校」でのひとこま。
床まわりの気密化工事を実演しているところ。
北海道では木造大工さんにはいまや必須の技術といえますが、
その手順などを再度、こういう機会に実演し、確認しているのです。
新住協では全国でこういう機会を提供していて、
はじめて目に触れる技術者の方や、再確認するかたたちが集まってきます。
まぁ、わたしなんかも具体的な手順や確認ポイントなど、
大変勉強になりました。
鎌田先生からは、ぜひ現場の大工さんたちにたくさん来て欲しい
という希望が出るのですが、案外又聞きになるケースがおおいそうです。

今回、北海道が地場工務店などを組織化して
「北方型住宅ECO」という超長期住宅生産運動に着手するのですが、
そこではこの「気密化」レベルとして、
床面積1平米あたり、相当隙間面積で1cm平米以下、という基準が示されています。
北海道では多くのビルダーさんが当然のように
写真のような気密化施工に慣れていて、
いま、高気密高断熱を謳っているビルダーさんでは
0.2とか、0.3などというレベルが語られるケースが多い。
しかし、北総研のかたが「くれぐれも」と、念を押していましたが、
気密施工は実際に計測して結果を確認するわけで、
これまでのケースでも、実際に計ってみて達していないという場合も多いのだそうです。
普段、この程度はなんでもない、技術的には解決済み、と考えていると、
いざ、待ったなしでやってみるとそうでもない場合があるそうです。
今回の「北方型住宅ECO」では
万が一、このレベルを守ることができない場合には、
現実的にはそこに到達するまで再施工してもらうことになる、という対応が示されていました。
再施工ということは、壁の中まで還元してやり直しになるので、
たぶん、建築会社はもうけはすべて吹っ飛ぶことになる。

実際の施工方法を見ていて、
よく考えられているな、と感心できる部分と、
やはり、こうした工事には大工さんの慣れが大変重要と感じます。
最初の2~3軒までが大変で、それ以降は
身についてしまえば、施工手間といってもそれほどはかからない、
だから高断熱高気密だからといって、
コストが大幅に上昇する、とはならないということなのです。
なんとか「北方型住宅ECO」ではすべての住宅が一発でクリアして欲しいものですね。


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日本住宅の色彩感覚

2008年07月27日 13時19分58秒 | Weblog



写真は宮城県の古民家の室内の写真。
ちょうど夏の盛りの頃に撮影したものです。
縁側とかに面している方角からの採光が室内に取り込まれて
たたみの床面に反射して、
そのあと光がバウンドして天井を照射し、
その残光が高い天井までの壁面をも微妙に照らし出していて、
独特の色彩模様となっていました。
壁は土壁で、その色合いはいかにも自然な風合い、
肌触りのいい色彩を醸し出しています。
構造材としての木材は自然な褪色の結果の色合い。
こうした床壁天井の色彩って、わたしたち日本人の色彩感覚を大きく規定している。

自然の褪色というなかに、
日本独特の気候風土条件も投影しているといえる。
白茶けた畳の色合いって、日本で取れた植物を加工したものであり、
その褪色にも、日本の日射しが繰り返し関与してきた結果。
面白い色合いだなぁと、特に思われるのが正面上部の壁の色合い。
土壁ですが、奥の部屋の壁の色合いとはまったく違って、
なんとも艶やかな、あかい色合いを醸し出している。
日本の土には、こんな色合いの表情も隠されているのかと、
ちょっと驚かされるような色調。
というか、同じ素材を使っているのに違いないのに、
奥の部屋は見える範囲では白壁。であるのに、こちら、内部側はどうも
構成する土の中の色素のうちの、赤いものが表出しているのか。
こういうコントラストがごく自然にわたしたちの感受性に染みこんでいる。

まぁ、ほんのさりげない風情なのですが、
こういう部分の奥行きの深さに、どうも弱くなってきてしまう。
こういう色彩のバランスの中に、空気感、湿度や温度条件が加わって、
日本的な情念の世界が出来上がっているような気がする。
建具などの黒々とした質感と、複雑だけれど見た目は白い壁の対比が、
たとえば日本的な「白黒付ける」という感覚を呼び覚ましてもくれる。
白黒は付けるのだけれど、見方を変えれば、
白ではなく、赤い部分もあったのだ、みたいな中間領域的感覚。

いずれにせよ、こういう空間への感受性こそ、
けっして消し去ることのできないわたしたちの心象風景なのではないかと
暑い季節の中に、思いを巡らせる次第です。


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北海道版200年住宅スタート

2008年07月26日 07時48分33秒 | Weblog



きのうも触れた、国の超長期住宅・200年住宅事業に応募して
地方公共団体としての北海道が地域の工務店などを組織化して
地域住宅運動として取り組もうという
「北方型住宅ECO」。
昨日朝10時から、北海道中のビルダーさんたちが結集して
事業主体となる「協議会」の総会が開かれました。
いくつかの議題に即した話し合いが行われましたが、
結局、申請総額8億円を超えた交付金が、2億5千万円ほどに減額されたことを受けて
400軒という新築住宅総数が、123軒に減ったため、
その割り振りをどのように仕分けるべきか、
その考え方を調整し、決定するという「全部やる」会議でした。
その前段では97社からある参加企業の「代表」を決定するという
脂っこいテーマもあって、薄氷を踏むような会議プロセス。
会議テーマをはじめて目にしたとき、
これを2時間の時間でまとめるのか、と多難を予想したのですが、
まずは提案通りの結論を得ることができたのは、
道庁建築指導部の日頃からの各社との信頼関係の構築が預かって大きかったと思われます。

主要なテーマである、123軒の総数を97社に割り振る件は、
基本的には各社に1件ずつを割り振った上で、
ちょうど選挙の「ドント方式」を想起させるような手順での「調整」。
大変日本的なシステムだなぁと、感心してしまいましたね。
こういう業界調整の部分、
いろいろに言われたり、批判も浴びる部分ではあるのですが、
会場からは安堵するような雰囲気が流れており、
一部出席者から、1件ずつ割り振るのを止めて全部に対して「ドント方式」を、
という意見も出ていましたが、
調整としては順当でやむを得ない、という「落としどころ」だと思いました。
まぁ、ものごとはすべてが竹を割ったようには進まない。
そういうなかで、「知恵を絞る」というのも必要な部分ですね。

さて、このような経緯でしたが、
こうした全プロセスをすべて報道関係にも公開しながら調整した
北海道建築指導部は、よく頑張られたものと思います。
そして、ようやくに離陸できた「北方型住宅ECO」、
こうした住宅の一斉着手が全道でひとつの目的に向かって行われるというのは
大変、画期的なことだと思います。
その前向きな部分におおいに注目して、この場でもそのプロセスを
折に触れてお伝えしていきたいと考えます。
日本の一番北で取り組まれる、住宅性能に着目した超長期住宅の大規模な取り組み。
ぜひ、全国のみなさんも注目ください。
なにより、他の200年住宅の取り組みの多くが
大手ハウスメーカー主体になっているなかで、
地方公共団体と、地域工務店を主体として地域ぐるみで行われるというのは、
大変に意義深いことなのだと思います。



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超長期住宅の現状

2008年07月25日 07時05分36秒 | Weblog



さて、延び延びになっていた例の200年住宅の件、
北海道が音頭を取って地域工務店などを組織化した「協議会」に採用の正式通知がきたようです。
内示のような発表があってから、さらに数週間遅延しました。
今年度中にすべての建築を終え公開の義務もある、という住宅。
ここからスタートで、申請業務、それと「性能評価」を受けることも義務づけられているので、
実際に交付金が受けられる住宅が建つまでにはまだ紆余曲折が予想されます。

そういうなか、本日、道庁で協議会の総会が開かれる予定。
そもそも申請総数が400棟を超えているのに
どうも道庁に示された交付総額は百数十棟相当というようなのです。
ということは、1棟あたりの交付金額を減額するのか、
総数を減らすのか、その両方で対応するのか、
「調整」が不可欠になってくる。
さまざまのタイムスケジュールを考えると、
ギリギリの局面の上に、この調整作業の困難さ・・・。
そこを見越した考え方も、事前に道からは示されてはいましたが、
さて、実際にそうなるとなると、各ビルダーさんもそれぞれに
お客様との打合せの経緯などがあるでしょうから、
調整作業が順調に推移するかどうか、まことに微妙なところ。

まぁ、事前に告知されている「交付金割り当て方法」とでも呼ぶべき基準は
さすがに行政組織と思わせるような「経験値」の様相でした。
住宅という業界ではあまりこうした交付金行政は経験がなかったこともあり、
「ほう、なるほど」と感心するような基準だったと思います。
ただし、今回は協議会が組織されているので、
もう一段階、調整が複雑にもなってきます。

こんな経緯をみていると、
良くも悪くも行政の補助金を武器にした業界調整、というようなことの
必然性をかいま見せてくれるようでもあります。
これまでは中央省庁だけでこういうプロセスが閉じこめられていたのでしょうが、
それが全国に拡大したとも言えますね。
今回は北海道という、地方公共団体が介在しているので、
より公開性が高く運営されている側面があります。
さて、どのような方向に向いていくのか、という現状です。
写真は無関係ですが、北上展勝地からの眺望。


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リフォーム相談

2008年07月24日 06時20分27秒 | Weblog



また東北地方で地震があったそうですね。
きのうは早くにぐっすりやすんでいたので気付きませんでした。
早朝起きてニュースを知った次第。
まだ早い時間なので、メールを送っただけで、電話は控えております。
くれぐれも大きな被害がないことを祈ります。
それにしても、続くものですね・・・。

さて、きのう事務所に友人がひょっこり訪ねてきました。
かれは確か10年前くらいに新築住宅を建てたときにも相談に来ていました。
案の定、その住宅のリフォームについての相談でした。
わたしたちの年代もあと数年で退職の時期になります。
その前ならまだ、借金をしてもローンが通るし、
ちょうど、高齢になったお父さんの体のこともあって
家に手をかけてこれからの生活の基盤をしっかりさせておきたいということ。
まさに動機の部分は、さもありなん、ということなんですね。
考えている工事の内容について、
大体の予算との兼ね合いで、進めていくべきかどうか、
アドバイスを求められたものでした。

聞いていて気付いたことですが、
って、大変当たり前のことなんですが、
建築の相談って、実に複雑多岐にわたるものだと言うこと。
まずはお金の面の対策の計画性を確認することから始まって
生活の今後の考え方についての確認。
そして家族構成の確認、今後の予定などなど。
既存建築の状態の問診。
その範囲の中でのできること、できないことの考えの整理整頓。
以上のようなことを踏まえたうえでの間取り計画の考え方。
実際の工事で想定される問題ポイントの把握。
で、資金計画との見合いで、希望を順序立てて
大体のプランにまとめてみる。
費用面では、工期に関わることとして仮住まいが可能なのかどうかまで
たくさんの相談ポイントがあります。
建築の仕事って、こういうプラン前の大枠作業が膨大。
建築本体工事よりも、こうしたアドバイザー業務の方が実は
人生経験とか、大きく関わってくる必須部分だなぁと実感した次第。

とくに最近の若いみなさんも
こういう部分、なかなか体験できない部分なので、
アドバイスというのは必要になってくるだろうなぁと思われました。
これから、こんな相談事が増えてくるのだろうかなぁ・・・。
写真は先日訪問した「地底の森ミュージアム」エントランス外観。


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住宅環境技術の国際交流

2008年07月23日 05時56分20秒 | Weblog



写真は北総研を見学しているスウェーデンの換気技術者の方たち。
このときには北海道内で換気などの講演会があって
そのために日本に来たのです。
で、北総研の研究技術の様子を興味深そうに見学していました。
住宅を巡っての技術の世界というのは、
寒冷に対する防寒の技術というのは基本ですが、
それ以外の部分では、その土地での条件によって違いが出てくる。
とくに大きいなぁと思われるのが積雪条件の点。
というか、日本の西海岸側地域というのは
世界的に見ても大豪雪地帯だ、ということを認識させられます。
この北総研では雪を床下に溜めて、暑い夏の時期に冷房に利用していますが、
こういう部分は世界的にも珍しい研究なのかも知れません。
豪雪の地域は他にも多いのでしょうが、
まとまった人口がこういう大豪雪地帯にたくさん住んでいることが変わっていると思われます。
そういうことなので、札幌のように屋根が建築時期によって
大きく様相を変えているという特色が生まれてくる。
北欧も決して雪が少なくはないけれど、
屋根形状がフラット、というようなものは記憶にない。
基本的に雪は空地に落とすという考えで処理しています。
それに対して、さすがに日本の大都市ということで、
札幌では、隣地との間に空地はなかなか確保できなくなってくる。
いまは郊外地域でも60坪程度が基本的な広さ。
そのような条件では難しいのですね。
無落雪屋根という世界的に珍しいデザイン形式が広がっているというわけ。
こういう屋根にすることで隣地との雪のトラブルが回避されたのです。
でも、そうすることで、いろいろな問題も次々と発生してきたのですね。

でも、最近では屋根のないデザインを見て
その制約のなさにデザインの自由さを感じるという本州地域の設計関係者も多い。
何が幸いするかわからないので、
こういう条件を逆に活かす工夫も必要なのかも知れません。


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藤原清衡の願文

2008年07月22日 06時41分04秒 | Weblog



・・・(奥州の地で は)官軍の兵に限らず、エミシの兵によらず、古来より多くの者の命が失われました。・・・罪もなく命を奪われしものたちの御霊を慰め、極楽浄土に導きたいと願うものであります。

きのうの続きです。
ことし平泉一帯は世界遺産登録申請を行って、延期という結末になったわけですが、
その説明として、清衡の中尊寺落慶供養願文に記された「浄土思想」が
引き合いに出されたのです。
こうした平和思想が今日的にも意義がある、ということでした。

・・・大門は三つ、築垣は三面、反橋(そりばし)は一道(二十一間)、斜橋は一道(十間)、龍頭鷁首(りゅうとうげきす)の画船二隻、左右楽器、太皷、舞 装束三十八人を具します。これを造るに当たっては、築山をして地形を変え、池を掘って水を引き入れました。草木と樹林を宮殿楼閣の中に配置し、この中で世 の人を楽しみとする歌舞を催し、民衆の仏への帰依を讃えようと思います。そのようにすれば、たとえ砦の外の蛮族だとしても、『この世にも極楽はある』」と 言うでありましょう。
千部の法華経に、千人の読経者。これ(法華経)については、私(清衡)は志を忘れずに、多年に渡り僧侶に書写させてきたのでありますが、同時にこれ を一日に転読させ、一人で一部、千人で千部を唱和し尽くそうと思ったのです。集った蚊の羽音は、雷鳴を成すと言います。千僧の読経の声は、きっと天に達 するでありましょう。・・・<中尊寺落慶供養願文より、現代語訳・佐藤弘弥氏:抜粋>

浄土思想というのは、
東アジア世界で一時期、ひとびとの内面世界に
非常に大きな影響を与えたものだと思います。
末法思想とともに、ひたすら浄土での平安を願ったことが
現実の政治にも大きな影響をもたらしていた。
寺を建てるという権力者の動機はやはりこういう部分が大きかったのでしょう。
そもそもこういう国家に対する正規文書に
普遍性をもたらす考えとして公認されていた思想なのですね。
朝廷に対する正規文書としての性格もあって、
建前が書かれているのですが、すさまじき戦乱を経てきた
かれの生涯を思うと、肉声とも思えるような記述とも取れます。
こういうメッセージを残した武人というのも少ないのではないのでしょうか。


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